LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

Rekklesのケネンはどうして強いのか?Deficio氏の分析

昨日ちょっとおもしろい動画が上がってたので久しぶりにざっくり翻訳してみました。なるほどなー。

では以下、どうぞ。お楽しみいただければ幸いです。 

 

ケネンピックした試合では何度となく勝利をもぎ取るRekkles。
今週の「Post Game Lobby」コーナーでは、その強さをチャンピオン自体と彼というプレイヤーの両面から見てみたい。

ケネンの長所と短所

長所

  • 1v1の強さ:バーストダメージとCC
  • 王剣との相性が完ぺき
  • 機動力が高くピールも自分でできる

短所

  • 後半戦においては信頼できるダメージ源になれない
  • リードしていないと1v1性能が発揮できない
  • ミニオン処理スキルがない 

※この場合の「ミニオン処理=Wave Clear」は、タワー防衛時に後方からまとめて処理する能力。ケイトリン、ヴァルス、シヴィアなどは非常に高い

「Rekklesの」ケネンが強い理由

3つの要素がある。

1:ドラフト

FnaticはRekklesがケネンの強みを最大限に活かせるようスプリットプッシュ「できる」ドラフトをする。

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  • トップ:ガリオやシェンなど、サイドレーンにいるRekklesをすぐ支援できるスキルを持つチャンピオン
  • ジャングル:集団戦では強みがないものの、ピック性能が高いエリス、カ=ジックス、リー・シンなど
  • ミッド:まずはミニオン処理能力の高さ。TP持ちルブラン、コーキ、オレリオン・ソル
  • サポート:CCとローム性能の高さ。スレッシュやカミールなど。Rekklesがピックを狙いに行く時に支援できる。また、サポートのマップ予測も素晴らしい。必要な時にそこにいる。

これらすべてがRekkles x ケネンを支えている。「後半の集団戦で勝たなくては試合を決められない」という条件を無効にする戦略。

2:スプリットプッシュ

EU LCSのプロ選手に話を聞いたところ、誰もが認めたのが「サイドレーンでRekklesと1v1はやりたくない」ということ。
ミニオンウェーブの操作が巧みで、マップの理解も強い。いつ押すか、いつ引くかがとにかく上手。
それに加えてトップSoazとのシナジーもある。

もちろんスプリットプッシュだけで全試合を勝つことはできないので、最後の要素が重要になる。

3:集団戦スキル

過去には腰が引けていると評されたこともあったものの、今は違う。
また多くのケネンADCプレイヤーがフラッシュULTで突っ込んでダメージも出せずにデッドするのに対し、Rekklesはひたすら距離を取ってハリケーンを当て続け、ここぞというタイミングが来たらULTで飛び込んでいく。


以上が、Rekklesのケネンが強い理由だと考える。

通常ケネンの強い時間帯はバーストとCCが一番活きる中盤にスプリットプッシュしている時。それを支えるドラフトがあり、ミニオンウェーブの操作力とマップ認識力の高さがあり、そして正しいタイミングで飛び込む集団戦のスキルがある。だからこそ強い。

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※「Rekklesのチャンピオンプール」としてTwitterに投稿されたネタ画像

他地域のリーグでも「真似して」ADCとしてピックされることもあるが、「元祖」は彼といって差し支えないだろう。

そして「EUで唯一ADCケネンをプレイすることが許された男」であるのもそのためなのだ。

※Deficio氏はよく実況席でこれを口にして全員に突っ込まれるため、あえて最後にぶっこんできた模様。下の顔で断言。

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以上、翻訳LYEでお送りしました。

 

MSI 2017メタ 解説拾い&勝手まとめ翻訳

MSI、めっちゃ盛り上がってますねー。

毎年国際大会となると、「普段対戦しないチームが何度も、同じパッチで」対戦するためにいわゆる大会メタみたいなものが進化していきますが、今回はこれをちょっといくつか解説のセリフを解釈したものを書き散らしてみようと思います。観戦の助けになれば幸いです。

チーム編成

全部の編成がこれらに収まるわけではなく、また複数の属性を混ぜた編成もあるわけですが、だいたいこんな感じになっていると思います。

Protect ADC編成

今回のパッチ7.8において、カルマ・ルル・アイバーン・オリアナなどのシールド/リデンプション重ねができるチャンピオンと後半戦でハイパーキャリーになるADCの組み合わせで「とにかくADC守りきって火力でぶっ殺す」という編成が見られるようになっています。特にルル(あとカルマも)は早めにピックするとFlex Pick(フレックスピック、複数のレーンに行けるピック)できるため重要視されています。

ただココのところの試合を見ていると、Banでルル・カルマを開けて相手の構成を誘導し、それに対策をぶつけるところもあるみたいですが、基本的にはどこもできればルル・カルマ両方は取らせたくない、という感じで進んでいます。

ただしMidレーナーがルルを得意としていないチームではこの作戦が取れないため、逆にしんどいようでもあります。

なお、この編成は自動的にADCが火力を出せるようになる終盤戦でこそ生きるため、序盤で負けるとかなりしんどくなります。ただひっくり返して勝利する試合もあるので(Group Stage Day 5 TSM vs G2はシールドによるProtectではなくブラッドサースターと適切なピール、あとZven選手のナイスプレイによるものですが)、ADCにすべてを賭けるというのは後半への保険という意味でも強そうです。

youtu.be

Deficio氏「G2 put all the eggs in Zven's basket」(G2はZvenにすべてを託した)なんて表現もされていました。G2の勝利におけるZven選手の活躍は観戦された方ならご存知のとおりですね。

Hard Engage編成

とにかく後衛ぶっ殺すメンとしてアサシンやダイバーなどがピックされる構成です。解説いわく(というかお気づきの通り)、序盤でしっかり有利を作れないと突っ込んでも倒しきれないという何もできないチームになりがちなので(GAMなどはこれで負けることも多かった)、ExecuteがDifficultだよね(ルー語訳:作戦としては良いけど、それを正しく遂行するのが難しいよね)という評価が多いです。

Deficio氏(あとDyrus元選手もこないだ自分の配信時に言ってた)が「LoLは完ぺきにプレイすることはできないので、相手の失敗をいかに突くかのゲームである」というふうに言われていました。ハイレベルになるほどExecute(作成遂行)が難しい編成と言えそうです。

Siege編成

アイバーンなどタワー攻略に向いたチャンピオン、ゾーニングが可能なメイジ(サポザイラも含む)、ポークが強い、遠距離通常攻撃でタワーを攻撃できるチャンピオンなどの編成で、集団戦で勝たなくてもタワーがボキボキ折れる構成です。特にアイバーンはマッチアップ次第で序盤のカウンタージャングルも強力になるため、序盤にも生きることなどが効果的なようです。と聞きかじりましたが、この構成にするチームはそう多くないのであまり記憶に残ってないです。サーセン

1-3-1編成

サイドレーンを任せられるチャンピオン2人をピックして3レーン同時に押す編成ですが、ハイレベルの試合になると一瞬のミスが命取りになるのでExecutionが非常に難しい、と言われていました。劣勢だとそもそも1-3-1が展開できないというのも大きな理由だと思います。

 

それから特定の編成以外では、今年のMSIでは序盤でがっつりスノーボールすることが非常に重要だ、そのために編成も考える必要がある、という話が何度か出ていた点も紹介しておきます。完ぺきに作戦遂行すればProtect ADCの火力がヤバイ、というのは前提としてありますが、それをシャットダウンする意味でも序盤が大事なのかなと。

チャンピオンピック数(Ban数は考慮しませんでした)

免責事項:話を色々聞いた限りでLYEがまとめたものなので、以下のように明示的に言われていたわけではありません。また、当然チーム編成によって求められる役割が変わるので全部Sにすれば強いというわけではありません。

またBan数を考慮しなかったのは、Flex Pickチャンピオンの数が多くなるのを避けるためです。

データはこちらを参考にしました

Top

S シェン(9) ランブル(8) ガリオ(8) グラガス(7)

A ケネン(5) ノーチラス(5) フィズ(4) クレッド(4)

ガリオとシェン、(それから部分的にはクレッド)はサイドレーンからミッドへの移動が容易である点とタンクとしての安定性が評価されてのもののようです。

ガリオはミッドとのFlex Pickになる点、ミニオン処理能力の高さも評価されています。ドランリングx3で後衛ミニオンをQ一発でクリアできるようになるなど、スムースなローテーションが見せられるのがポイントのようでした。またGAMはHard Engage編成にガリオを組み込んで、後衛に突っ込んだアサシンに合わせてULTを打つなどの使われ方が出ていました。このアグレッシブな使い方はGAMが対G2戦でも使っていましたが「機能させるのは難しいハズの構成なのに、失敗したことなど考えないのがGAM流か」と言われていました。

ランブルはランブルの仕事をすると強いよねという話。

グラガスはレーンで押し込まれないミニオン処理能力とCC、ULTのピックポテンシャルが評価されています。

Jungle

S グレイブス(17) リー・シン(16)

A カジックス(7) エリス(5) アイバーン(5)

基本的にはリー・シンとグレイブスの取り合いになっていましたが、選手によって一方が圧倒的に得意であることが多く、そちらを取らせないためにBanされたり、先に取られたりすることが多いようです。

アイバーンは適切な状況下でのカウンタージャングル能力とタワー攻略時のデイジーの存在感、そして何よりもシールド+リデンプションの回復の厚さが評価されています。また特定の選手が得意としていることが知られており、ターゲットBanの対象になることも多いようです。たとえば対TSM戦ではかなり頻繁にBanされていました。

カジックスは特定の選手(GAM Levi選手など)が得意としていること、1-3-1中やローテーション中に相手を捕まえてのタイマンに強いことが要因か。

エリスは後半で失速するものの序盤のCocoonによるギャンク性能が特に評価されています。ただ後半の失速が手痛いため、編成による、とも。

Mid

S シンドラ(11) オリアナ(9) レブロン(6) 

A アーリ(6) タリヤ(6) ライズ(6) フィズ(4) 

シンドラはレーンを押せてULTで倒しきれる火力が出てCCもある点が評価されているようです。ただ相手に厚いシールドなどがあり一発で落としきれない状態になるとつらいよねという話もありました。カウンターとしてULTでULTを無効化できるエコーが上がっていました。ゼドも無効化できますがこちらはスキルマッチアップ(性能差ではなく技術勝負)になるという評価。
オリアナは強烈なカウンターがなくブラインドで出せる点が評価されているようです。

A Tierに並べたチャンピオンも基本的にレーンが押せること(フィズはちょっと特殊ですが)、1-3-1になった時にソロレーンに行けることが重視されている様子。この場合ソロレーンに行ける条件は「タイマンで負けない」「他レーンにすぐ合流できる」「逃げスキルがある」などのようです。

フィズはトップとのFlex Pickになる点も重要視される要因の模様。

またタリヤはタワー攻略時に敵タワーの後ろにULTを敷いて敵が近づけないようにするという使い方(FWのMaple選手が何度も見事なプレイを決めていました)が有効と見られているようです。

ADC

S:アッシュ(15) ヴァルス (11) ケイトリン(8) 

A:トゥイッチ(8) コグ=マウ(4) ジグス(3)

レーンを押されないチャンピオンが強いという評価のようです。またアッシュ(とケイトリン)はレーンを押し込まれない、終盤のスケールも圧倒的、という点が評価につながっている模様。ケイトリンが空いていてヴァルスピックした時は好み?という意見もありました。A TierのADCはS Tierがピックできない時くらいしか使われないくらいの状態のようです。また、序盤の有利が試合を決めることが多いことから、アッシュはULTによるピックのポテンシャルも評価されている様子。ヴァルスの評価が高いのもこのあたりか。

ジグスはピックした試合を見る限り、序盤ではマナの関係で押し込まれるケースが多いこと、またチーム編成でMidやJglに物理ダメージのキャリーが必要になることなどから運用が難しいよね、という話になっていました。相手がシンドラ→こちらジグス→こちらゼドという流れは数回見ましたが、この場合Midは「シンドラとゼドはスキルマッチアップ(性能的には互角)」という評価が一般的な模様。

またビルドですが、試合によってハリケーンより前にファントムダンサーを積むケースが見られました。これは相手のアサシンに即殺されることを防ぐ狙いと、そもそも戦線が伸びることを想定し、ハリケーンで複数同時攻撃があまり起きないことを前提としている場合に積まれるようです。

Support

S カルマ(11) ルル (11)

A タム・ケンチ(8) ザイラ (6) ナミ(5)

B ブラウム(5) マルザハール(4)

ADCを守るシールドがあり、レーン戦に強く、プッシュもできる2人がS Tier扱いの様子。タム・ケンチはカルマ/ルルが取れない場合によく使われていますが、ソロレーンで一気に人数差を作れるULTと丸呑みによるキャリー保護能力も構成によっては強力となるため、編成によってはカルマ・ルルよりも優先されることも時折見受けられました。

ブラウムは固有スキルからのスタンがキルプレッシャーになることと盾の固さによるところの様子。

マルザハールはピック能力はもちろん、彼がいるだけで相手にQSSを買わせたり、相手のチーム編成を誘導したり(タム・ケンチを相手に取らせる)できる点が買われている様子。

その他言われていたこと

GAMが何度かレーンスワップ(トップとボットが入れ替わること)を繰り出していたことが話題に登っていました。ただ以前と違ってボットタワーが柔らかくなっているので、タワー交換のためではない点がポイントだとのこと。基本的にトップが2v1でも押し込まれないチャンピオンの時に行われ (主にガリオ)、トップで不意をついてキルを取り、そのままトップタワーを削って通常配置に戻ることでボットのタワーを相当削られる代わりにファーストブラッドを取る、という使われ方をしているようです。

実際にキルを挙げたあとでも、「正直効果としては微妙」という評価の人もいました。その後ボットを押し込まれたらタワーを折られてファーストタワーボーナスを取られてしまう上、経験値的にも不利になることが多いためです。

「対面相手が顔を出すまではどのスキルにポイントを振るかは決めない」というのを徹底していないと、やすやすとファーストブラッドを取られてしまうよ、という話も出てました。ただ総合評価を見る限り、たぶん この大会で今後使われることは少ないと思います。

以上、またへーと思ったら適当に書き足したいと思います。以上LYEでした。

 

それにしてもGroup Stage Day 5 TSM vs G2 の試合はすごかった!(↓画像ネタバレ注意)。

見てない人ぜひ

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すごくいい試合だったと思います。

 

 

ADC初期アイテムにドランシールドを積む理由(Youtuber Phylol氏より)

ミッドシーズンパッチで新しくなったドランシールドがADCの初期アイテムとして使われ始めていることをまとめた動画を紹介したいと思います。

このYoutubeチャンネルはPhyさんという元C9ストリーム部門で配信をされていたイギリスの人で、同じく有名YoutuberのFoxdropさんの実のお兄さんです。兄弟とは知らずに両方をチャンネル登録していたので知った時はびっくりしたなあ。


このへんは公式動画「Live/Play」 エピソード1 「Be There(私家訳:そこにいて)」でも取り上げられてます。

www.youtube.com

人物紹介をこんなにしているのは、今回取り上げる動画が公式のものでないことが第一の理由です。


ただ他にもここのところYoutuberが収入面で苦境に立たされているという理由があります。実際Phyさんも先日まではスポンサーなしでやっていましたが、最近はスポンサーを付けて運営しているようです。というわけで、少しでも彼らのような質の高いコンテンツを作ってくれるチャンネル主催者に人が集まるといいなと思って紹介しているのが第二の理由です。

エイゴ チョット ワカル な皆さんはぜひチャンネル登録して、視聴したり広告クリックしまくったりしてあげてください。

Youtubeチャンネル登録はこちら

では以上前置き終わりです。なお、くどいようですがコンテンツはすべてPhy氏が制作されたものであり、僕のブログは抄訳です。また(彼のチャンネルに出来る限り人を送りたいという意図の上、マネタイズしていないブログで紹介しているとはいえ)人のフンドシで相撲を取っていることに変わりはないので、問題があるようであれば本投稿は削除する予定です。

youtu.be

ではコンテンツへ。

現在ADCの初期アイテムとして主流なのは

です。


ロングソードでポーションをたくさん購入する理由は基本的にダメージ交換を積極的に行っていくためです。その過程でガンガン体力を失うことになるため、それを補うためのポーションというわけです。


一方のドランソードスタートはファーム合戦向けまたはキル合戦向けという感じです。ファーム合戦であれば通常攻撃をたくさんすることになるため、ライフスティールが効果的です。そしてキル合戦の場合、増加HPとライフスティールがモノを言うわけです。

そして第三の選択肢として浮上してきたのが:

  • ドランシールド + ポーションx2
    • 価格400
    • +80 HP 
    • +6/5秒 体力自然回復 
    • 敵チャンピオンからダメージを受けた場合に10秒かけて体力を20回復(固有パッシブ)


ドランブレードと比較すると…

  • +80 HP 
  • +8 攻撃力
  • +3% ライフスティール

というわけで、端的に言えば「攻撃力とライフスティールを失う代わりにサステインが上がる」選択肢となります。

 

またドランブレードは「ミニオンを攻撃するとライフスティールできる」ということであり、マッチアップが悪くゾーニングされて攻撃できない場合にはスティールがそもそもできません。そういう場合にこそドランシールドのサステインが活きてきます。攻撃を受けると回復する上、ポーションも1つ多いからです。

 

これが選択肢として上がってくるのは、今ケイトリンがピックされる頻度が多く、レーン戦がしんどい場合が多いためです。またルシアンもこちらの位置取りが悪ければダッシュからのダメージ交換で負けてしまいますし、そうなるとライフスティールでは回復が追いつきません。またスペルシーフのアップデートがかかり、サポートにもザイラ、カルマ、マルザハールが多くなっているためサステインがなおさら重要になってきているわけです。

 

で、回復量についてですが、ざっくりまとめると
ドランシールドの固有パッシブと張り合うには、ドランブレードでは5秒あたり2回通常攻撃をしないといけません。
ドランシールドのパッシブがずっとかかった場合と比較すると、これは5秒毎に7回通常攻撃しないといけない計算となり、不可能な数字になります。

 

一方で考慮しなくてはいけないのが、ドランブレードの「ライフスティール+3%」は攻撃力が上がるにつれてスケールしますが、ドランシールドのほうは固定であるためスケールしない点です。

初回リコールでBFソードが買えたらライフスティールの回復量はぐっと上がりますし、その後攻撃速度が上がれば時間あたりの回復量はさらに上がります。
要するに序盤を超えたあたりからドランシールドの価値は相対的にぐっと下がってしまうということです。

なので継続的に通常攻撃できる環境であれば、ドランブレードのほうが総合的な効率は良いでしょう。

一方で相性が悪い相手でまともにファームがさせてもらえそうにない場合、ドランシールドのほうがサステインが上がります。
これはポークの強いサポート(ザイラの植物やカルマ)相手ならなおさらです。

 

要するに最初の15分を凌ぐという目的ならば最良の選択肢になる、ということです。

 

Phy氏は個人的に多くのチャンピオンでロングソード+ポーションx3からドランシールド + ポーションx2に切り替えたそうです。
あとはダメージ交換が苦手な人にとっても良い選択であろう、とのこと。

一方でRevolさんが今日こんな感じのことをおっしゃっていました。

Phy氏の言っていることとは反対(レーン強者が持っている)ですが、「ドランシールドのパッシブがずっとかかった場合と比較すると、これは5秒毎に7回通常攻撃しないといけない計算」という数字を踏まえると、相手がドランシールドを持っていることを想定するならレーン強者側もそれを持つことでより有利にレーンを進められそうなので、そういう流れなのかもしれません。サポートのハラスでもりもり回復しそうだし。あれ?そうすると誰がドランブレード買うの…?

 

 

はい、今日は以上です。いつもとだいぶ毛色が違いますが、最近色んなロールを練習中なので自分が勉強になりました。なるほど。僕はドランシールド一択だな!というわけでサモナーズリフトに戻ります。以上LYEでした。

あ、Phyさんのチャンネル登録、お忘れなく(ダイレクトマーケティング)!あとLive/Playも内容濃いし、海外LoL実況シーンが垣間見えて面白いですよ。

 

用語解説:ヘイルメリーバロンとかバロン用語

こんちは、MSI盛り上がってますね。日本代表のRPGにとっては難しい大会となったようですが、これを糧にさらに強くなってくれると信じているLYEです。

 

今日は、先日のアンケートで票数が多かった順に「ヘイルメリーバロン」を説明してみたいと思います。これだけだとまあ短いんで、ちょっと他にバロン関連用語も取り上げてみますね。

そもそも「ヘイルメリー」って何よ?

直訳すると「聖母マリア様に祈る」って意味で、要するに「神頼み」という意味です。以上、説明終わり。…とするとちょっとさびしいので、もう少し続けさせてください。

アメフト経験者・NFL好き(あるいはジャンプ漫画アイシールド21読者)なら、試合終盤によく聞く用語に「ヘイルメリーパス」というのがあります。これは、試合終了間際に「神頼み」で成功率が低い超ロングパスを投げて得点を狙うというプレイです。で、これのLoL版が「ヘイルメリーバロン」というわけです。

アメフトというのは非常に戦略性の高いスポーツで(LoLと同じですね)、得点する…つまり試合で有利を作るには長い時間をかけた下準備やマクロ・ミクロプレイが必要になります(LoLと同じですね)。で、アメフトはLoLと違って試合時間が決まっているので、負けているチームとしては、普通にプレイしていたら残り時間が足りずに得点できず、勝ち筋が消えることがあり、だからこそこういったプレイが生まれるわけでございます。

(ヘイルメリーパス成功例)

 ヘイルメリーバロン(Hail Mary Baron)

LoLのケースでは相手にゴールド差やオブジェクト差をつけられすぎた時がこれと似た状態であり、「このまま普通に戦っても勝てないから、成功率は低いけどこれに賭けるしかねえ」と判断してバロン攻略を開始する行為を指して「ヘイルメリーバロン」と呼びます。

いわゆる「バロンスロー」(プロにおいては間違った戦略的判断に基づくバロン攻略、プロ以外だと「勝ってるからって "舐めプ" で始めるバロン」)との最大の違いは、仕掛ける側がミクロ(戦術的)判断としては合理的でないと分かっている点です。そのままだとジリ貧なのでマクロ(戦略的)には正しいのですけどね。

バロンスローについてはThe Breakdown with Jattでも取り上げられていたのでこちらを。

 というわけで、相手をキルした直後でもなければレーンを押しているわけでもないのに負けている側がバロンを始めた場合、それは戦況によって「ヘイルメリーバロン」にも、「バロンスロー」にも、あるいはその中間であることもあり得るわけです。

MSIでもおそらくバロンを巡ってこういった作戦が取られることもあると思うので、よかったら注目して見て、これはどっちかなとか判断してもらうとちょっと楽しいかもしれません。僕は楽しいです。

 

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っと、ヘイルメリーバロンはこれで説明終了なのですが、せっかくなので他にもバロン関連用語を説明してみますね。

バロンパワープレイ(Baron Power Play)

プロシーンでは皆さんご存知の通りいろんな観戦者ツールが用意されていて、普段の試合では見られないたくさんのデータが表示されます。そのなかのひとつが「Baron Power Play」です。

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LCKやLCSなどでバロン獲った後に解説がこの用語を使うことがあるのですが、これは「バロンバフを獲得してから失効するまでに築いたゴールド差」を意味します。つまりどれだけバロンバフを活かせたかの指標です。

タワーを複数本折ったりするとすごいパワープレイになりますが、一方でバロンを倒した直後に捕まってエースされたりするとこの数値はマイナスになったりもします。「強いチームは作った有利を活かし切る」という前提のもと使われることが多いですね。

もっとも、タワーをあらかた折った後だったりすると(残りはインヒビタワーだけ、とか)有利を活かしてもそれほど数値は伸びなかったりするのですが。

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スニークバロン(Sneak Baron)

続いてはスニークバロン(Sneak Baron)ですかね。

Sneakは「こっそり」という意味なので直訳すると「こっそりバロン」。

意味は、「相手に見つかることなく(こっそり)バロン攻略する」です。

相手がリフトスカトルを獲っている状態でバロンピット裏から侵入して、視界に映ることなくバロンを開始する。一端3人をレーンに出して相手を安心させたところで2人だけでバロンを削りまくり、最後だけ全員集まって仕留める。そういう感じのプレイです。

バードの精霊の旅路やブラストコーンなどでチームが一斉にバロンピットに忍び込むこともあります。

具体例はUOLのこのシーンでしょうか。ここでUOLは相手に周辺視界を取らせず、レーンに顔を出した直後にバロンへ直行、デイジー付きアイバーンとカシオペア2人で倒しきっています。

(なお動画名が「UOLの Baron Power Play」となっていますが、厳密には間違ってますね)

これは視界管理やタイミングの妙を誤れば「バロンスロー」になってしまう危険もありますが、上手く行った場合には凄まじいアドバンテージになるのも事実です。

 

うん、これくらい情報量があったらそれなりに読んでもらっても楽しんでもらえるでしょうか。以上、いつものLYEでした(そういえばこないだ聞かれたので:LYEはライと読みます)。

それでは5月、贔屓チームが勝っても負けてもMSIを楽しみ尽くしましょう。

 

用語解説:「ジャングルプロクシミティ」って具体的に何なの?

こんにちは、馬チームファンボーイです。TLはなんとかLCS残留を果たし、UOLはグループ1位でプレイオフ進出と馬好きにはなかなか複雑なSplitでしたが元気にやっております。

さて本日は

こんな感じで「ジャングルプロクシミティ」について知りたい人が多そうだったので説明してみます。

まずは単語を分解してみましょう。

Jungleは、そのまま「ジャングル」です。
Proximityとは「近さ」という意味です。

つなげても「ジャングルの近さ」となり、意味が分かりません。
実はこれ、本来は「Jungler Proximity」、つまり「ジャングラーの近さ」という用語だったようです。うん、それなら何となく想像がつく。
ただそれが(たぶん言いにくいとかそういう理由で)今の形になっているとのことです。下のTweetでも、Riot StatsチームのRiotSpellsy氏がそのように明言しています。

なお、このStatは%で示され、

チーム○○のトップレーナー△△のジャングルプロクシミティはn%でリーグトップ

のように使われます。

ジャングルプロクシミティ(以下、JP)の定義についてはRiotSpellsy氏のTweetを引用翻訳します。

 翻訳すると:

  • ゲーム序盤試合開始3分~15分のみ計算
  • 「近く」の定義は 2000 ユニット(ケイトリンのULTブルズアイのLv1射程と同じ)
  • 計算はRiotSpellsy氏が作成した内製ツールで行っている

※この概念は『Stats Science 101:Top Laner Performance』(プレイデータサイエンス入門:トップレーナーのパフォーマンス)という動画でも紹介されています。

 

www.youtube.com

要するに「レーン戦でジャングラーがどれだけ近くに寄ってくれてるか」を示す数字です。2000ユニットはそんなに広くありません。具体的にはこのくらいです。

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ジャングラーとよっぽど仲良しでないと、JPの%は上がらないわけですね。
一方JPが高いのにファームもしっかりできているジャングラーは、相手からは神出鬼没に見えるという感じでしょうか。

 

なお、このStatはここ数ヶ月でよく使われるようになったもので、僕の知る限り1年前にはまだ使われていなかったように思います。

 

また当然ながらジャングラーが近くにいるほどキル/デスへの影響は高くなるので、
今後は海外配信を見ていてこの数字が出てきたら、JPに応じてキル/デスやCSが増減することも考慮するとより楽しく観戦できるのではないでしょうか(「JPめっちゃ高いのにキル取れてないしCSも勝ててないじゃん」、「JP低いのにCS負けてないしデスもしてない!どんだけ安定してるんだ!」とか)。


………え、長い?えーと、「ジャングラーがどれだけレーンにプレッシャーかけてるかの数字」です。以上!

 

そのうち、次点だったウィンコンディションヘイルマリーバロンについても書いてみたいと思います。


またその他分かりにくい用語などあればtwitter @lye_ までお知らせくださいー。僕がわかりそうなら取り上げてみたいと思います。

以上、今シーズンもARAMばっかりやっているLYEがお送りしました。

 

用語解説:「フリーバロン」って厳密にはどういう意味?

こんにちは。馬チーム好きです。UOL vs G2の試合が待ち遠しくてソワソワしています。TLのことは聞かないでください。これからです。これから。

 

今日は、解説とか翻訳してて端的に訳出するのが難しいなーと思った表現を一個かるく説明したいと思います。

Free は「タダ」でいいのか?

英語解説聞いていると、よく"This Baron is free (このバロンはタダ)" みたいな表現が出てきます。

状況だけ見ていると、単純に「タダ」で手に入るという意味に見えますが、厳密に言うとちょっとだけ違うんですよね。翻訳する時とか、そのへんのニュアンスをどうするか結構悩むのです。そこで誰得だよとは思いながらも、翻訳するときってこんな事考えてるんだよーという意味合いも込めてコレ書いてます。

フリーといえば、無料や自由という意味で使われる単語ですが、LoL(あるいはMOBAや祖先であるRTS)の場合、ゲームの前提となる概念と密接に結びついています。

これらタイトルが「リソースの奪い合い」であるという点です。

つまりMOBA系の解説は、何らかの成果を得るには時に代償が必要になるという前提のもとに話されているんですね。小さなものではダメージ交換もそれです(キャラクターの体力というリソースの削り合い)。

この前提が抜けていると「タダ」という単語の意味合いも少しだけズレてしまいます。

で、Freeはどういう意味なの?

「代償を一切払うことなく手に入れられる」という意味です。そのままですが、これをMOBA文法的に解釈すると「自軍は何らかのオブジェクトを確保するが、敵軍は何も手に入れられない」という意味になります。

つまり、このタワー/ドラゴン/バロンはFreeだ、と言う時、それは単に今なら安全に獲れるというだけの意味ではなく、「相手はその行動に対して何の対価も得られない」という意味があるんです。

なので、たとえばブルーサイドがドラゴンを獲る時にレッドサイドがタワーを折れれば、「ドラゴンとタワーの交換」になるので、これはFreeではありません。

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ここで「お、じゃあ一方的にハラスするのはどうなの?」と思った方!たしかにその通りで、「○○ Got tons of damage for free (○○は山ほどフリーダメージもらいましたね)」なんて言い方をする時もあります。相手は攻撃できない(敵のリソースを削れない)のにこちらは攻撃できる(敵のリソースを削れる)という意味で、損害なしの一方的交換(それは交換じゃないですけどまあ、便宜上)になるわけです。

 

はい、以上!

あと翻訳する時に困る表現としては「Mechanics」と「Skill Cap」などがありますが、それも需要がありそうならいずれ取り上げてみたいなと思います。正直言うとどちらもカタカナで通じるようになると色々楽だなー(ハナホジ)とか思ってます。

以上プレイは下手糞なLYEがお送りしました。

EU LCS Krepo氏がG2選手と話した時「強いチームと戦える体制を整えている」と言ってたという話

今日は解説のつまみ食い翻訳ではなく、ちょっとした小ネタです。

今週からEU LCSはグループ間のチームが対戦することになったわけですが、そんな中でグループ上位同士のカードとなったG2 vs H2Kの試合中、解説担当していたKrepo氏が面白いことを言っていたので紹介します。

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発端は、G2が以前のように「レーンで勝ったらそのレーンを圧倒してスノーボールする」という戦術を取らなくなったよね、という話から。この話題になった時、Krepo氏がG2メンバーと先日話をしたと明かし、特にMithy選手からこんな事を聞いたよと言っていました。

曰く、今は「レーンで勝ってレーンの有利を広げる」ことを目的とするのではなく、「レーンで勝てたらどうやってチームの有利を生み出すか」を考えているとのこと。

これについてKrepo氏も、確かに従来のかたちでもEU LCSでは勝てるかもしれないが、国際大会ともなれば相手はBang選手とWolf選手のコンビになったりするわけで、そうそうレーンで勝てるわけではないし、多少有利ができたとしてもそこから何キルも重ねて取れることはない。だから、ただ欧州で強いチームであることよりもより強いチームになることを目指していくならば良い方向性だと思う、と言っていました。Krepo氏は明言していませんでしたが、要するに「格上の相手とも戦える体制を整えている」のだと思います。

今年からMSIとWCSに日本参加枠もできましたし、日本の強豪チームも今後はそういう事を考えていかなくちゃいけないのかもしれませんね。

なおフルセットとなったこの試合も、とにかくオブジェクト重視で進められていました。なるほどそういう狙いがあってのことなのだなと興味深かった。大変見応えのある試合だったと思うので、未視聴ならぜひそんな部分に注目しながら見てみてください。

 

 

以上今年もまだアンランクドで絶賛ARAM専のLYEがお送りしました。