DoubleLift氏、2017 NA LCSパワーランキングをつけるの巻
あけましておめでとうございます。TLファンボーイLYEです。
もうすぐNA LCS開幕だなー、はやく10バンドラフト見たいなーと思っていたら休養中のDoubleLift氏がNA LCSパワーランキングをつけてて、面白かったし観戦の助けにもなりそうだったので紹介します。
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僕のところにパワーランキングつけてよとリクエストがよく来るので今日はいっちょやってみようかと思います。
まずランキングの前に現状を。
最近、北米シーンはベンチャーキャピタリストとかも入ってきてチームにすごい資金が流れ込んでるから、LooperやSsumdayみたいな凄まじい選手が北米に来ることになったよね。そういうロスター変更に加えて、メタも大きく変わってる。ボットレーンジグスとか。
ではランキングに入る前に評価基準をはっきりさせときます。
1:Roster:選手のラインアップ
- 観戦してると分かりにくいけど、各個人が下す小さな決断が勝敗に大きく影響するんで、ロスターは大事。それがバタフライエフェクトになって、流れが変わることもある。ワードを刺す位置とタイミングで、その後のチーム全体の判断が変わるとかね。
- ひとつのチームとして動けるかどうか、という点。
では、ランキングいきます。
10位 Flyquest
- NA LCS最悪のチーム名であることは間違いない。
- 選手はBalls、Moon、Hai、Altec、LemonNation。
- Moonは去年LCSでパッとしなかった。それ以外はみんな知ってるビッグネーム。
- じゃあなんで10位? 個人的にチャレンジャーチームにある種の偏見があるから。
- 鳴り物入りでLCSに上がってきてズタボロだったチームは多い。Renegedes、Team Coast。
- チャレンジャーチームで一番成功しているのはAPEX。それでも、去年8勝10敗で7位だったチームが一番。
- しかも今シーズンは他のチームがメンバーを強化しているから、やっぱりFlyquestは厳しいと思う。
- チャレンジャー時代とほぼ人変わってないし、ContractzがMoonになったのは弱体化だしね、たぶん。
9位 EchoFox
- 興味深いチームだよね。というのも、去年、降格がかかったTLAとの試合で2-2になって、例のPigletによるラムスミスピックがあって勝ちを拾ったチームこそがEchoFoxだから。
- 正直あの試合でPigletがちゃんとしたサポートをピックしてたら、彼がキャリーして勝ててたと思う。そうなったら、今LCSにいるのはEchoFoxじゃなくTLAだったわけで。
- そこまで接戦だった、ということを考えるとどうしても、順位は低くならざるをえないよね。
- じゃあなんでFlyquestより上かというと、まあ名前がひどくないというのは置いておくとしてロスターが強化されてるから。
- まずLooperがいる。彼とはやったことあるけど、世界チャンピオン経験者だけあってかなりの腕前だ。経験も豊富。
- KFOと比較したら凄まじい大幅強化だと思う。KFOはスプリットプッシュしかしてなかったし。
- それからジャングルのAkaadianも強化だ。そりゃ前任がHardだから誰が入っても強化だけど(笑)。
- Akaadianはチャレンジャーシーンから来たプレイヤーで過去には一時期レンガー専だった時期もある。おそらく最初は緊張するだろうけど、技術的には優れたプレイヤーであるのは間違いない。ソロキューで当たったことあるし。
- FroggenもKeithも悪くない。悪くない。
8位 Envy
- なんか凄いことになってる。ボットレーン2人が英語話者で、ソロレーンとジャングルが韓国語話者。
- 選手ラインアップとしては凄いかもしれないけど、連携力は望めないだろう。ソロレーンが大キャリーする試合はあるかもしれないけど、ソロレーンとジャングルが韓国語で話しててボットレーンが英語で話してたら連携は無理。
- Seraphの英語はかなり上手だけど、それでもたぶんボットレーンの2人は孤立するんじゃないかな。
- さっきも言ったけど、他のチームが凄い強化をしてきてるから。
7位 Phenix 1
- 選手ラインアップ的には凄まじい。でもチームとしてどうか?と言われたら酷いもんだと思う。
- メンバーは Zig、Inori、Ryu、Arrow、Adrian。
- Zig はまあ安定、凄くいいわけではないけれど、全然悪くない。Inori もかなりうまい。
- そしてRyu(元H2K)とArrow(元KT)。ふたりとも元々の地域であれだけの活躍をしてきたわけだから、当然すごいスキルを持ってる。
- ただ問題はArrowとAdrianのコンビだ。別にAdrianが悪いわけじゃない、そりゃ去年プレイオフでは失速したけど、別に彼の技能に問題があるわけじゃない。
- 問題はArrowの英語はおそらくそれほど上手くないだろうから、ボットレーンコンビが意思疎通できないということだ。
- ボットレーンで連携が取れないと相当しんどい。Ryuが英語流暢で通訳できる可能性もゼロじゃないけど、ミッド選手を挟んでボットがやりとりするのは難しい。
- さらにZigもInoriもまず間違いなく韓国語しゃべれないだろうから、チームとして機能するのに絶対問題が生じる。
- さっきも言ったけど選手ラインアップ的には素晴らしい。ただチームとして機能しないと思うからこの順位。
6位 Immortals
- 選手ラインアップ、話題性はあるよね。Flame(大物だ)、Dardoch(性格とかで話題だ)、Pobelter(誰もが認める安定のミッドレーナーだ)。
- そしてボットレーンのCody SunとOlleh。
- Cody Sunについて説明すると、チャレンジャーシーンから来た選手で、Biofrostと同じチームにいた。
- 大事なのは、LCSに来たばかりのADCは時にサポートに引っ張ってもらいながら成長しなくちゃいけない。
- どのADCも成長しようともがいてる。そしてサポートとの連携が強ければ、成長速度は上がる。こちらの行為に思いがけない反応を返してくれて、それが成長に結びつくこともある。
- 2人が別々に成長していくんじゃないんだ。自分のときも、相方がBiofrostであれAphromooであれ、共に学ぶということがすごく大事だった。そうすることで、強豪相手よりも速く成長できるわけだから。
- Ollehについてはそれほどよく知らない。韓国出身だけど、英語は結構上手だった。ただ異なる地域、異なる文化圏から来たことは間違いないわけで。それがマズいわけではないけれど、果たしてコンビとしてうまく機能するかと言われると難しい点もあると思う。
- そもそもトップ側でHuniとReignOverの代わりになるプレイヤーなんかいないだろうから厳しい戦いになるのは仕方ない。Dardochはまあ大丈夫だろうけど、別に凄くいいわけでもない。
- 総合すると、トップ側は弱体化、ボット側は不安が残る、ミッドはド安定。だから6位。残りのチームが相当に強化されてるから、この順位は公平な評価だと思う。
5位 Team Liquid
- 選手ラインナップ的には、正直言って普通。
- Lourlo:フーン
- ReignOver:ヤベエ
- Goldenglue:フーン
- Piglet:ヤベエ
- Matt:結構いい
- TLには「4位の呪い」と、もう一つ「すげえ選手揃いなのにチームとして機能しない呪い」がある。
- 「Breaking point」を見た人もいるかもしれない(訳注:僕も軽く記事書きましたが左のAutomaton記事のほうが遥かに素晴らしいのでそちらをどうぞ)けど、ずっと選手・コーチの間でいざこざが絶えてなかった様子。
- 去年より良くなったといっても、イコール今年は凄く連携が良い、という意味にはならないからね。
- ReignOverとPigletは間違いなくトップクラスの選手だけど、他の3人がどこまで成長できるかは未知数。
- Goldenglueはちょっと精神的に弱いところがある気がするし。
- そもそも去年戦った時もあまり強い印象なかったからなあ。TLがトップ3に食い込んできたら、驚くと思う。
- 5位にした理由は、ReignOverとPigletだけですでに5位はいけると思うから。あとはチームの連携力にかかってる。
4位 Dignitas
- とんでもなく話題になったよね。多くの人がトップ2~3位に入ると評価してる。僕もかなりいいチームだとは思う。
- ちなみに、新生DignitasはAPEXが買収されて名前変わって復活したチームだよ。
- Ssumday Chaserは文句なしのスターだ。世界最高峰のトップレーナーと、LCK有数の名ジャングラー。このトップサイドコンビは、新たなHuni+ReignOverになるかも。
- LODとXspecialは過小評価されてると思う。前シーズン、XspecialはApolloと組んでた。彼は態度に問題があるとか言われることもあるけど、経験は豊富だし堅実ないい選手だ。でもXspecialはアグレッシブでプレイをガンガン作っていくタイプのサポートなんだよね。
- その相手がApolloというのは相性最悪だった。だから今回LODと組んだら、かなり大きな影響力を発揮できる可能性はあると思う。
- Keaneは…メタチャンピオンを使えないのが好くない。正直、チームの弱点になると思う。メタのチャンピオンに対して、「自分がカウンターだと思うチャンピオン」を当てるのが彼のやり方だけど、メタのチャンピオン自体は自分で使わない。
- 正直言ってKeaneとは一緒にプレイしたくない。メタのチャンピオンというのは一番有効なチャンピオンだから、まずはそれを高いレベルで使いこなすべき。その後、チームがOKを出したら「俺的カウンター」を出すべきだと思う。ずっとそればかりってのはダメだ。
- 「かっこよさげ」で個性的なピックが好きじゃないんだよね。汎用性が乏しく、信頼性も低い。大抵の場合、結果も伴わないし。
- ボットコンビは間違いなくトップ5には入るし、トップ&ジャングルコンビも相当強いから、総合的に見て彼らを4位とした。
- このチームの場合は、ボットは放っといても負けずにちゃんとやれる自立力がある。そこに神がかったトップとジャングルのコンビがいる。この場合、ボットコンビはそれほど韓国コンビとコミュニケーションを密に取らなくても大丈夫だと思う。ただ韓国勢のリードに合わせていく感じでいけばいい。
- それでも他の人が言うみたいに、首位独走のスーパーチームにはならないと思うけれど。
3位 Counter Logic Gaming
- これは議論を呼びそうな順位付けかな。好きな人も嫌いな人も多いチームだからね。
- でも忘れちゃいけないのは、このラインアップはもう3スプリットも変更なくプレイし続けてきてるってこと。
- 変更がなかったチームは唯一彼らだけだ。
- 3位という上位に評価したのは、彼らがチームとして全方位的に隙がないから。そしてコーチのTony(過小評価されてると思う、とのこと)にはちゃんとチームをまとめ上げる力がある。
- StixxayとAphromooはいいボットレーンコンビだと思う。Huhiはパフォーマンスがパッとしない、弱点みたいな扱いをされることもあるけど、実のところDarshanもちょいちょい酷いプレイをしてる。Xmithieは堅実に良いプレイをしてるけど。
- だから彼らが躍進できるかどうかは、HuhiとDarshanがしっかり活躍できるかどうかにかかってると思う。繰り返しになるけど、チームとしてのまとまりは素晴らしいから。
- チームとしてあるべき姿を体現してる。アグレッシブにもなれるし、不利な状態からでも盛り返せる。いいチームだよ。
2位 Cloud9
- いろいろな理由があるけど、2位はC9。正直上位3チームは混戦になると思う。
- だから勝つ確率が高そうなチーム順に並べてる。前回も2位だったし、あの時点で北米で2番めに強いチームだったことは間違いない。
- TSMは3-1で勝ったけど、いいチームだったと思う。Impactはモンスターだしね。All-Starで一緒にプレイしたけど、ほんとに凄いプレイヤーだ。
- All-Starに出たメンバーなら賛同してくれると思うけど、選手として、コミュニケーションも態度も素晴らしかった。
- そしてモンスターと呼べるトップレーナーがいるっていうのは、今のメタでは凄く大きな要素だ。
- どうやらS7はトップ、ジャングル、ミッドが重要になりそうだから。しかもFlame Looper Ssumdayが北米に来てるわけだしね。
- トップがド安定してるというのはC9の躍進を絶対的に支える要素になる。
- 他のメンバーも、Jensenは安定した選手だし、SneakyとSmoothieも結構いい。Meteosの代わりにContractzというのはまだクエスチョンマークだけどね。
- 総合的に見れば、C9は前シーズンとほぼ同じチームと言っていい。これまでずっとまとまったチームとして機能してきたし、後衛のJensenとSneakyも安定感ある。だから、2位。
1位 Team Solo Mid
- 驚きの第1位はTSM(笑)。所属チームだし、なんだそりゃって思う人もいるだろうけど。
- 客観的に見てTSMは相当いいチームだと思うから。トップ、ジャングル、ミッドは相変わらずの安定具合でS7の対応はバッチリだと思う。
- 元々序盤に有利を作れる3人だったけど、北米はこれまでもずっと序盤に有利を作ったチームがそのまま勝ち切る試合が多い地域だから。
- Bjergsenは間違いなく北米トップのミッドレーナーだし、たぶん欧米トップと言ってもいいかな。今シーズンも対面圧倒すると思う。
- Svenskerenは過去数スプリットで成長を続けてるし、それは今年も止まらないと思う。あと、韓国ジャングラーに強いという特性があるんだよね。ReignOverにも強かったり。
- それからマイ・ボーイHauntzer。時には下手も打つけど、そういうときはめっちゃキャンプされたりしてる。でもそれでも、きちんとレーンは守って、1v1では負けないでいる。北米トップレーンで1v1やらせたら上位だと思う。韓国勢が来た今でも。
- そしてボットレーン。WildTurtleとBiofrostの2人は、それぞれ高いレベルでプレイできることを実証済み。あとはTSMという優れた環境で、コンビとして成長するだけ。問題は無いと思う。チームメイトもコーチも素晴らしいから。
- ってこれじゃ自分のところを褒めちぎってるばっかりみたいだけど、もちろん楽園ってわけじゃない。ただ北米の水準で言えば、かなり優れた環境・文化を持っているのは事実だ。
- 自分が対戦するとしたら突いていくのはボットレーンだろうけれど、現状、ボットレーンを潰して試合を作るのは簡単じゃない。ボットは今あまり試合への影響力が強いレーンじゃないからね。
- 万が一ボットにキャンプされても、HauntzerとBjergsenが他のレーンで勝ったら意味ないし。
以上、DoubleLiftのNA LCSパワーランキングでした。ご視聴どうも。
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とまあこんな感じの内容でした。
文字にすると彼の冷静な雰囲気が出にくいですけど、僕が見る限りとても冷静に物事を見ていて、いわゆる「煽り」はゼロでした。単に理由を添えて意見を述べているだけ。
正直、プロのストリーム見てても話している内容が人間的になんか合わねえなって思って見続けられない人が結構いるんだけど、DoubleLift氏はいつでも悲観的にならず、勝つには、自分の仕事を十全にこなすにはどうしたらいいかを考えるタイプで見ていて楽しいです。Summer Split、うまく復帰できることを期待したい。
元相方AphromooがThescore Esportsのインタビューの流れで「DLはストリーマーやってたほうがいいんじゃなーい?」とか言ったと報道されてアレな感じになってますが、まああれも文脈ありきで「プロってしんどいからね、ストリーマーのほうが稼げるし、それでよきゃそりゃそっちのが楽でいいよ」みたいなノリだったので誤解なきよう。
さて、NA LCSどうなりますかねー。個人的にはTeam Liquidがきちんといいポジションでプレイオフまで進み、ちゃんと勝ち残ってMSIとか出て欲しいなーって思いますけど、やっぱり上位4チームには勝てないかなあ…。
Breaking Point(限界点):Team Liquidドキュメンタリー 要約&私的感想
Worldsが終わって皆がオールスター楽しみだねーってなってるところに、HTC Esportsチャンネルがとんでもない赤裸々ドキュメンタリーを投下してきたので、急遽紹介します。
動画の題名「Breaking Point」の訳は(我慢などの)限界点、破壊点。
チームの内情が落ち着いていないことを示す噂の多かったTeam Liquidが、2016年シーズンを赤裸々に振り返ったドキュメンタリーになっています。
まずは、Team Liquidって今年どんな感じだったっけ?という方のためにおさらいを。
今年TLの成績:
- Spring Split:4位
- Spring Playoff:4位
- Summer Split:5位
- Summer Playoff:5/6位
- Regional Qualifier:初戦0-3で敗退(Worlds出場の最後のチャンス)
つまり、NA LCSの中堅どころ。 また、今年は以下のようなニュースがありました
- Dardoch選手、Piglet選手、LocoDocoコーチの不仲説浮上
- Dardoch選手、Spring Split開始直前に態度が問題としてチームから謹慎処分を受ける
- Piglet選手、途中でNA CSチームTLAに降り、その後NA LCS昇格戦で敗北して帰国
- Dardoch選手、最終的にTL→Echo Foxへ移籍
100分? 長い。結局、何が描かれている番組なの?
- Dardoch選手、LocoDocoコーチ、Piglet選手、Fenix選手それぞれの苦悩
- Matt選手、Zig選手、Lourlo選手他、TL/TLAで活動する選手やスタッフそれぞれの思い
- eSportsのプロチームという環境の生々しい現実(のひとつ)
- 基本的に時系列で出来事を追いかけている
これだけでは内容がサッパリなので、以下に駆け足でハイライトをまとめてみます
ざっくりハイライト
- Spring Split前に、チーム初となる韓国合宿を行った
- しかしそこでチームの人間関係が修復不可能なほどこじれてしまった。理由としては…
- NA LCSのチームが日常的にスクリム(模擬戦)する相手は同じLCSチームと、CSチーム。つまり、LCS上位でなくても、格下相手に練習することが多いため勝率はある程度高くなる
- しかし韓国で対戦した相手はことごとく自分たちよりも強く、とにかく負け続けた
- 韓国合宿を行ったチームは、そこで結束を強め課題点を洗い出し強くなるチームと、自信をズタボロにされて調子を崩すチームに別れる傾向がある
- Liquidの場合、後者だった。各選手が不満を溜め込んでしまい、それがDardoch選手とLocoDocoコーチ、そしてPiglet選手の間に大きな亀裂を生み出してしまう
- 通常ならばオーナーであるLiquid112氏も一緒に行って、そういった「修復不可能な問題」が起こる前に対処するのだが、その時はビジネス上どうしても外せない商談があり欠席した。
- もちろんビデオチャットなどはしたが、効果は不十分だった
- 韓国合宿中はPiglet選手の態度も士気に影響した
- カリフォルニアにいる時は親しい友だちがImpact選手くらいで、ほとんど孤独に過ごしていた。彼女も友だちも韓国にいたから
- 韓国合宿ではその反動で、合同練習時間が終わると友だちや彼女に会いに行ってしまった。これがチームメイトの、特にDardoch選手の不満の種となった
- Dardoch「俺が手首の怪我をおしてまで一日16時間練習してるのにPigletが合同練習終わるとさっさと遊びに行くの本当に苛ついた」
- もちろんPigletは合同練習ではモチベーション高くしっかり練習はしていたそう。ただ、「韓国合宿に熱心に取り組む」ことの定義が彼と他のメンバーで乖離していたのも事実だったと語る
- またDardoch選手本人が、Pigletを選手として尊敬しているし、ゲームが終われば友だちとして付き合えていたと語る。ただゲーム中になると、感情が強く出過ぎてしまい、彼いわく「自我が勝手にしゃべりだす」状態になってしまうのがで軋轢が生じてしまったと語る。それを今は悔いている、とも
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LocoDocoコーチとDardoch選手の関係はさらにひどかった
- 売り言葉に買い言葉で口論になることがしょっちゅう。映像を見ていても特にDardoch選手の口から「Bullshit」(事実でない、たわごと)や「Fucking」といった単語が連発されていた
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これを重く見た経営陣が、Spring Split直前にDardochの謹慎処分を決める。
- Dardoch選手としては「俺がいなくなることで俺の価値を認めざるを得なくなるだろう」と考えた
- チームとしては、チャレンジャーチームTeam Liquid Academyでジャングラーとして活躍していたMoon選手にLCSのステージ経験を積ませるいい機会になるし、本人も乗り気だったので、いいだろうと考えた
- Dardoch選手の態度にオーナーも苦労していたが、ことさら難しい問題だったのが「彼がチームで最も重要なプレイヤーである事実」だった
- オーナー「彼を失うことは、結局他のチームに優れた選手を渡すことであり、自チームの弱体化でもある。それは経営上優れた判断とは思えなかった」
- オーナー「結局Dardoch選手を外すことで、LocoDocoコーチ含め他のメンバーに、(Dardoch選手を外すことで彼の態度という問題ひとつを解決するのではなく)彼を戻した上で各種チームの問題を修復していくのが良いと感じてほしかった」
- 結局Moon選手の成績は振るわず、謹慎後はDardoch選手が復帰、その後は勝ち星を伸ばした
- しかしDardoch選手とPiglet選手はSplit通じてゲームのメタ理解に相違があった。Dardoch選手がトップ重視メタだと感じていたのに対し(LYE注:これは実際に当時の解説者もそう言っていた)、Piglet選手はボット中心のメタだと考えていたからだ
- この点で両者が合意に至ることはなく、結局ゲーム中にもその意識の違いから連携にミスが出ることがあったし、その結果失敗すると両者の溝はさらに深まった
- またDardoch選手の傍若無人ぶりは変わらずで、LCSステージ上で「もうこの試合負けだわ さっさと負けて次の試合に行こうや」などと発言しており、これがさらにチームの不和を生んだ
- この発言は特にPiglet選手の気持ちを萎えさせた。結果、彼はチャレンジャーチームであるTeam Liquid Academyへの移籍を願い出る
- Piglet選手は「自分がSKTを去った理由は、今のTLのようにチームの雰囲気が悪かったから。自分はこんな環境でプレイしたくない」と言っていたと紹介されている
- このとき本人は「自分が不在になることで、チームメイトは自分の選手としての価値を再認識するのではないか」という期待があったとも明かしている(代役で入ったfabbbyyy選手がユーティリティプレイヤーとしてチームと連携を見せたので、この目論見は直接的には失敗だった)
- いざTLAに移籍してみると、Piglet選手は笑顔を取り戻す。「ここは雰囲気がいい。チームとしての団結力もある。誰もが自分の声に耳を傾けてくれるし、選手としての自分に敬意を払ってくれる」と語る。最初の数週間のあいだは…
- しかしやがてPiglet選手は状況に不満を抱えるようになる。チームは、一番のベテランである彼にリーダーとして振る舞うことを求めたが、彼は「僕はリーダーじゃなくプレイヤーだ」と話す。「自分はすぐ怒りすぎるんだ」とも。一時は士気が低下したが、それでも彼は自らを奮い立たせてTLAを引っ張っていく。
- その後もDardoch選手は変わらず
- チームの前で「俺がフルタンクレク=サイなのにAoE持ちキャリー2人よりダメージ出してるとかおかしいだろ?それなら5対5のピックじゃなくて俺にキャリーチャンピオン取らせろよ」などと発言、チームメイトは沈黙
- Lourlo選手とDardoch選手の関係
- ふたりはトップとジャングラーということもあり、ゲーム内でも密に連携を見せていたし、また友人としても非常に上手くやっていたという(両者が「チームで一番の親友だ」とそれぞれ言っている)
- Lourlo「Dardochのおかげで、自分はプレイヤーとしてものすごく成長できた。本当に感謝している」
- Dardoch「Lourloと俺は親友だ。親友だから、成績が振るわない時は"大丈夫、お前よくやってるよ"とかじゃなく、正直に"最近のお前ひどいぞ"って言ってた。それが言える間柄だった」
youtu.be 物凄く仲の良い二人の様子
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オーナーとの口論(に近い話し合い)でのDardoch選手の発言がとても印象深い。オーナーから態度に対する注意を受けて:
- 俺はプロだ。チームで一番練習もしてる。だからこそチームメイトが熱意に賭けてて、練習不足で、Diamond 5みたいなプレイをし続けるんだったらそれは許容できない。プロ意識の欠如だ。
- 俺はこのチームで一番Worldsに行きたがってる。俺はこのゲームのプロになるために普通の人生を諦めて、高校だってファッキン中退してるんだ(確かMatt選手もそうだったと思う、とも述べていた)。人生賭けてる。中途半端な気持ちでやってるわけない。
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ある日、Dardoch選手はEcho Fox行きを決める(どちらが先にコンタクトしたのかははっきり言われていなかった)
- Dardoch選手は親友だったLourlo選手にそれを告げた
- Lourlo選手はそれを「人生で一番つらい一夜だった」と振り返る。たくさん泣いたと
- Dardoch選手とPiglet選手が抜けた後はFenix選手とLocoDocoコーチの関係も悪化、Fenix選手の士気低下が顕著になる
- Loco「試合中にもっと発話しろ発話しろって言ったってしかたないだろう?もっと生産的な言い方があるはずだ」
- Fenix「俺が何言ったってアイツら黙っちまうんだからしかたないだろ」
- Fenix「俺はただ、きちんとレーン戦ができて、ゲーム中に発言できて、練習ちゃんとやる仲間とプレイしたいだけなんだ」
- Echo Fox移籍後のDardoch選手「Pigletのことは兄貴みたいに思っていた。今、こういう状況になってしまったけれど、また友人に戻りたいと思うよ。あの時、"自我が勝手に喋る"真似ばかりして彼との絆にヒビが入ってしまったことは今でも後悔している」
- TLAコーチDavid Lim氏(次期TLヘッドコーチ)の発言がすごくかっこよかった
- 結局、それぞれが今年の反省を胸に、新しいスタートを切るのであった…おしまい、という締め。
LYE的まとめ
いきなりですが、このドキュメンタリーのテーマのひとつは「コミュニケーション不全」だと感じました。eSportsシーンの厳しさ云々の前に、どうやって他者と円滑にコミュニケーションできるか、ということの大事さを繰り返し強調されていたからです。 僕自身、これまでNA LCSの解説を聞いて「外国人(韓国、中国)選手との意思疎通が課題」という話や「○○選手はだいぶ英語も上達して意思疎通できるようになってきたそうですよ」みたいな話は時折聞いていたので、各チームの非ネイティブ英語話者が苦労しているということは知っていました。それにしても、実際に彼らが外国語で意思疎通を図っているところを見ていると、これはゲーム中もそれ以外でも相当にストレスが溜まるだろうなと感じました。自分自身が英語が不自由な時期に、自分の主張をきちんとできずイライラを募らせた経験があるので、かなり具体的に想像できたところであります。
自分が怒っている時に思っている以上のこと、あるいは思ってもいないことを口走ってしまうことは母国語でもあると思います。それを外国語で行おうとすると、どうしても無言になってしまうか、本当にやりすぎてしまうかになりがちなのです。Piglet選手とFenix選手については、その点本当に同情せざるを得ませんでした。
もしもPiglet選手とFenix選手の英語が過不足ない程度まで上達した状態でチームに入っていたら、もっと違った結果もあり得たのではないかと思います。Piglet選手が英語でリラックスして会話でき、友人も作れたでしょうし、フラストレーションが溜まった時に、その場でそれを「十全に」表現することもできたでしょう。Fenix選手も、自分の気持ちを強調するのにいたずらに「ファッキン」を連発させず、もっと建設的な発言もできたかもしれません。そう考えると、やはり言語の壁というのはとても大きなものだなと感じました。
スポーツ選手という「旬の短い」職種でなければ…学生や研究者のようにみっちり英語を身に着けてから渡米するという選択肢もあるのでしょう。しかしeSpotsにおける外国人選手は即戦力だからこそヘッドハントするのであり、また実戦から遠ざかることがすなわちキャリアの緩やかな死に繋がりかねないわけで、そういった時間を割くことは今後もおそらく難しいと思います。能力だけではなく、性格的な部分での見極めをしっかり行っていく以外に、今のところ方法はないように思いました。
また、コミュニケーション不全を引き起こした第二の要因には「感情制御の難しさ」があると思います。
動画中でMatt選手とDardoch選手が別々の文脈で「自分たちは"普通の生活"を諦めて、燃えるような熱意を持ってプロ活動している、普通ではない人間だ。その人材に、普通の人のように感情を制御して動けと言われても難しい」というような内容の発言をしていました。これは確かにそうなのかもしれません。しかし一方で、たとえばMatt選手は「ウチはスクリム(模擬戦)で負けたら腐るし、他人を避難しだすけれど、CLGは違うらしい。あそこは負けてもきちんとみんなで試合を見直して、教訓を得て、生産的に前に進もうとする雰囲気があるらしい」と述べていました。つまり、(当然の話ではありますが)プロだから感情を制御できないなんてことはないわけです。むしろ強豪ほど、メンタルをしっかりコントロールしているというのは今年のWorldsを見て誰もが感じたことではないでしょうか。
実際に動画中のDardoch選手とLocoDocoコーチの会話を聞いていると感情的で喧嘩腰な物言いが目立ちます。そういった雰囲気の中では他の選手達も皮肉や無言、あるいは同じく喧嘩腰の言動しか見せなくなっていました。これは、チームの文化であったり、コーチの人柄であったり、それまでに構築してきた信頼関係なのだと思います。成績がすべての勝負の世界ですが、David Lim氏が述べているように、eSportsチームは「選手がベストな環境でプレイできるように全力を尽くすこと」を最重要課題のひとつとして認識しなくてはいけないのでしょうね。上を目指すのであれば、特に。
乱暴にまとめれば、このドキュメンタリーは「Team Liquidの今年の失敗まとめ」です。そこから何を得るかは、受け取り手が何をしている人かによって全然違うでしょう。チーム運営をしている人ならば直接的な教訓を得られるかもしれませんし、僕のようなファンボーイであれば、そうだったのか…とチームに対する思い入れに変化(それが良い変化かどうかは別)をきたすでしょう。ひとつだけ言えるのは、これを公開するのは相当勇気が必要だったはずだということです。公開してくれたTeam Liquidに拍手を。
繰り返しになりますが僕は単なるLCS / Team Liquidファンボーイです。Team Liquidが今年の経験を活かし、来年度に見事に復活してくれることを祈っております。なおこれを見てLYEはDavid Limコーチが大好きになりました。これは来年、本当に期待できると思いますよ。
お知らせ:更新頻度がさらに落ちます
もうすぐWorlds開幕ということでLoL観戦ファンとしては一番盛り上がる時期なのですが、休養していたお仕事にぼちぼち復帰したこともあり、Worldsの時期は更新がおそらくできないかと思います。
これまでも更新が途絶えたことはちょいちょいあったので特にお知らせする程でもないかと思ったのですが、自分が読んでるブログが突然更新途絶えるとこの人生きてるのかなとか心配することがあるので一応書いておきます。
きっと観戦した感想とか解説つまみ食いとかはTwitter @lye_でつぶやくと思うので、生存確認等にご活用いただければ幸いです。
なおLYEの贔屓チーム(Team Liquid、UoL)はWorldsには出られなかった模様です。おまけにDardochがEcho Fox移籍してるし!びっくりだわ!
ただLegends Risingを見て中国EDGと、台湾勢ahqに急速に感情移入し始めているので、本戦はじまったら彼らを一生懸命応援していきたいと思います。それでは、お仕事頑張ってきます。
LJL Summer Split Final観戦 / Revolさんマジ神
今日はいつもと違ってLCSの話題ではないです!
実は先週末、幸運なことにLJL Summer Split 決勝を観戦できたので、そのレポとかを書いてみたいと思います。
会場の雰囲気や結果などは各種メディアで取り扱われているのでそちらを参考にしていただくとして、ここでは僕が個人的に気付いたことを書いてみます。って、個人ブログなんだから当然なんですけれども。
各種メディアでの記事
- RPG対DFM、因縁の決勝戦!「LJL 2016 Summer Split Final」試合レポー選手の声も | Game*Spark - 国内・海外ゲーム情報サイト
- 「LJL Summer Split Final」優勝はRampageに! - GAME Watch
- ASCII.jp:PCゲーム「LoL」日本決勝大会 Rampageが悲願の優勝!
- 『LJL 2016 Summer Split Final』でRampageが王者DFMを下し優勝、世界大会予選の出場権を獲得 | Negitaku.org e-Sports
- 【LJL 2016 Summer Split Final】コスプレや現地の画像まとめ 【LoL】 - NAVER まとめ
開場~試合開始まで
バロンのお出迎えからティーモ、コスプレ、ルンバに乗ったミニオンなどはいろんな記事で紹介されているので繰り返しは書きませんが、どれも丁寧に、入念に準備されているなあという印象を受けました。
あと、開場直後の人の少ない時間帯だったからかもしれませんが、Rioter と思しきスタッフさんが休憩用スペースを回って来場者の方々と楽しそうに談笑していたのが印象的でした。おお...コミュニティ...。
Spring Splitの時は代々木体育館だったので、開場がホテルとなった今回、このあたりのホスピタビリティはきっとずっと上がったのではないかと想像(Springは観戦できませんでした...)。
あと7th HeavenのAwaker選手が会場に来られてて、ファンの人から写真撮影をお願いされているのを5、6回見ました。日本の大会で選手が憧れの対象になってるのはやっぱり見てて、競技シーンというものが根付いてきてるんだなと感じました(対応も慣れた様子でナイスガイでした)。
試合開始後~決着まで
しかし会場にいる間ずっと感じ続けてたのが、ココにいるみんな本当にLJLを応援してて、楽しんでて、憧れてるということ。
そういう人間が1500人くらい集まってる。大学生くらいの年齢層が多いけど、年齢もそこそこ幅広い。女性も多い。全員が試合の行方を固唾を呑んで見守ってる。現場ではビッグプレイに合わせて叫び声なども上がり、熱と一体感がプロスポーツ試合のソレと同じ。
僕は主に北米と欧州のLCSを見てきてたので(LJLを追いかけ始めたのは本当に最近)日本の会場での盛り上がりは、北米や欧州とは違ったりするのかな?と少し思っていたのですけれど、実際に足を運んでみたら何のことはない、League Of Legendsのプレイヤーがビッグプレイを観戦して見せる反応って世界共通でした。いやあ、見に行けてよかった。本当に盛り上がって楽しかったです。
解説のRevolさんは日本の宝
先に申し上げておくと、僕はプロの試合をたくさん見ているというだけでプレイはめっちゃくちゃ下手です。だから試合の中でも高度な駆け引きは何が行われてるか分からないところがたくさんある。
それでもLCS観戦が楽しいのは、解説のプロがそのあたりを先回り予測/リプレイでフォローしてくれるおかげで、戦略的な駆け引きの妙を理解しつつ観戦できるからなんですよね(英語解説の面白さについては、過去の試合解説翻訳から感じ取ってもらえたら嬉しいっす)。
で、ほんの最近まで「いやー英語できて得してるわー」と思ってたんす。なんせプロの解説者の数がめっちゃ多いから、好きなだけ耳年増になれる。
ところがですよ。解説のRevolさんがもうマジで神なんですよ。英語圏の解説者って、ちょいちょい「視聴者に求める前提知識が上がりすぎて、ガチ勢以外置いてけぼり」な時があるんですが、Revolさんはそれが全然なくって。しっかり初心者でも楽しめるようにフォローを入れながら、的確な解説を時間の許す限りガシガシ入れてくる(あとコミュニティでは「かわいい」ことでも知られる)。
試合中に両チームのWin Condition(直訳で勝利条件、意味としては「勝ち筋」のような感じ。前半強いチャンピオン構成ならスノーボールするとか)をサラリと説明したと思ったら、直前に購入されたアイテムの選択意図を説明したり。
こんな素晴らしい解説が日本語で聞けるなら、少なくともゲームのアナリシス的な意味においては、僕が海外の試合解説を翻訳する意味なんかねえな!と思うくらいでした。
普段の試合でも素晴らしい解説をされるなあとは思ってたんですが、今回のでノックダウンです。僕はRevolさんのファンになりました。NA LCSではTeam Liquid、EU LCSではUnicorns of Love、LJLではRevolさんを応援します。
Riot Japanの皆様、というわけでRevolさんは素晴らしいと思うのでぜひ末永く解説席に座ってもらえるよう、何卒よろしくお願いいたします。
個人的ベストゲーム
これで終わると完全にアレな人になってしまうので、決勝戦の個人的ベストゲームを挙げてみたいと思います。僕が一番しびれたのは、DFMが勝利したGame 4。徹底的にチーム編成上の Win Conditionに沿って勝ち切った試合でした。
ダブルTPとシェンの瞬身護法による有利と、GravesとJhinによるバースト火力の脅威を活かして、RPGの得意な5v5すらほとんどさせず、キルにならなくても有利を作ってガンガンオブジェクティブを落としていき、最終的にスノーボールして、構成上ではRPGが後半アウトスケールするにもかかわらずそれ以前に試合を決定的にしてしまったあの試合でした。僕は個人技や集団戦でキルがたくさん出る試合より、そういうのが好きなんで完全な個人的な好みなのですけれども...。それだけにGame 5は悔しかったなあ...素人目にはマップコントロールはDFMのが上手だと思うので、次のシーズンに向けて連携力を高めていって欲しいですね。
現場からは以上です!
Best Of 5シリーズだと、メタ的に強いチャンプとそのシリーズで強いチャンプみたいなのがせめぎあう感じ、楽しいですよね。さあこれからIWCQ、RPG頑張ってください!
そしてWorldsへ!ハー、LoLファンは楽しいね!
おまけ
以上、日本サーバー LYE がお送りしました! ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。
P.S.
@mamacake360さんZiggsガムありがとうでした!
2016 NA LCS Summer Split: CLG vs TL: W8 D2 解説翻訳
そろそろこのブログの名前をLYEのTeam Liquidファンブログにしようか真剣に考え始めましたこんにちは。
先週末のNA LCSはTMS vs P1 など物凄く盛り上がる試合がたくさんありましたが、今日はその中でも僕の大好きなTeam Liquid対最近調子を上げてきているCounter Logic Gamingの試合 (合計3ゲーム) についてつまみ食い翻訳していきたいと思います。
実はBest Of 3形式になってから、どうやったら試合解説を読みやすく面白くできるかずっと考えてたんですが、今回のこの試合はシリーズを通じて解説が「つながる」感じがして、大変興味深いなと思いまして。
なお、つまみ食いという性質上、今回は箇条書きでいってみたいと思います。読みにくい、読みやすいなどフィードバックがあればぜひ教えてください。
試合開始前のAphromoo選手インタビュー
- TLはFabbbyyy選手の起用によって大きくスタイルが変わった。
- これまではPiglet選手を中心としたBotレーン重視のチームだったのに対し、今はFabbbyyy選手がユーティリティ (ある種の補佐的役割、キャリーの対義語)プレイヤーとして動いているので、Dardoch選手がTopやMidのソロレーナーに対してもっとリソースを割けるようになってる。だから今回以降は、Dardoch選手により一層注意を払わないといけない。
キャスターデスク雑談
- Jatt氏: Matt選手は若いAphromoo選手なんて呼ばれている。両者には色々と共通点がある。レーン戦が落ち着いてロームをしだすと手がつけられない、とかそういう点以外にも、Aphromoo選手が初めてデュオを組んだのがDoublelift選手、Matt選手がPiglet選手、どちらも非常にレーン戦が強い選手で、ふたりともそれに見合うスキルを身につけるために努力を重ねた。そして最終的にさまざまな事ができる選手にまで成長している。そういう意味で、Matt選手はこれからAphromoo選手の動きからいろいろとインスピレーションを受けられるのではないかと思う。
ゲーム1: Pick & Ban
- TL Ban: Jaxは順当。Darshan選手がJaxをPickしたときCLGは勝率が高いので。
- CLG 1st Pick: VladimirはNerfが来て再優先で取りに行くチャンピオンではなくなったものの、最近Huhi選手のパフォーマンスがVlad以外のチャンピオンで安定していないので、これは良いピックだと思う。
- TL 1st Pick: Sivirは現在LoLで一番強いチャンピオン、という評価があるくらいなので、Banから漏れたなら可能な限り早い段階で取るのが吉。併せてKarma を取ったことで、SivirのUltに対抗するチーム全体のスピードアップスキルを相手に与えないという効果も期待できる。
- TL 3rd Pick: Irelia はCLG Darshan選手のGnarを「刺せる」ピックです。これまでもGnarが主流ピックだった時にはその対面としてIreliaをピックする動きはありましたが(今回もそれですね)。ここのところLourlo選手はキャリー系のチャンピオンで良い結果を出し続けてきています。Spring Splitの頃は「これといって目立つところのないタンクプレイヤー」だったとは思えないくらいに。
ゲーム1: 試合中
- CLG、Botへのガンクが何度も決まり、Stixxay選手のAsheに3キル集まる
- Fenix選手のCassiopeia、ソロキル含めて13分の段階で3キル獲得
- Jatt氏: CLGのこの構成は、とでCCを重ねて、あとはなんとか他のメンバーと相手を殲滅していく、というのが流れになるので、この流れは良いですね。あとは他のレーンが大負けしなければ...
- Jatt氏:Dardoch選手のは、CLGのTopとMidを執拗に攻めて、CLGの勝利条件である「ソロレーンを大負けさせず、Botレーンデュオで相手を仕留めていく」を崩していっていますね。
- (私見:ちょっとした見どころ)Jatt氏:(のUltを受けてもFlashすら使わずやりすごしたDardoch選手のを見て)ああ、早々にMercury's Treadsを積んでますね。耐久力の低いチャンピオンであれば、スタンはQSSやクレンズで対処するもの、というのが昨今の流れですが、タンクであればがかなり有効なんですよね。これはいい買い物だと思います。
- Jatt氏: (Blueチームの赤バフ付近でTLが2人の犠牲でAceを決めたことについて) これが今のTLのスタイルなんですよね。の美しいUltが決まってを沈めましたが、TLのソロレーナー2人と こそがダメージ上の脅威なので。
- Jatt氏: Dardoch選手、Matt選手、Fabbbyyy選手、この3人が敵を引きつけている間にFenix選手とLourlo選手が相手を殲滅する、というのがPiglet選手を外してからのTLの勝ち方ですが、このスタイルはCLGにもしっかり通用していますね。
TL、最終的にDardoch選手が死亡した状態で4v5を強いられたにもかかわらず、Aceを決め、その勢いでインヒビタータレットを折り、力押しでそのままネクサスまで折って勝利。
ゲーム2: Pick & Ban
- TL 3rd Banで。前回大きな成功を収めたをBanしてきました。そして最後の枠でもをBanしなかったのは...これはたとえ取られてもLourloが対応できる、という自信の現れか...?
- CLG 3rd Banで。CLG、自分たちで使わないにしても、相手には取られたくない様子。それほどまでに評価しているということか。
- TL 2nd PickでLucianとSona。を取られてがBanされているので、あとはユーティリティ的なマークスマン筆頭はJhinあたりを取りに来るかと思いましたが...これは意外。現在プレイ中のパッチはにホットフィックスが当たる前なので、SoloQで恐ろしい勝率を上げていた時点でのです。ただ競技レベルになるとSoloQとは事情が異なって来るとは思いますが...地の性能としては非常に高い、というのは間違いないでしょう。しかしこれはかなり心配ですね。Fabbbyyy選手にとなると、彼が試合をキャリーするスタイルになると思います...が今のところそのスタイルではなかなか勝てていないんですよね。これがPiglet選手だったら、このBotレーンデュオはやばい、かなり脅威だ、となると思うんですけれど。
- CLG 2nd Pickで。CLGはTopレーンのチャンピオンを先に晒してでも、Midレーンのカウンターを取りたいということか。しかしこれは好きじゃないかな...では、先ほどの試合でもLourlo選手のをPeelできなかった。そもそもは今のメタで先出しできるチャンピオンというには心もとないと思う。
- CLG 3rd Pickでと。特にはまたしても驚き。どうやらTLは本当にBotレーンをスノーボールさせて試合を決めるつもりの様子。
-
先ほどあれだけ圧倒的に勝てたTL側がこれほど大きくスタイルを変えてくるのはちょっと分からないですね。正直どうなるか分かりません。
ゲーム2: 試合中
- (TL、初手で相手青バフを奪う。Botレーンの押し混み具合、Jglのルート取りが興味深かったので気になる人は最初の3分くらいをご覧ください)
-
(私見:ちょっとした見どころ)Dardoch選手のRek'Saiですが、12分の段階でジャングルアイテムよりも優先してを積みました。これ、韓国のプロの間でも流行してるのビルドなんですが、ジャングルのクリアが速くなること、そしてタイマン性能が高くなることの2点からとても強力です。今後北米でもより頻繁に見られるようになるかもしれません。
- TL、何度かタワーダイブをしかけていくものの、逆に負けることが何度か。そのたびにJatt氏から「連携に欠ける」、「アグレッシブ過ぎる」と評される。
- 結果、Huhi選手の、先ほどの鏡写しのようにキルを重ねて手がつけられない火力に。
- Jatt氏: (CLGがMid Tier 2 を折った後) 普通ならCLGはそろそろ1-4か、1-3-1を仕掛けたいところですが...そしてCLGはそれも得意なんですが、実は5v5の集団戦も非常に得意で、さらに今はノリまくってるMidもいる...さてどうするか
- 結局、Baron Buff付きの5人でまとまってBot Tier 2にシージを仕掛け、Inhibitor タレット前で仕掛けてきたTLを死亡者なしで4人倒し、勝利をつかむ
- Jatt氏: 今回の試合、TLは疑問の多いDraftでした。そもそもFabbbyyy選手のはLCSのステージでは全然結果を残せてない。そしてFenix選手の。試合1ではMVPだったのとは完全に逆で、非常に大きなミスをなんども犯してしまった。
ゲーム3: Pick & Ban
- CLG 1st Pickで。
- TL 1st Pickで&。CLGはメタにおける強チャンピオンを押さえ、TLは今日のこのシリーズにおける強チャンピオンをピックした格好。
- Fenix選手はTLのなかで唯一ネイティブ英語話者じゃない。そんな状況で他者のタイミングに合わせてロームしたり集団戦をするのは非常に難しい。その点、ならばしっかりファームして、集団戦で火力を出すという、彼にとってやりやすい形にもっていけるのではないか(訳注: NA/EU LCSではこの話題は多く、韓国や中国のスター選手が活躍できない大きな要因として扱われることが多いです)。
- CLG 3rd Pick: 先出しでTop。TLがどう対応してくるか、興味深い。おそらくタイマンで勝負になるを持ってくるのではないか(実際そうなった)。
- 対なら、少しだけが有理か。
ゲーム3: 試合中
- 至るところでキルの取り合い。
- (私見:ちょっとした見どころ)TL Matt選手のがHuhi選手に対してFlash > Ultを何度も試みるが、Huhi選手が素晴らしい反射速度でFlashし、逃げる。
- (24分経過) Jatt氏: の終盤におけるダメージは圧倒的。対するは&が揃った現時点が相対的に最も強い時間帯。しかしFabbbyyy選手は先の試合でも何もできていなかった。CLGはこのままが育つのを待ち、クリティカルヒット連発の W (跳刃) で相手を圧倒できるようになるまで我慢する戦略を取っていくのではないか。
- TLのチーム編成的に、も (流行ビルドの場合)も終盤失速するチャンピオン。これをどうするかが課題。
- (30分経過) Jatt氏: Fenix選手の、1試合目では相手がだったのでMorellonomiconを積んだものの、今回は対面がなのでRylai's Crystal Scepter & Abyssal Scepterで多少のタフさを持たせている。
- (30分経過) Phreak氏:一方Huhi選手の、まだVoid Staffを積んでいませんね...相手のタンクを倒しきることを考えると、持ってないとマズいと思います。
- TL、集団戦を制してBaronを獲る。ゴールド差5000。
- (32分経過) Huhi選手、を積む。Stixxay選手の、Mortal Reminderを積む。
- Jatt氏: TLはDraftで有利を取り、それを活かしているといますね。
- Phreak氏:TLは過去、とにかく急いで勝ちに行くチームだったけれど、今や着実に勝ちを取りに行けるチームに進化してきています。
- 解説、「TLよいチームになりました、プレイオフが楽しみです」ムードに。集団戦も圧倒して再度Baronも獲る。ゴールド差、最大11000。
- エルダードラゴンで集団戦、Stixxay選手が凄まじいダメージを叩き出し、Huhi選手もきちんと火力を出しきり、CLGが死者ゼロでAce→逆転大勝利!
- 勝利時点でもゴールドは5000差!
試合後インタビュー: Aphromoo選手
- Q:まずは率直に、どんな気持ち?
- A:この一週間、意識的に劣勢からどう戦うかを練習していた。その成果が出たと思う。本当に良かった。
- Q:すさまじい劣勢だったのに、最後の集団戦、勝てると思ってた?
- A:もちろん。場所とタイミングさえ揃えば、勝てると思っていた。前線が伸びていて、後衛の火力を発揮するまでにタイムラグが生じるあのタイミング。ドラゴン周辺の狭い場所。それができた。
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以上です!
すっごく面白い試合でした。(TLファンじゃなくても) ぜひご覧ください!
あとは、TSM vs P1 も大変見応えのある試合だったので、先週の試合はあんまり見てないなーという人はそちらもぜひ。
TSM vs P1 - Game 1 Summer Week 8 Day 2 (NALCS1) - YouTube
P1 vs TSM - Game 2 Summer Week 8 Day 2 (NALCS1) - YouTube
TSM vs P1 - Game 3 Summer Week 8 Day 2 (NALCS1) - YouTube
以上、日本サーバー LYE がお送りしました! 今回新しいスタイルでつまみ食い翻訳してみましたが、どうだったでしょうか。ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。
メモ: LCS視聴間に合わない人にtheScore eSportsのYoutubeチャンネルおすすめ
最近更新ができていないのですが、翻訳したいものは溜まっていってます…そして寝かせると賞味期限が切れて残念なことに。そのままスルーするのも悲しいので、ここで小ネタだけでも差し込んでおきたいと思います。
EU LCSでSplyceのMid Sencux選手が、先週のUoLとの試合でTaliahがBanされたことについて触れ、LCSにおいてどのような強みを見せられるかという問いに答えました。
まず「まだプレイしていないから詳細は言えないけど、他のチームは自分たちがTaliahをプレイすることを知っている (からこそのBanだった)よね」と述べ、Competitive Scene外でもSolo Queueでかなりの勝率を誇っていることや、UltによるTwisted Fate的なマッププレッシャーとAniviaのような壁の利用方法があることをサラリと述べてました。もしかしたら今週の試合でPickされるかもしれないので、注目したいです!
PBEでは既にTaliahに少しNerfが入っているみたいなので、有効期間は短いかもしれませんが。
そんで今日の投稿で紹介したいのは、最近ここでよく取り上げているtheScore eSports。このサイト、EU/NA LCSの各試合 (ゲーム単位でなく、2/3試合通して) の要所だけをまとめた動画を毎週公開しているのです。
Summer Splitから欧州はBest of 2、北米はBest of 3になり、全試合チェックするのは非現実的になった人も多いのではないかと思うのですが、これならば贔屓/注目のチーム以外の試合もある程度流れを追いつつ時短確認できるので、大変便利です。Pick & Ban順も一瞬ですが見えます!
結果だけ見るのは味気ないけど、試合を見るのも時間が足りないなあ…なんて人にはうってつけではないかと。凄そうな試合はその後で公式チャンネルで通して見る、なんて使い方もできます。このまとめ動画は、だいたい試合終了後3~5時間でアップされている印象です。
EU LCSのこれまでの結果は、Automatonさんで詳細な記事が上がってますのでそちらを要チェックです。
以上、日本サーバー LYE がお送りしました! ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。
NA LCS Team Liquid Dardoch選手インタビュー翻訳
今日はTeam Liquidファンボーイとして連敗脱出した同チームから、ジャングラーのDardoch選手インタビューを翻訳してみようと思います。先日からジャングラー特集みたいになってますが特にそういう意図はありません。ソースは先日と同じくtheScore esports。
調子の悪いチームの内情とか聞ける機会もあんまないし、Dardoch 選手は先日チーム内で謹慎処分を受けたりしてたので、こういった話を聞けるのはおもしろいですね。
彼はなんというか強気で真面目で裏表ない感じの人柄なので、これからも頑張ってほしいなと思います。
動画はこちら
Scarra: 2ゲーム連取でEcho Foxに勝利したばかりだけど、率直に今の気持ちは?
Dardoch: 正直、まあまあという感じかな。勝てたのは良かったけど内容がひどかったから腹が立っているというのも本当。
Scarra:どうして内容がひどくなったんだろう? ゲーム1ではRengarをピックして、チームもそれに合わせて構成した感じだったけど、どうして綺麗に試合を決められなかった?
Dardoch: ゲーム1については、こちらにZilianとRengarがいるとはいえ、究極的には相手がこちらに突っ込んでくるのを待たなくちゃいけなかった。こちらからUltで突っ込んでもピンクワード置かれて退却されるってのが4、5回、いやもっとあったかもしれない。で、そこからコミュニケーションが途絶してしまって、チームが何度も孤立したところを相手に捕まって…ただ結局はチーム編成で勝ってて、知力勝負でも勝ったから試合を決められた、って感じだったと思う。
※Dardoch選手はLCS前まで自認する「Rengar専ジャングラー」で、「自分はRengarが得意で、そこをベースに他チャンピオンの使い方を覚えたプレイヤー」と言っています。
Scarra: ゲーム1についてだけど、ジャングルのBanはRek'Sai一体だけだったけど、Echo Fox側はEliseで来るっていうのは読んでいたのかな? (Echo FoxのEliseピックはTLのRengarピックの後だった)
Dardoch: Eliseは確かに予期しているピックだったよ。Hard選手のチャンピオンプール(得意とする"手持ち"チャンピオン)的に、Rek'SaiをBanすればあとはKha'zixとGragas、Eliseだったし、この状況ではKha'zixはあり得ないからどちらかだろう、ならRengarで行けるという判断だった。
Scarra: Matt選手は遠距離攻撃のサポートチャンピオンを得意としているけれど、Bard以外の遠距離サポートだとイニシエートできないよね。それに加えてTopレーンのメタはタンクからダメージ出せるチャンピオンに移行している。そうなるとイニシエートの責任が君に大きくかかることになる。今回の試合でもかなりイニシエート役やってたよね。Rengarでしくじったところもあったけど、それでもかなりの回数仕掛けてた。そういった責任が自分にかかってくることについてプレッシャーになったりはしたのかな?
Dardoch: いや、プレッシャーは問題ないよ。Spring SplitでもGragasやLee Sinみたいなチャンピオンをたくさんプレイしていたし、そういうチャンピオンでFlashからのイニシエートはこれまで数えきれないくらい仕掛けてきてるから。正直言えば、イニシエート役のほうが好きなくらい。ただRengar以外でね (チラっとScarra氏の目を見る)。
Scarra: なるほどね (笑) さて話題は変わるけど、最近君はチームから謹慎受けてたよね。そして代わりにMoon選手が入って数週間プレイしてた。このあたり、どういう経緯で謹慎になったのか、そして結果的にMoon選手じゃなく君がスタメンに戻ってきたのかについて話を聞けるかな?
Dardoch: 謹慎の理由は自分の態度に問題があったから。チーム内で衝突を繰り返してて。主に自分とLocodocoコーチ、Piglet選手の間で「How League of Legends is supposed to be played (LoLはどのようにしてプレイされるべきか)」の考え方が違ったことが原因で。3者ともに異なる考え方を持っているところに、自分が若くて未熟だから語調を荒げたかんじの口論になってしまった。ほんとうに、結論めいたものも出てこない、単純な怒鳴り合いみたいになってしまって。正直、自分は時間を置いて落ち着く必要があったと思う。そういうわけでTeam Liquid Academyに移籍して数週間プレイしたんだ。今はずっといい状態になっているけどね。
Scarra: なるほどね。さて繰り返しになってしまって悪いんだけど、Moon選手はどうだったのかな? 本番でのパフォーマンスだけでなくて、君の不在中に彼がチームにもたらしたものとか、価値とかそういう点では。
Dardoch: 色んな人がMoon選手のことを明確な理由もなくこき下ろすけど… よくある言い方になるけど「模擬戦では」彼の技術はとても素晴らしかったよ。自分と同じか、それ以上だったと思う。でも本番では失敗が多かったね。大きな違いがあるとしたら、自分のほうが彼よりもずっとコミュニケーション能力が高いということかな。
Scarra: なるほど。さて、Team Liquidは他のチームと違って、Spring Splitからスタメンが変わってない珍しいチームだよね。そんな君たちにとって、今の強みと弱みってなんなんだろう? 特定のスタイルが馴染んできたとか、そういうところもあるのかな?
Dardoch: 以前はPiglet選手を中心にしたチームだったよね。僕がファーミングで一歩先を行ったら、その有利をBotレーンに突っ込む、Fenix選手がMidを押しこんだらBotに流れる、Lourlo選手がテレポート有利を取ったらBotにテレポートする、そういう感じだった。
一方でLourlo選手はキャリーチャンピオンで知られる選手だった。IreliaとかRivenとか。で、当時は毎週頭に彼と「どのチャンピオンで行きたい?」って話し合って、試してみたんだけど、結局うまく行かなくて、最終的にタンク系チャンピオンに落ち着くという結果になってた。でも今やメタはキャリー系になってきてるから、これまでみたいにBot頼みというのは通用しなくなった。だからチームとしてスタイルを模索している最中というのは間違いないね。
Scarra: そのスタイル模索中っていうのが、試合運びが綺麗にいかない理由なのかな?
Dardoch: いや、そうじゃないよ。理由は僕らが全員Tilt (主に「心が折れる」という意味で使われる) しやすいプレイヤーだからだよ (笑)。
Scarra: 分かる気はする。CLG との試合もそうだったよね。じゃあこれからどうやってTopにプレッシャーをかけて、スタイルを見つけ出していく予定なのかな? 今後の目標というか予定は?
Dardoch: まず僕らはもっと地に根を張って、Tiltしないようにならなきゃいけないよね。CLG 戦では正直自分は心折れてたし。これからは過去の自分達のパフォーマンスと現在を比較して、その差をしっかりと認識しないとね。心の底から勝ちたいと思ってるし、そうやって行動を見直しつつ練習していけば結果はついてくると思う。
Scarra: もし君が謹慎になってなかったら、事態は変わっていたと思う?
Dardoch:そりゃあ自分がいたら何かできただろうって思うところがあるのは間違いないよ。Moon 選手がいた時もチームとしてまとまっている雰囲気もあったけど、Spring Splitやプレイオフの時と比べたらまだまだだったと思う。
Scarra: ありがとう。最後に、君のファンやアンチに一言あれば。
Dardoch: ファンでもアンチでもTwitchでの視聴者であることには変わりないよね (苦笑)。ファンのみんなには、いつも僕やチームを支持してくれてありがとうって伝えたいな。
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以上、Dardoch選手とインタビューScarra氏でした。
やっぱりプロでも、プレイオフで善戦するチームでも心は折れるんですね。これが日本のシーンにとって何らかの役に立てば幸い…。
以上、日本サーバー LYE がお送りしました! ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。