用語解説:「ジャングルプロクシミティ」って具体的に何なの?
こんにちは、馬チームファンボーイです。TLはなんとかLCS残留を果たし、UOLはグループ1位でプレイオフ進出と馬好きにはなかなか複雑なSplitでしたが元気にやっております。
さて本日は
次にブログで解説する用語を決めかねているのでアンケートを…気になるやつに投票いただければ幸いです
— LYE (療養中) (@lye_) 2017年4月2日
こんな感じで「ジャングルプロクシミティ」について知りたい人が多そうだったので説明してみます。
まずは単語を分解してみましょう。
Jungleは、そのまま「ジャングル」です。
Proximityとは「近さ」という意味です。
つなげても「ジャングルの近さ」となり、意味が分かりません。
実はこれ、本来は「Jungler Proximity」、つまり「ジャングラーの近さ」という用語だったようです。うん、それなら何となく想像がつく。
ただそれが(たぶん言いにくいとかそういう理由で)今の形になっているとのことです。下のTweetでも、Riot StatsチームのRiotSpellsy氏がそのように明言しています。
@AkuraJebia yeah, official name i think is jungler or tries to be jungler proximity but I failed haha
— Spellsy (@RiotSpellsy) 2016年10月13日
なお、このStatは%で示され、
チーム○○のトップレーナー△△のジャングルプロクシミティはn%でリーグトップ
のように使われます。
ジャングルプロクシミティ(以下、JP)の定義についてはRiotSpellsy氏のTweetを引用翻訳します。
@TiberiusAudley amount of time jungle spends around X player in the early game (3-15 mins)
— Spellsy (@RiotSpellsy) 2017年1月19日
@EdgeworthLoL we count 2000 range (caitlyn ult rank 1, zac E rank 4 or something) -- track it via internal tools i wrote haha
— Spellsy (@RiotSpellsy) 2017年1月20日
翻訳すると:
- ゲーム序盤試合開始3分~15分のみ計算
- 「近く」の定義は 2000 ユニット(ケイトリンのULTブルズアイのLv1射程と同じ)
- 計算はRiotSpellsy氏が作成した内製ツールで行っている
※この概念は『Stats Science 101:Top Laner Performance』(プレイデータサイエンス入門:トップレーナーのパフォーマンス)という動画でも紹介されています。
要するに「レーン戦でジャングラーがどれだけ近くに寄ってくれてるか」を示す数字です。2000ユニットはそんなに広くありません。具体的にはこのくらいです。
ジャングラーとよっぽど仲良しでないと、JPの%は上がらないわけですね。
一方JPが高いのにファームもしっかりできているジャングラーは、相手からは神出鬼没に見えるという感じでしょうか。
なお、このStatはここ数ヶ月でよく使われるようになったもので、僕の知る限り1年前にはまだ使われていなかったように思います。
また当然ながらジャングラーが近くにいるほどキル/デスへの影響は高くなるので、
今後は海外配信を見ていてこの数字が出てきたら、JPに応じてキル/デスやCSが増減することも考慮するとより楽しく観戦できるのではないでしょうか(「JPめっちゃ高いのにキル取れてないしCSも勝ててないじゃん」、「JP低いのにCS負けてないしデスもしてない!どんだけ安定してるんだ!」とか)。
………え、長い?えーと、「ジャングラーがどれだけレーンにプレッシャーかけてるかの数字」です。以上!
そのうち、次点だったウィンコンディションヘイルマリーバロンについても書いてみたいと思います。
またその他分かりにくい用語などあればtwitter @lye_ までお知らせくださいー。僕がわかりそうなら取り上げてみたいと思います。
以上、今シーズンもARAMばっかりやっているLYEがお送りしました。
用語解説:「フリーバロン」って厳密にはどういう意味?
こんにちは。馬チーム好きです。UOL vs G2の試合が待ち遠しくてソワソワしています。TLのことは聞かないでください。これからです。これから。
今日は、解説とか翻訳してて端的に訳出するのが難しいなーと思った表現を一個かるく説明したいと思います。
Free は「タダ」でいいのか?
英語解説聞いていると、よく"This Baron is free (このバロンはタダ)" みたいな表現が出てきます。
状況だけ見ていると、単純に「タダ」で手に入るという意味に見えますが、厳密に言うとちょっとだけ違うんですよね。翻訳する時とか、そのへんのニュアンスをどうするか結構悩むのです。そこで誰得だよとは思いながらも、翻訳するときってこんな事考えてるんだよーという意味合いも込めてコレ書いてます。
フリーといえば、無料や自由という意味で使われる単語ですが、LoL(あるいはMOBAや祖先であるRTS)の場合、ゲームの前提となる概念と密接に結びついています。
これらタイトルが「リソースの奪い合い」であるという点です。
つまりMOBA系の解説は、何らかの成果を得るには時に代償が必要になるという前提のもとに話されているんですね。小さなものではダメージ交換もそれです(キャラクターの体力というリソースの削り合い)。
この前提が抜けていると「タダ」という単語の意味合いも少しだけズレてしまいます。
で、Freeはどういう意味なの?
「代償を一切払うことなく手に入れられる」という意味です。そのままですが、これをMOBA文法的に解釈すると「自軍は何らかのオブジェクトを確保するが、敵軍は何も手に入れられない」という意味になります。
つまり、このタワー/ドラゴン/バロンはFreeだ、と言う時、それは単に今なら安全に獲れるというだけの意味ではなく、「相手はその行動に対して何の対価も得られない」という意味があるんです。
なので、たとえばブルーサイドがドラゴンを獲る時にレッドサイドがタワーを折れれば、「ドラゴンとタワーの交換」になるので、これはFreeではありません。
ここで「お、じゃあ一方的にハラスするのはどうなの?」と思った方!たしかにその通りで、「○○ Got tons of damage for free (○○は山ほどフリーダメージもらいましたね)」なんて言い方をする時もあります。相手は攻撃できない(敵のリソースを削れない)のにこちらは攻撃できる(敵のリソースを削れる)という意味で、損害なしの一方的交換(それは交換じゃないですけどまあ、便宜上)になるわけです。
はい、以上!
あと翻訳する時に困る表現としては「Mechanics」と「Skill Cap」などがありますが、それも需要がありそうならいずれ取り上げてみたいなと思います。正直言うとどちらもカタカナで通じるようになると色々楽だなー(ハナホジ)とか思ってます。
以上プレイは下手糞なLYEがお送りしました。
EU LCS Krepo氏がG2選手と話した時「強いチームと戦える体制を整えている」と言ってたという話
今日は解説のつまみ食い翻訳ではなく、ちょっとした小ネタです。
今週からEU LCSはグループ間のチームが対戦することになったわけですが、そんな中でグループ上位同士のカードとなったG2 vs H2Kの試合中、解説担当していたKrepo氏が面白いことを言っていたので紹介します。
発端は、G2が以前のように「レーンで勝ったらそのレーンを圧倒してスノーボールする」という戦術を取らなくなったよね、という話から。この話題になった時、Krepo氏がG2メンバーと先日話をしたと明かし、特にMithy選手からこんな事を聞いたよと言っていました。
曰く、今は「レーンで勝ってレーンの有利を広げる」ことを目的とするのではなく、「レーンで勝てたらどうやってチームの有利を生み出すか」を考えているとのこと。
これについてKrepo氏も、確かに従来のかたちでもEU LCSでは勝てるかもしれないが、国際大会ともなれば相手はBang選手とWolf選手のコンビになったりするわけで、そうそうレーンで勝てるわけではないし、多少有利ができたとしてもそこから何キルも重ねて取れることはない。だから、ただ欧州で強いチームであることよりもより強いチームになることを目指していくならば良い方向性だと思う、と言っていました。Krepo氏は明言していませんでしたが、要するに「格上の相手とも戦える体制を整えている」のだと思います。
今年からMSIとWCSに日本参加枠もできましたし、日本の強豪チームも今後はそういう事を考えていかなくちゃいけないのかもしれませんね。
なおフルセットとなったこの試合も、とにかくオブジェクト重視で進められていました。なるほどそういう狙いがあってのことなのだなと興味深かった。大変見応えのある試合だったと思うので、未視聴ならぜひそんな部分に注目しながら見てみてください。
以上今年もまだアンランクドで絶賛ARAM専のLYEがお送りしました。
2017 EU LCS Spring Split: OG vs UOL: W2 D1 G1 解説翻訳
今日はEU LCS 2017 Spring Split Week 2 Day 1より、Game of the weekだったOrigen vs Unicorns of Loveの試合について、解説のつまみ食い翻訳をしてみたいと思います。
コレ、何もかも完ぺきな試合ではなかったとは思うのですが、色々と現在のメタとか、勝利条件とかでDeficioさんが面白いことを話していたので共有したら役に立つ人もいるかなーと思いまして。
特にUnicorns Of Loveはドラフトが読めないことでもよく知られているチームですが、読めないだけでなくなかなかの心理戦をしかけてるみたいですよ。
それでは前口上はさっさと切り上げて解説翻訳に進みます。
凡例:Deficio氏(解説) / Piratechnics氏(実況)/ LYEの補足
試合前
- Unicornは第一戦、自らレッドサイドを選択。
- 先週の試合ではEU LCSでは初となる「あえてレンガーをBanせず」、そこにポッピー、アイバーン、ルルでカウンターをかけるという戦略を取っていましたね。結局レンガーはそのせいでバーストしきることができなかったので、なかなか興味深い戦略だったと思います。最初の20分をしのぎきれば勝ちという感じの構成でしたね。
Pick & Ban
- 10 Banシステムの導入以来、ブルーサイドは狙いを持ったBanをできる一方で、レッドサイドはいわゆるOPチャンピオンのバンを強いられる状態になっています。でもこの試合ではそんなの見たくないですね。
【OG、カ=ジックスをBan】
- まあそうでしょうね。レンガーが常時Banされている現在、実質最強のジャングラーですから。
【OG、ブルーサイドにもかかわらずOPであるカミールをBan】
- 言った通り、UOLが何を仕掛けてくるかわからない以上、OGはここで念のためカミールをBanしてきましたよ。わざと空けてカミールファーストピックを強いられ、まだ見ぬカウンターを繰り出されるのを避けたのでしょう。ただOGは先週のH2K戦でもブルーサイドでカミールをBanしていたので、TOP Satorius選手がカミールをプレイしたくないからかもしれません。
【OG、1stピックでジェイスをロックイン】
- ここのところよくジェイスがピックされていますね。彼が1stピックとして優れているのは、Flex Pick(ドラフトの進行によって複数のレーンを担当できるチャンピオン)だからです。先週の各試合でもそうでしたが、だいたいどのチームも最初の1stピックフェーズではFlex Pick、ADC、Supportをピックしています。(つまりBotを固めてソロレーンをFlex Pickにしておけば、2nd Banフェーズで不利なところを狙い撃ちされにくい)たとえば、もし自チームがアッシュをピックした状態で相手がADCをピックしなければ、2nd BanフェーズでヴァルスとジンをBanできてしまいますからね。
【OG、ジェイス(Flex)/ヴァルス(ADC)/ザイラ(Sup)をピック】
- 今UOLはSupportのカウンターとしてフォーチュンもピックできますが、ここはJunglerもありですよ。ここでレク=サイやリー・シンなどの強いJunglerを取れば、あとは2nd BanフェーズでJunglerを狙い撃ちできますからね。
【UOL、シェンをロックイン】
- ああ、UOLはすごく独自の戦略を立ててきますからね…でもJunglerを残したのは良かったのかもしれません。Xerxe選手はチャンピオンプール深いですからね。何か隠し玉を用意しているのかもしれません。
【UOLの1stピックフェーズを見て】
- ジェイスの1stピックに反応するかたちでソロレーン2つを取ったのはいいですね。ジェイスがどちらのレーンに行くとしても、シェンなら厳しいながらも忍者足袋とJunglerの助けがあればなんとかしのげるでしょうし、ジェイスは放っておいてBotにULTで飛んでキルを生みだすこともできますから。Midに来てもライズならなんとでもできる。
- さてUOLはSupportどうするのでしょうか。Topにシェンを置く時は、Botが強くないとダメなんですよね。ミニオンを思いっきり押し込んで、ダイブするプレッシャーをかけていかないと。
【OG、最後のピックでJunglerにオラフをロックイン】
- おっとこれは…確かにオラフは後衛に突っ込むことはできるかもしれませんけど、OG側、他のメンバーは紙装甲ばっかりですよ?
【Pick & Banを終えて】
- UOL、Supportバードとはとても珍しいですね。何らかの作戦があるようですが。しかしOG側のJunglerはエリスのほうが良かったのではないかと思います。序盤のギャンクプレッシャーが強いですからね。タンクなしの構成の場合、序盤~中盤でスノーボールしていかないとしんどいです。試合が長引いて40分経過したら集団戦でタンクなしというのはね。
- OGはBotレーン勝てるかが大事そうですね。
試合開始
- UOLはTopとBotがかなりしんどい上に、ランブルは序盤ギャンクが有効じゃありませんからね。この両レーンで負けるとかなり辛いのでは。Topはミニオン押し込まれたりポークで体力半分になったりしていたら、タワー折られる危険が高いですし、体力少ないとULTでギャンクにもいけない。
【OG Bot、ヴァルスとザイラという強力なコンビながら強い有利を作れないのを見て】
- この2人ならもっと勝ってないといけません。OGのBotレーンについてはこの点批判が出てるんですよね。2人とも受け身なんです。ポークし放題なのに、アグレッシブに出られていない。
- このままLv6を迎えると、ULTのせいでランブルの存在感がぐっと高まります。シェンもいるし、バードのULTもキルを生み出せる。Botで5v3を起こしたりできるようになってきます。だから現時点でOGのBotがCSで負けてるのは問題ですよ。
- このままズルズルいくとライズが育ちきっちゃいますね。
- ええ、ランブルもまた同様です。序盤のギャンクが弱い代わりに、後半戦の火力は凄まじいですからね。
- さあLv6を迎えましたが、OGは望むほどのゴールド差をつけられていません。
【OGオラフがTopをギャンクしに行くも、逆に捕まってダブルキルを取られる】
- Wisdomのオラフは致命的なミスをしましたね。Midのライズ(ULTで距離も詰められる)がMIAになってからしばらく経っていて、自軍のカシオペアは追いつけない場所で、フラッシュのないチャンピオンで、あの場にいるのはダメでしょう。MidがMIAになった時点で即時撤退すべきでした。ただTopを狙いに行ったこと自体は正しいと思います。グローバルULTを持つチャンピオンがいる場合、そのチャンピオンのレーンを攻めるのが定石ですからね。ただやり方がまずかっただけです。
- OGはこういうコミュニケーションのミスが目立ちますね。もちろん新しく5人集まったばかりのチームですから、最初の数週間はそれで普通だとは思いますが。
- Lv6を迎えて、OGのBotはますます厳しくなりました。いつシェンのULTが飛んでくるか分からず、ランブルもいますから、もうレーンでプレッシャーをかけるのは諦めるべきです。
【そのほぼ直後、Botをランブルとライズがギャンク、シェンもULTで加わってOGザイラをキル】
- 当然こうなりますよね。ただ試合の流れはマップを見るとすぐわかります(シェンがULTを発動するため早々に後退しており、ライズもMIAだった)。OGは即座にTopタワーを折る反応を見せていますが、それならBotに2人が残る理由はまったくなかったんです。確実にキルされる状況だったのに、サモナースペルも3つ使ってしまっている。
【OG Satorius選手のジェイスが初手ブラッククリーバーを積む】
- これは正しい判断ですね。対面タンクならば、アーマーを溶かすアイテムをさっさと積む。2ndアイテムにラストウィスパーもありえます。いい対応です。ここからは、Topに留まる意味はありません。ウェーブを押し込んで次を待つのではなく、他のレーンにロームしていかないと。
【Botレーンでザイラが捕まったことから集団戦に発展、OGが3-1交換で勝利】
- まず、シェンがいるのだから人数差がある状態で戦闘に持ち込まないと意味がありません。自分が飛ぶ、相手が飛ぶ、その時は勝負をかけない、次に自分だけ飛べる有利を活かして人数差を作る。こうしなければ、普通に5v5やれば戦力互角なんですからこうなりえます。
【ザイラ、Midで再びバードのULTに捕まりデッド】
- そもそも前に出る必要なかったですよね。自分は紙装甲でフラッシュがCD中、相手はバード、ミニオンに固執しなくていい場面。あんまり繰り返し言うのは気分が良くないですが、良くないです。ここはガマンですよ。
- Hiiva選手は元々チャレンジャーシリーズでタンク系サポート使いとして知られていますからね、まだまだ学習中ということなのでしょう。
【UOL、1-3-1でプッシュを始める】
- これは効果的ですよね。シェンとライズがそれぞれプッシュする。シェンはいつでも飛べ、ライズもULTがあるので他のチャンピオンよりも早く集合できる。それにタイマンでも負けないですし、いざとなればシェンが護衛にかけつける。そうなるとカシオペアは、プッシュされきった後にファームするしかなくなる。その間にライズは他のレーンにロームできる。
【UOL、ふたたび集団戦で最初に捕まえた相手に固執する&シェンULTが遅れるというミスで敗北(1-2交換)、ゴールド差4kでOG有利に】
- 方向性としては間違ってなかったのですが、実際のプレイがダメでしたね。UOLは何度も同じ間違いを犯しています。
【UOL ジンが妖夢の霊剣を積んだのを見て】
- このビルド、一番ポピュラーというわけではないですが、この構成には刺さりますね。「脅威」は今タンクを倒すためのものではなく、紙装甲の相手に確定ダメージに近い威力を出すためのものですから。
【劣勢のUOLを見て】
- UOLはいつもながらの個性的なチーム編成で狙いは良かったのですが、それに沿ったプレイができていませんね。さっきも1-3-1でライズがレーンを押し込んでいたにもかかわらず、人数差を作り出せていなかったし。
【その後Mid(人数は3v4でOG有利)とTop(人数は1v2でUOL有利)で両方に勝利し、そのままエース、バロン獲得】
- OGは機動力のないチャンピオンばかりなので、ジンのULTが展開されるだけで相当つらいですね。
【OG、オラフがライチャスグローリーゴーストULTで突入するも、当然ながら後衛が追いつけず集団戦に負け、ゴールド差ひっくり返る】
- OGは誰もまともなMR積んでないので、ランブルが本当に痛いですね。Xerex選手、17歳と若く、LCSは初めてなのに実にいい動きをしています。ソロキュー的な派手なビッグプレイを狙うのではなく、必要な時に必要な場所にいてチームの勝利に貢献しています。
【UOL、そのまま数回集団戦を制して勝利】
スタイリッシュなフィニッシュだったのでGIFにしときました。ご査収ください。
【試合後のアナリストデスク】
- Mid(人数は3v4でOG有利)とTop(人数は1v2でUOL有利)で戦闘が起きた時、OGはきちんとコミュニケーションが取れていませんでしたね。Topで2人を引きつけているのに、ジェイスが「そろそろ死ぬわ」って状態になってからMidタワーを押し始めるような状態になってしまっていた。
- OGのヴァルスは、途中からMidを押させてもらえませんでしたね。あれは視界確保ができていなかったこと、そしてバードのULTがあったことが原因です。ヴァルスをピックしてウェーブを押し込めないというのは厳しい。あれでOGは前に出るということができなくなってしまった。それでもTopのSatorius選手は実にいい仕事をしていたと思います。彼のプレッシャーは相当に強かった。実質2v1で勝ちかけましたからね。
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以上、ざっくりとした解説翻訳でした。
2試合目もドラフトが大変面白かった(途中まで1戦目と同じドラフトで来ていたものの、途中からUOLがタンク祭開催)ので、ぜひ見てみてください。
また2試合目ではDeficio氏がOGヴァルスのビルドについて苦言を呈していました。「タンクばかりなのに妖夢の霊剣を初手で積む意味がわからない。ここで買うのは王剣だろう」とのことです。
ADCのビルドについては特にチーム編成によって結構違いが出てきているのが面白かったです。なるほどなー(アンランクド感)。
以上、LYEでした。あ、サモナーネームもLYEなので、ARAM誘ってよね!
DoubleLift氏、2017 NA LCSパワーランキングをつけるの巻
あけましておめでとうございます。TLファンボーイLYEです。
もうすぐNA LCS開幕だなー、はやく10バンドラフト見たいなーと思っていたら休養中のDoubleLift氏がNA LCSパワーランキングをつけてて、面白かったし観戦の助けにもなりそうだったので紹介します。
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僕のところにパワーランキングつけてよとリクエストがよく来るので今日はいっちょやってみようかと思います。
まずランキングの前に現状を。
最近、北米シーンはベンチャーキャピタリストとかも入ってきてチームにすごい資金が流れ込んでるから、LooperやSsumdayみたいな凄まじい選手が北米に来ることになったよね。そういうロスター変更に加えて、メタも大きく変わってる。ボットレーンジグスとか。
ではランキングに入る前に評価基準をはっきりさせときます。
1:Roster:選手のラインアップ
- 観戦してると分かりにくいけど、各個人が下す小さな決断が勝敗に大きく影響するんで、ロスターは大事。それがバタフライエフェクトになって、流れが変わることもある。ワードを刺す位置とタイミングで、その後のチーム全体の判断が変わるとかね。
- ひとつのチームとして動けるかどうか、という点。
では、ランキングいきます。
10位 Flyquest
- NA LCS最悪のチーム名であることは間違いない。
- 選手はBalls、Moon、Hai、Altec、LemonNation。
- Moonは去年LCSでパッとしなかった。それ以外はみんな知ってるビッグネーム。
- じゃあなんで10位? 個人的にチャレンジャーチームにある種の偏見があるから。
- 鳴り物入りでLCSに上がってきてズタボロだったチームは多い。Renegedes、Team Coast。
- チャレンジャーチームで一番成功しているのはAPEX。それでも、去年8勝10敗で7位だったチームが一番。
- しかも今シーズンは他のチームがメンバーを強化しているから、やっぱりFlyquestは厳しいと思う。
- チャレンジャー時代とほぼ人変わってないし、ContractzがMoonになったのは弱体化だしね、たぶん。
9位 EchoFox
- 興味深いチームだよね。というのも、去年、降格がかかったTLAとの試合で2-2になって、例のPigletによるラムスミスピックがあって勝ちを拾ったチームこそがEchoFoxだから。
- 正直あの試合でPigletがちゃんとしたサポートをピックしてたら、彼がキャリーして勝ててたと思う。そうなったら、今LCSにいるのはEchoFoxじゃなくTLAだったわけで。
- そこまで接戦だった、ということを考えるとどうしても、順位は低くならざるをえないよね。
- じゃあなんでFlyquestより上かというと、まあ名前がひどくないというのは置いておくとしてロスターが強化されてるから。
- まずLooperがいる。彼とはやったことあるけど、世界チャンピオン経験者だけあってかなりの腕前だ。経験も豊富。
- KFOと比較したら凄まじい大幅強化だと思う。KFOはスプリットプッシュしかしてなかったし。
- それからジャングルのAkaadianも強化だ。そりゃ前任がHardだから誰が入っても強化だけど(笑)。
- Akaadianはチャレンジャーシーンから来たプレイヤーで過去には一時期レンガー専だった時期もある。おそらく最初は緊張するだろうけど、技術的には優れたプレイヤーであるのは間違いない。ソロキューで当たったことあるし。
- FroggenもKeithも悪くない。悪くない。
8位 Envy
- なんか凄いことになってる。ボットレーン2人が英語話者で、ソロレーンとジャングルが韓国語話者。
- 選手ラインアップとしては凄いかもしれないけど、連携力は望めないだろう。ソロレーンが大キャリーする試合はあるかもしれないけど、ソロレーンとジャングルが韓国語で話しててボットレーンが英語で話してたら連携は無理。
- Seraphの英語はかなり上手だけど、それでもたぶんボットレーンの2人は孤立するんじゃないかな。
- さっきも言ったけど、他のチームが凄い強化をしてきてるから。
7位 Phenix 1
- 選手ラインアップ的には凄まじい。でもチームとしてどうか?と言われたら酷いもんだと思う。
- メンバーは Zig、Inori、Ryu、Arrow、Adrian。
- Zig はまあ安定、凄くいいわけではないけれど、全然悪くない。Inori もかなりうまい。
- そしてRyu(元H2K)とArrow(元KT)。ふたりとも元々の地域であれだけの活躍をしてきたわけだから、当然すごいスキルを持ってる。
- ただ問題はArrowとAdrianのコンビだ。別にAdrianが悪いわけじゃない、そりゃ去年プレイオフでは失速したけど、別に彼の技能に問題があるわけじゃない。
- 問題はArrowの英語はおそらくそれほど上手くないだろうから、ボットレーンコンビが意思疎通できないということだ。
- ボットレーンで連携が取れないと相当しんどい。Ryuが英語流暢で通訳できる可能性もゼロじゃないけど、ミッド選手を挟んでボットがやりとりするのは難しい。
- さらにZigもInoriもまず間違いなく韓国語しゃべれないだろうから、チームとして機能するのに絶対問題が生じる。
- さっきも言ったけど選手ラインアップ的には素晴らしい。ただチームとして機能しないと思うからこの順位。
6位 Immortals
- 選手ラインアップ、話題性はあるよね。Flame(大物だ)、Dardoch(性格とかで話題だ)、Pobelter(誰もが認める安定のミッドレーナーだ)。
- そしてボットレーンのCody SunとOlleh。
- Cody Sunについて説明すると、チャレンジャーシーンから来た選手で、Biofrostと同じチームにいた。
- 大事なのは、LCSに来たばかりのADCは時にサポートに引っ張ってもらいながら成長しなくちゃいけない。
- どのADCも成長しようともがいてる。そしてサポートとの連携が強ければ、成長速度は上がる。こちらの行為に思いがけない反応を返してくれて、それが成長に結びつくこともある。
- 2人が別々に成長していくんじゃないんだ。自分のときも、相方がBiofrostであれAphromooであれ、共に学ぶということがすごく大事だった。そうすることで、強豪相手よりも速く成長できるわけだから。
- Ollehについてはそれほどよく知らない。韓国出身だけど、英語は結構上手だった。ただ異なる地域、異なる文化圏から来たことは間違いないわけで。それがマズいわけではないけれど、果たしてコンビとしてうまく機能するかと言われると難しい点もあると思う。
- そもそもトップ側でHuniとReignOverの代わりになるプレイヤーなんかいないだろうから厳しい戦いになるのは仕方ない。Dardochはまあ大丈夫だろうけど、別に凄くいいわけでもない。
- 総合すると、トップ側は弱体化、ボット側は不安が残る、ミッドはド安定。だから6位。残りのチームが相当に強化されてるから、この順位は公平な評価だと思う。
5位 Team Liquid
- 選手ラインナップ的には、正直言って普通。
- Lourlo:フーン
- ReignOver:ヤベエ
- Goldenglue:フーン
- Piglet:ヤベエ
- Matt:結構いい
- TLには「4位の呪い」と、もう一つ「すげえ選手揃いなのにチームとして機能しない呪い」がある。
- 「Breaking point」を見た人もいるかもしれない(訳注:僕も軽く記事書きましたが左のAutomaton記事のほうが遥かに素晴らしいのでそちらをどうぞ)けど、ずっと選手・コーチの間でいざこざが絶えてなかった様子。
- 去年より良くなったといっても、イコール今年は凄く連携が良い、という意味にはならないからね。
- ReignOverとPigletは間違いなくトップクラスの選手だけど、他の3人がどこまで成長できるかは未知数。
- Goldenglueはちょっと精神的に弱いところがある気がするし。
- そもそも去年戦った時もあまり強い印象なかったからなあ。TLがトップ3に食い込んできたら、驚くと思う。
- 5位にした理由は、ReignOverとPigletだけですでに5位はいけると思うから。あとはチームの連携力にかかってる。
4位 Dignitas
- とんでもなく話題になったよね。多くの人がトップ2~3位に入ると評価してる。僕もかなりいいチームだとは思う。
- ちなみに、新生DignitasはAPEXが買収されて名前変わって復活したチームだよ。
- Ssumday Chaserは文句なしのスターだ。世界最高峰のトップレーナーと、LCK有数の名ジャングラー。このトップサイドコンビは、新たなHuni+ReignOverになるかも。
- LODとXspecialは過小評価されてると思う。前シーズン、XspecialはApolloと組んでた。彼は態度に問題があるとか言われることもあるけど、経験は豊富だし堅実ないい選手だ。でもXspecialはアグレッシブでプレイをガンガン作っていくタイプのサポートなんだよね。
- その相手がApolloというのは相性最悪だった。だから今回LODと組んだら、かなり大きな影響力を発揮できる可能性はあると思う。
- Keaneは…メタチャンピオンを使えないのが好くない。正直、チームの弱点になると思う。メタのチャンピオンに対して、「自分がカウンターだと思うチャンピオン」を当てるのが彼のやり方だけど、メタのチャンピオン自体は自分で使わない。
- 正直言ってKeaneとは一緒にプレイしたくない。メタのチャンピオンというのは一番有効なチャンピオンだから、まずはそれを高いレベルで使いこなすべき。その後、チームがOKを出したら「俺的カウンター」を出すべきだと思う。ずっとそればかりってのはダメだ。
- 「かっこよさげ」で個性的なピックが好きじゃないんだよね。汎用性が乏しく、信頼性も低い。大抵の場合、結果も伴わないし。
- ボットコンビは間違いなくトップ5には入るし、トップ&ジャングルコンビも相当強いから、総合的に見て彼らを4位とした。
- このチームの場合は、ボットは放っといても負けずにちゃんとやれる自立力がある。そこに神がかったトップとジャングルのコンビがいる。この場合、ボットコンビはそれほど韓国コンビとコミュニケーションを密に取らなくても大丈夫だと思う。ただ韓国勢のリードに合わせていく感じでいけばいい。
- それでも他の人が言うみたいに、首位独走のスーパーチームにはならないと思うけれど。
3位 Counter Logic Gaming
- これは議論を呼びそうな順位付けかな。好きな人も嫌いな人も多いチームだからね。
- でも忘れちゃいけないのは、このラインアップはもう3スプリットも変更なくプレイし続けてきてるってこと。
- 変更がなかったチームは唯一彼らだけだ。
- 3位という上位に評価したのは、彼らがチームとして全方位的に隙がないから。そしてコーチのTony(過小評価されてると思う、とのこと)にはちゃんとチームをまとめ上げる力がある。
- StixxayとAphromooはいいボットレーンコンビだと思う。Huhiはパフォーマンスがパッとしない、弱点みたいな扱いをされることもあるけど、実のところDarshanもちょいちょい酷いプレイをしてる。Xmithieは堅実に良いプレイをしてるけど。
- だから彼らが躍進できるかどうかは、HuhiとDarshanがしっかり活躍できるかどうかにかかってると思う。繰り返しになるけど、チームとしてのまとまりは素晴らしいから。
- チームとしてあるべき姿を体現してる。アグレッシブにもなれるし、不利な状態からでも盛り返せる。いいチームだよ。
2位 Cloud9
- いろいろな理由があるけど、2位はC9。正直上位3チームは混戦になると思う。
- だから勝つ確率が高そうなチーム順に並べてる。前回も2位だったし、あの時点で北米で2番めに強いチームだったことは間違いない。
- TSMは3-1で勝ったけど、いいチームだったと思う。Impactはモンスターだしね。All-Starで一緒にプレイしたけど、ほんとに凄いプレイヤーだ。
- All-Starに出たメンバーなら賛同してくれると思うけど、選手として、コミュニケーションも態度も素晴らしかった。
- そしてモンスターと呼べるトップレーナーがいるっていうのは、今のメタでは凄く大きな要素だ。
- どうやらS7はトップ、ジャングル、ミッドが重要になりそうだから。しかもFlame Looper Ssumdayが北米に来てるわけだしね。
- トップがド安定してるというのはC9の躍進を絶対的に支える要素になる。
- 他のメンバーも、Jensenは安定した選手だし、SneakyとSmoothieも結構いい。Meteosの代わりにContractzというのはまだクエスチョンマークだけどね。
- 総合的に見れば、C9は前シーズンとほぼ同じチームと言っていい。これまでずっとまとまったチームとして機能してきたし、後衛のJensenとSneakyも安定感ある。だから、2位。
1位 Team Solo Mid
- 驚きの第1位はTSM(笑)。所属チームだし、なんだそりゃって思う人もいるだろうけど。
- 客観的に見てTSMは相当いいチームだと思うから。トップ、ジャングル、ミッドは相変わらずの安定具合でS7の対応はバッチリだと思う。
- 元々序盤に有利を作れる3人だったけど、北米はこれまでもずっと序盤に有利を作ったチームがそのまま勝ち切る試合が多い地域だから。
- Bjergsenは間違いなく北米トップのミッドレーナーだし、たぶん欧米トップと言ってもいいかな。今シーズンも対面圧倒すると思う。
- Svenskerenは過去数スプリットで成長を続けてるし、それは今年も止まらないと思う。あと、韓国ジャングラーに強いという特性があるんだよね。ReignOverにも強かったり。
- それからマイ・ボーイHauntzer。時には下手も打つけど、そういうときはめっちゃキャンプされたりしてる。でもそれでも、きちんとレーンは守って、1v1では負けないでいる。北米トップレーンで1v1やらせたら上位だと思う。韓国勢が来た今でも。
- そしてボットレーン。WildTurtleとBiofrostの2人は、それぞれ高いレベルでプレイできることを実証済み。あとはTSMという優れた環境で、コンビとして成長するだけ。問題は無いと思う。チームメイトもコーチも素晴らしいから。
- ってこれじゃ自分のところを褒めちぎってるばっかりみたいだけど、もちろん楽園ってわけじゃない。ただ北米の水準で言えば、かなり優れた環境・文化を持っているのは事実だ。
- 自分が対戦するとしたら突いていくのはボットレーンだろうけれど、現状、ボットレーンを潰して試合を作るのは簡単じゃない。ボットは今あまり試合への影響力が強いレーンじゃないからね。
- 万が一ボットにキャンプされても、HauntzerとBjergsenが他のレーンで勝ったら意味ないし。
以上、DoubleLiftのNA LCSパワーランキングでした。ご視聴どうも。
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とまあこんな感じの内容でした。
文字にすると彼の冷静な雰囲気が出にくいですけど、僕が見る限りとても冷静に物事を見ていて、いわゆる「煽り」はゼロでした。単に理由を添えて意見を述べているだけ。
正直、プロのストリーム見てても話している内容が人間的になんか合わねえなって思って見続けられない人が結構いるんだけど、DoubleLift氏はいつでも悲観的にならず、勝つには、自分の仕事を十全にこなすにはどうしたらいいかを考えるタイプで見ていて楽しいです。Summer Split、うまく復帰できることを期待したい。
元相方AphromooがThescore Esportsのインタビューの流れで「DLはストリーマーやってたほうがいいんじゃなーい?」とか言ったと報道されてアレな感じになってますが、まああれも文脈ありきで「プロってしんどいからね、ストリーマーのほうが稼げるし、それでよきゃそりゃそっちのが楽でいいよ」みたいなノリだったので誤解なきよう。
さて、NA LCSどうなりますかねー。個人的にはTeam Liquidがきちんといいポジションでプレイオフまで進み、ちゃんと勝ち残ってMSIとか出て欲しいなーって思いますけど、やっぱり上位4チームには勝てないかなあ…。
Breaking Point(限界点):Team Liquidドキュメンタリー 要約&私的感想
Worldsが終わって皆がオールスター楽しみだねーってなってるところに、HTC Esportsチャンネルがとんでもない赤裸々ドキュメンタリーを投下してきたので、急遽紹介します。
動画の題名「Breaking Point」の訳は(我慢などの)限界点、破壊点。
チームの内情が落ち着いていないことを示す噂の多かったTeam Liquidが、2016年シーズンを赤裸々に振り返ったドキュメンタリーになっています。
まずは、Team Liquidって今年どんな感じだったっけ?という方のためにおさらいを。
今年TLの成績:
- Spring Split:4位
- Spring Playoff:4位
- Summer Split:5位
- Summer Playoff:5/6位
- Regional Qualifier:初戦0-3で敗退(Worlds出場の最後のチャンス)
つまり、NA LCSの中堅どころ。 また、今年は以下のようなニュースがありました
- Dardoch選手、Piglet選手、LocoDocoコーチの不仲説浮上
- Dardoch選手、Spring Split開始直前に態度が問題としてチームから謹慎処分を受ける
- Piglet選手、途中でNA CSチームTLAに降り、その後NA LCS昇格戦で敗北して帰国
- Dardoch選手、最終的にTL→Echo Foxへ移籍
100分? 長い。結局、何が描かれている番組なの?
- Dardoch選手、LocoDocoコーチ、Piglet選手、Fenix選手それぞれの苦悩
- Matt選手、Zig選手、Lourlo選手他、TL/TLAで活動する選手やスタッフそれぞれの思い
- eSportsのプロチームという環境の生々しい現実(のひとつ)
- 基本的に時系列で出来事を追いかけている
これだけでは内容がサッパリなので、以下に駆け足でハイライトをまとめてみます
ざっくりハイライト
- Spring Split前に、チーム初となる韓国合宿を行った
- しかしそこでチームの人間関係が修復不可能なほどこじれてしまった。理由としては…
- NA LCSのチームが日常的にスクリム(模擬戦)する相手は同じLCSチームと、CSチーム。つまり、LCS上位でなくても、格下相手に練習することが多いため勝率はある程度高くなる
- しかし韓国で対戦した相手はことごとく自分たちよりも強く、とにかく負け続けた
- 韓国合宿を行ったチームは、そこで結束を強め課題点を洗い出し強くなるチームと、自信をズタボロにされて調子を崩すチームに別れる傾向がある
- Liquidの場合、後者だった。各選手が不満を溜め込んでしまい、それがDardoch選手とLocoDocoコーチ、そしてPiglet選手の間に大きな亀裂を生み出してしまう
- 通常ならばオーナーであるLiquid112氏も一緒に行って、そういった「修復不可能な問題」が起こる前に対処するのだが、その時はビジネス上どうしても外せない商談があり欠席した。
- もちろんビデオチャットなどはしたが、効果は不十分だった
- 韓国合宿中はPiglet選手の態度も士気に影響した
- カリフォルニアにいる時は親しい友だちがImpact選手くらいで、ほとんど孤独に過ごしていた。彼女も友だちも韓国にいたから
- 韓国合宿ではその反動で、合同練習時間が終わると友だちや彼女に会いに行ってしまった。これがチームメイトの、特にDardoch選手の不満の種となった
- Dardoch「俺が手首の怪我をおしてまで一日16時間練習してるのにPigletが合同練習終わるとさっさと遊びに行くの本当に苛ついた」
- もちろんPigletは合同練習ではモチベーション高くしっかり練習はしていたそう。ただ、「韓国合宿に熱心に取り組む」ことの定義が彼と他のメンバーで乖離していたのも事実だったと語る
- またDardoch選手本人が、Pigletを選手として尊敬しているし、ゲームが終われば友だちとして付き合えていたと語る。ただゲーム中になると、感情が強く出過ぎてしまい、彼いわく「自我が勝手にしゃべりだす」状態になってしまうのがで軋轢が生じてしまったと語る。それを今は悔いている、とも
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LocoDocoコーチとDardoch選手の関係はさらにひどかった
- 売り言葉に買い言葉で口論になることがしょっちゅう。映像を見ていても特にDardoch選手の口から「Bullshit」(事実でない、たわごと)や「Fucking」といった単語が連発されていた
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これを重く見た経営陣が、Spring Split直前にDardochの謹慎処分を決める。
- Dardoch選手としては「俺がいなくなることで俺の価値を認めざるを得なくなるだろう」と考えた
- チームとしては、チャレンジャーチームTeam Liquid Academyでジャングラーとして活躍していたMoon選手にLCSのステージ経験を積ませるいい機会になるし、本人も乗り気だったので、いいだろうと考えた
- Dardoch選手の態度にオーナーも苦労していたが、ことさら難しい問題だったのが「彼がチームで最も重要なプレイヤーである事実」だった
- オーナー「彼を失うことは、結局他のチームに優れた選手を渡すことであり、自チームの弱体化でもある。それは経営上優れた判断とは思えなかった」
- オーナー「結局Dardoch選手を外すことで、LocoDocoコーチ含め他のメンバーに、(Dardoch選手を外すことで彼の態度という問題ひとつを解決するのではなく)彼を戻した上で各種チームの問題を修復していくのが良いと感じてほしかった」
- 結局Moon選手の成績は振るわず、謹慎後はDardoch選手が復帰、その後は勝ち星を伸ばした
- しかしDardoch選手とPiglet選手はSplit通じてゲームのメタ理解に相違があった。Dardoch選手がトップ重視メタだと感じていたのに対し(LYE注:これは実際に当時の解説者もそう言っていた)、Piglet選手はボット中心のメタだと考えていたからだ
- この点で両者が合意に至ることはなく、結局ゲーム中にもその意識の違いから連携にミスが出ることがあったし、その結果失敗すると両者の溝はさらに深まった
- またDardoch選手の傍若無人ぶりは変わらずで、LCSステージ上で「もうこの試合負けだわ さっさと負けて次の試合に行こうや」などと発言しており、これがさらにチームの不和を生んだ
- この発言は特にPiglet選手の気持ちを萎えさせた。結果、彼はチャレンジャーチームであるTeam Liquid Academyへの移籍を願い出る
- Piglet選手は「自分がSKTを去った理由は、今のTLのようにチームの雰囲気が悪かったから。自分はこんな環境でプレイしたくない」と言っていたと紹介されている
- このとき本人は「自分が不在になることで、チームメイトは自分の選手としての価値を再認識するのではないか」という期待があったとも明かしている(代役で入ったfabbbyyy選手がユーティリティプレイヤーとしてチームと連携を見せたので、この目論見は直接的には失敗だった)
- いざTLAに移籍してみると、Piglet選手は笑顔を取り戻す。「ここは雰囲気がいい。チームとしての団結力もある。誰もが自分の声に耳を傾けてくれるし、選手としての自分に敬意を払ってくれる」と語る。最初の数週間のあいだは…
- しかしやがてPiglet選手は状況に不満を抱えるようになる。チームは、一番のベテランである彼にリーダーとして振る舞うことを求めたが、彼は「僕はリーダーじゃなくプレイヤーだ」と話す。「自分はすぐ怒りすぎるんだ」とも。一時は士気が低下したが、それでも彼は自らを奮い立たせてTLAを引っ張っていく。
- その後もDardoch選手は変わらず
- チームの前で「俺がフルタンクレク=サイなのにAoE持ちキャリー2人よりダメージ出してるとかおかしいだろ?それなら5対5のピックじゃなくて俺にキャリーチャンピオン取らせろよ」などと発言、チームメイトは沈黙
- Lourlo選手とDardoch選手の関係
- ふたりはトップとジャングラーということもあり、ゲーム内でも密に連携を見せていたし、また友人としても非常に上手くやっていたという(両者が「チームで一番の親友だ」とそれぞれ言っている)
- Lourlo「Dardochのおかげで、自分はプレイヤーとしてものすごく成長できた。本当に感謝している」
- Dardoch「Lourloと俺は親友だ。親友だから、成績が振るわない時は"大丈夫、お前よくやってるよ"とかじゃなく、正直に"最近のお前ひどいぞ"って言ってた。それが言える間柄だった」
youtu.be 物凄く仲の良い二人の様子
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オーナーとの口論(に近い話し合い)でのDardoch選手の発言がとても印象深い。オーナーから態度に対する注意を受けて:
- 俺はプロだ。チームで一番練習もしてる。だからこそチームメイトが熱意に賭けてて、練習不足で、Diamond 5みたいなプレイをし続けるんだったらそれは許容できない。プロ意識の欠如だ。
- 俺はこのチームで一番Worldsに行きたがってる。俺はこのゲームのプロになるために普通の人生を諦めて、高校だってファッキン中退してるんだ(確かMatt選手もそうだったと思う、とも述べていた)。人生賭けてる。中途半端な気持ちでやってるわけない。
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ある日、Dardoch選手はEcho Fox行きを決める(どちらが先にコンタクトしたのかははっきり言われていなかった)
- Dardoch選手は親友だったLourlo選手にそれを告げた
- Lourlo選手はそれを「人生で一番つらい一夜だった」と振り返る。たくさん泣いたと
- Dardoch選手とPiglet選手が抜けた後はFenix選手とLocoDocoコーチの関係も悪化、Fenix選手の士気低下が顕著になる
- Loco「試合中にもっと発話しろ発話しろって言ったってしかたないだろう?もっと生産的な言い方があるはずだ」
- Fenix「俺が何言ったってアイツら黙っちまうんだからしかたないだろ」
- Fenix「俺はただ、きちんとレーン戦ができて、ゲーム中に発言できて、練習ちゃんとやる仲間とプレイしたいだけなんだ」
- Echo Fox移籍後のDardoch選手「Pigletのことは兄貴みたいに思っていた。今、こういう状況になってしまったけれど、また友人に戻りたいと思うよ。あの時、"自我が勝手に喋る"真似ばかりして彼との絆にヒビが入ってしまったことは今でも後悔している」
- TLAコーチDavid Lim氏(次期TLヘッドコーチ)の発言がすごくかっこよかった
- 結局、それぞれが今年の反省を胸に、新しいスタートを切るのであった…おしまい、という締め。
LYE的まとめ
いきなりですが、このドキュメンタリーのテーマのひとつは「コミュニケーション不全」だと感じました。eSportsシーンの厳しさ云々の前に、どうやって他者と円滑にコミュニケーションできるか、ということの大事さを繰り返し強調されていたからです。 僕自身、これまでNA LCSの解説を聞いて「外国人(韓国、中国)選手との意思疎通が課題」という話や「○○選手はだいぶ英語も上達して意思疎通できるようになってきたそうですよ」みたいな話は時折聞いていたので、各チームの非ネイティブ英語話者が苦労しているということは知っていました。それにしても、実際に彼らが外国語で意思疎通を図っているところを見ていると、これはゲーム中もそれ以外でも相当にストレスが溜まるだろうなと感じました。自分自身が英語が不自由な時期に、自分の主張をきちんとできずイライラを募らせた経験があるので、かなり具体的に想像できたところであります。
自分が怒っている時に思っている以上のこと、あるいは思ってもいないことを口走ってしまうことは母国語でもあると思います。それを外国語で行おうとすると、どうしても無言になってしまうか、本当にやりすぎてしまうかになりがちなのです。Piglet選手とFenix選手については、その点本当に同情せざるを得ませんでした。
もしもPiglet選手とFenix選手の英語が過不足ない程度まで上達した状態でチームに入っていたら、もっと違った結果もあり得たのではないかと思います。Piglet選手が英語でリラックスして会話でき、友人も作れたでしょうし、フラストレーションが溜まった時に、その場でそれを「十全に」表現することもできたでしょう。Fenix選手も、自分の気持ちを強調するのにいたずらに「ファッキン」を連発させず、もっと建設的な発言もできたかもしれません。そう考えると、やはり言語の壁というのはとても大きなものだなと感じました。
スポーツ選手という「旬の短い」職種でなければ…学生や研究者のようにみっちり英語を身に着けてから渡米するという選択肢もあるのでしょう。しかしeSpotsにおける外国人選手は即戦力だからこそヘッドハントするのであり、また実戦から遠ざかることがすなわちキャリアの緩やかな死に繋がりかねないわけで、そういった時間を割くことは今後もおそらく難しいと思います。能力だけではなく、性格的な部分での見極めをしっかり行っていく以外に、今のところ方法はないように思いました。
また、コミュニケーション不全を引き起こした第二の要因には「感情制御の難しさ」があると思います。
動画中でMatt選手とDardoch選手が別々の文脈で「自分たちは"普通の生活"を諦めて、燃えるような熱意を持ってプロ活動している、普通ではない人間だ。その人材に、普通の人のように感情を制御して動けと言われても難しい」というような内容の発言をしていました。これは確かにそうなのかもしれません。しかし一方で、たとえばMatt選手は「ウチはスクリム(模擬戦)で負けたら腐るし、他人を避難しだすけれど、CLGは違うらしい。あそこは負けてもきちんとみんなで試合を見直して、教訓を得て、生産的に前に進もうとする雰囲気があるらしい」と述べていました。つまり、(当然の話ではありますが)プロだから感情を制御できないなんてことはないわけです。むしろ強豪ほど、メンタルをしっかりコントロールしているというのは今年のWorldsを見て誰もが感じたことではないでしょうか。
実際に動画中のDardoch選手とLocoDocoコーチの会話を聞いていると感情的で喧嘩腰な物言いが目立ちます。そういった雰囲気の中では他の選手達も皮肉や無言、あるいは同じく喧嘩腰の言動しか見せなくなっていました。これは、チームの文化であったり、コーチの人柄であったり、それまでに構築してきた信頼関係なのだと思います。成績がすべての勝負の世界ですが、David Lim氏が述べているように、eSportsチームは「選手がベストな環境でプレイできるように全力を尽くすこと」を最重要課題のひとつとして認識しなくてはいけないのでしょうね。上を目指すのであれば、特に。
乱暴にまとめれば、このドキュメンタリーは「Team Liquidの今年の失敗まとめ」です。そこから何を得るかは、受け取り手が何をしている人かによって全然違うでしょう。チーム運営をしている人ならば直接的な教訓を得られるかもしれませんし、僕のようなファンボーイであれば、そうだったのか…とチームに対する思い入れに変化(それが良い変化かどうかは別)をきたすでしょう。ひとつだけ言えるのは、これを公開するのは相当勇気が必要だったはずだということです。公開してくれたTeam Liquidに拍手を。
繰り返しになりますが僕は単なるLCS / Team Liquidファンボーイです。Team Liquidが今年の経験を活かし、来年度に見事に復活してくれることを祈っております。なおこれを見てLYEはDavid Limコーチが大好きになりました。これは来年、本当に期待できると思いますよ。
お知らせ:更新頻度がさらに落ちます
もうすぐWorlds開幕ということでLoL観戦ファンとしては一番盛り上がる時期なのですが、休養していたお仕事にぼちぼち復帰したこともあり、Worldsの時期は更新がおそらくできないかと思います。
これまでも更新が途絶えたことはちょいちょいあったので特にお知らせする程でもないかと思ったのですが、自分が読んでるブログが突然更新途絶えるとこの人生きてるのかなとか心配することがあるので一応書いておきます。
きっと観戦した感想とか解説つまみ食いとかはTwitter @lye_でつぶやくと思うので、生存確認等にご活用いただければ幸いです。
なおLYEの贔屓チーム(Team Liquid、UoL)はWorldsには出られなかった模様です。おまけにDardochがEcho Fox移籍してるし!びっくりだわ!
ただLegends Risingを見て中国EDGと、台湾勢ahqに急速に感情移入し始めているので、本戦はじまったら彼らを一生懸命応援していきたいと思います。それでは、お仕事頑張ってきます。