用語解説:プロシーンにおける「シリーズ」の意味(おまけ:「End it!」)
先日久しぶりにブログを投稿して、ちょっとキーボードを叩く意欲が上がってきたので小さな用語解説記事を上げてみます。
これまでの用語解説記事はこちら:
- 用語解説:ヘイルメリーバロンとかバロン用語 - LYE の League of Legends メモ
- 用語解説:「ジャングルプロクシミティ」って具体的に何なの? - LYE の League of Legends メモ
- 用語解説:「フリーバロン」って厳密にはどういう意味? - LYE の League of Legends メモ
- 用語解説:チーム構成 (Team Composition) 用語集 - LYE の League of Legends メモ
シリーズ
今日最初に取り上げるのは下のTweetで質問した「シリーズ」。
ちょっと疑問に思ったんですけどLoLプロシーン見てて「シリーズ」って言われてすぐ何かわかりますか?
— LYE (療養中) (@lye_) 2017年11月20日
この回答で、だいたい1/3くらいの人がわからないと回答されていたので今日はこいつを。
こいつに対応する英語は「Series」です。「日本シリーズ」とかの「シリーズ」なんですけど、これの厳密な意味って意外とあんまり解説されていないですよね。
辞書サイトWeblioで検索すると、研究社 新英和中辞典で該当する意味は以下のように記載されています。
(野球などの)連続試合,シリーズ(戦).
これでも、LoLのプロシーンで使われる意味での「シリーズ」が何かはまだ少しわかりにくい。僕らが一番なじみのある「LoLの大会やリーグ」という文脈で使われる意味をもっと説明的に訳すと、「複数回勝負した結果で最終的勝敗が決まる場合の試合のまとまり」です。おお、そうすると「日本シリーズ」もわかりやすい。
ということは...Bo1は「シリーズ」じゃないけど、Bo3やBo5は「シリーズ」です。
じゃあシリーズ中の各試合はどう呼ばれているのか?「シリーズ」における各試合は「Game」や「Match」と呼ばれます。日本語では「ゲーム 1」、「第 1 試合」とか言われることが多いですね。これを踏まえて英語解説がよく言うセリフ(の日本語訳)を見てみると、ああなるほどという気持ちになれる!
- SKT相手に2ゲーム取ったチームはいくつもありますが、シリーズを勝ちきるとなると話は別ですよ!
- Game 1で大敗しましたが、うまく修正・対応できないとそのままシリーズも落としますよ!
- シリーズ通してコンスタントに活躍した○○選手がシリーズMVPを獲得しました!
こんな感じっす。
ちなみに次はおまけで、ずっと気になってたけど取り上げてなかった「End It!」を。
End it!
英語でも日本語でも、解説で時折耳にするこのフレーズ。
この場合の「It」はご想像の通り、「試合」です。そして「End」は命令形で、そのまま「終わらせろ、決めろ」です。
これを合体させると、意味としては「試合を終わらせろ!」となります。
解説がこれを叫ぶときというのは、(ヘタに余裕ぶっこいたり、ネクサス割る手を緩めたり、キル獲りにいったりしてるとここで試合決めきれないかもしれない状況だぞ、だからたのむ!いいからはやく!)「試合を終わらせろ!」という嘆願にも似た叫びです。
また、MicCheck(試合中の選手のボイスチャットを紹介するLoLesports公式のいちコーナー)でも、同じ意味合いでチームメイトに向かって「End it!」を連呼している状況というのは時折見かけられます。
なので、明らかに完勝のときや、既に相手をエース済みでデスタイマーも余裕がある時などには、懇願する必要が無いので使われません。次回、接戦で解説がこう叫んでいたら、ああ解説めっちゃ盛り上がってるな!と思って見てあげると良いんじゃないかと思います。
BlitzEsports:CLG Darshan「NAのBo3→Bo1変更はそんなに悪くない」
最近独自コンテンツの質が高いことで個人的に注目しているBlitz Espotsチャンネルから、久々に翻訳記事書いてみます。だいたい全部拾って翻訳しましたが、細かいところはぜひ動画でチェックしてみてください。
CC(クローズドキャプション、いわゆる字幕)設定で英語を選ぶとテキストで読めるので、リーディングはいけるけどリスニングが苦手、という方なら余裕で理解できると思います。
個人的には「ゲーミングハウスは最適解ではない、次はオフィスを構えるべき」というのに時代の流れを感じました。
全体的にRiotに多少配慮した発言であるものの、かなり率直に話されているのではないかと思います。「Bo1でも全然変わらない」ではなく、「Bo1もそんなに悪くない」という表現なのがそれを端的に現しているかなと思います。
では以下、どうぞ。
NA LCSがBo3からBo1に変更になる点について議論が白熱しているようなので、今日は自分の立場から「そんなに悪い話ではない」という意見を話してみます。
Q:ステージでの経験と練習について
主要な話題は「この変更のせいで他の地域に差をつけられてしまうのではないか」だと思いますけど、結局ファンとチームが本当に上を目指していきたいと思うなら一番影響が大きいのは「練習」です。
実際、ステージでプレイするのは毎週3~4試合です。一方その裏ではスクリムで30~40試合をプレイしていて、実際にチームが上達するのはこの時です 。TSMがずっと強豪であり続けているのも、ここがとても上手いからだと思っています 。TSMとはスクリムでもステージでも対戦してますけど、彼らは 北アメリカのどのチームよりも練習から多くを学んでいるし、そもそも練習の水準が高いと感じています。それも、その状態を長く続けてきている。だからこそ、ステージ上での試合数よりも練習のほうが重要だと思っています。
もちろんLCSのステージ上でも上達しますけど、個人的にはLCSステージは「テストの場所」であって「勉強する場所」ではないと思ってます。
だからBo3からBo1になって強いチームが変わることはないでしょう。結局はどういう練習をしているか?どういうスケジュールで動いているか?毎日どこまで己の限界に挑めるか?そしてチームとしての戦力を高めていけるか?がすべてですから。それが競技におけるチームの強さです。
LCKは、だからこそ歴史的に見ても常に北アメリカよりも強いんだと思います。練習体制やコーチングのインフラ、その他全てが北アメリカより高い水準にあるので。韓国がBoi3だから強いみたいなシンプルな話じゃないと思ってます。
北アメリカもチームの練習体制は毎年向上し続けていると思うので、この点でもあまり心配しすぎる必要はないのかなと思います。特に来年からフランチャイズ化もありますし。
各チームどんどんレベルアップしていくと思いますよ。CLGもThe Madison Square Garden Companyによる支援が入り、注入されるリソースは圧倒的に増えます(訳者注:今年7月末に同社はCLGの議決権を持つだけの株式を取得した)。だから自分は練習体制の未来も、北アメリカの未来も楽観的に見ています。Bo1になるからといってこの世の終わりというわけじゃない、と。
たぶん来年が終わって振り返れば、Bo1になったけど成績は良くなったね、という結果になるんじゃないかと。
Q:練習体制を向上させるには?
スクリムについては、北アメリカのチームが改善すべき問題がたくさんあります。 まず、LCKの多くのチームは「オフィス」を持っているんですが、今後は北アメリカのチームもその流れに乗っていくことになると思ってます。要するに、仕事と遊びを分けるということで す。細かいことに見えるかもしれませんが、この差はかなり大きい。
ゲーミングハウスで朝起きて スクリムルームに行くのと、朝起きて身支度をして車でスタジオに向かうっていうのは精神状態を切り替える上で大きな違いになるわけです 。別の環境に身を置き、より真剣に向き合うということ。そのぐらい真剣に向き合う姿勢が非常に重要だと思ってます。
それからアカデミーチームが実力向上してきたことも大きな要因になると思っています。チーム内での競争が促進されるだけでなく、僕らにとっては実力のあるスクリム相手ができるということですから。組織体制が安定するほどアカデミーチームの実力も上がってくるはずなので、強いスクリム相手というだけでなく、僕らの誰かが不信続きになれば入れ替えも可能になるわけです。
(訳者注:この点についてはこちらの記事でDeficio氏とYamatoCannon氏が記事中盤でも取り上げており、リンクしている箇所も多いので興味のある方はご覧ください)
Deficio (中略)でもそういうひたむきな姿勢というのは、プロに求められるものじゃないですか? LCKのプレイヤーは、いつだってScrimから余すことなく学んでいる。他のどの地域よりもね。
個人的に、従来のスポーツ、たとえばフットボールとかと比較してなんでeSportsプロはそういうことができないんだろう?って疑問に思うんですが。
YamatoCannon たとえばEcho Foxは姉妹チームを持ってて、そのチーム間でScrimしてたりします。それだと、特定の目的に絞ったトレーニングができる。全く他人のチームとでは、相手のこともありそうはできませんからね。だからこれは僕の夢ですけれど…五年後くらいには10人以上が固定でScrimできたりするといいなと。そうすれば、特定の目的に絞ったトレーニングが行えて有益だと思うんです。ただのScrimだと同じことの繰り返しになりがちですからね。
Deficio 従来のスポーツとの大きな違いのひとつは、「スタメン争い」の有無でしょうね。NFLでもフットボールでも、若い頃から技術を磨いてきて、プロに入ってからも第一戦で戦い続けられるよう努力し続ける。そうしないと、自分の代わりが後ろにわんさかいるわけですから。でもLoLでは…特に現在のEUでは、控えを抱えているチームはとても少ない。だから現実的には、選手には練習で全力を尽くし続けさせるプレッシャーがかかってないんです。だって今YamatoCannonが「お前クビにして、ソロキューから代わり見つけてくるよ?」と言うことはまずないですよね。そして仮に言ったとしても、実際に降板させられるまでには時間がかかる。だから10人ロースターってのはいいですね。「お前真面目にやらないんだったら、次回から3試合こいつミッドのスタメンにするから」って言ってスタメン争いが生じるようになれば、誰もがもっと真剣に練習に取り組むようになる。それがもしかしたら必要なのかも。「スタメン落ち」というプレッシャーが。
今話した2点は来年、数多ある練習体制の問題における2大要因になると思っています。
個人的には今後、LCSが真剣さを増していくのが楽しみです。 自分がデビューしたシーズン3の頃も試合はBo1でしたが、当時自分はまだ17歳だったし、チームも組織構造と呼べそうなものは何一つなかった。真剣に取り組む環境というものがなかったんですよ。
Q:「奇策」で勝ててしまう可能性について
僕はデビュー以来全てのスプリットでプレイしてきて bo 1でも bo 3でも戦ってきました。で、昨今よく聞く懸念として「奇策やLv1のプレイで試合が決まってしまって、どこが強いチームかわからなくなるのでは」というものがあります。僕個人の見解としてはLv1というのは試合でも非常に大きな要因なのに、Bo3のときですら誰も突ききってない(Abuseされ尽くしていない)ポイントだったと思ってます。
この間のSplitにおけるCLGの試合を見直してもらっても、Lv1攻勢で大きな有利を築いた試合はありました。そしてその威力はBo3シリーズでも、シリーズを勝ち切るだけの力があるものです。
結局、みんなが今までそこを「徹底的に突ききっていない」というだけで、Bo3からBo1になるからといって変わるものじゃないです。だから影響力は変わらないと思ってます。
Q:Worldsへの準備という視点からBo3を見た場合
Bo1シーズンとBo3シーズンの両方でWorldsに出場した身としては、正直そんなに差はなかったと感じています。シーズン5と6でWorldsに行った時を比較しても、Bo3シーズンのほうが「準備が整っていた」と感じた点はありませんでした。チームの実力に影響したのは韓国での合宿や練習のほうでしたね。だから自分自身の経験からすると、シーズンの試合数は国際大会での成績に大きな影響を及ぼさないと思ってます。
Q:率直に短所を挙げると?
Bo1では、Bo3のような「勢いや流れ」、つまりモメンタムがないです。Game 1を落としてもチームのメンタルを強く維持し、ここから盛り返すぞという気持ちの流れを体験することができない。それはBo1では得られない経験。
Bo1になったらプレイオフまで経験する機会がなく、チームによってはプレイオフに出場できない。その点は今後注視する必要があるし、純粋にBo1になることで失われるものだと思います。
それもBo1に移行する副作用ですよね。僕はもう長いことプレイしているベテランなので、精神状態の管理方法も心得ていますが、経験の浅いプレイヤーにとっては顕著に影響が出てくるところなので、彼らがしっかり精神状態を管理できるようにしていきたいし、たとえチーム全体でもそうしたいですね。
Bo5で0-1、0-2になった時、「まだ勝てるよ」と思える精神状態を作っていくのは大変です。Bo3はそんなにきつくない。0-1までしかいかないので、次の試合取り返せばいいだけですから。でもBo5は全然違う。0-2から盛り返していくぞ!という気持ちを築くのは、個人としてもチームとしても相当にしんどいことです。この点はBo1では間違いなく欠ける点ですね。
正直、RiotがBo1にしていく最大の理由はマーケティング、視聴数ですよね。その点は落ち込んでいるわけで。コレに対してBo1は大変有効な対策になる。ただ僕がこの動画で言いたかったのは、「Bo1って言うほど悪くないよ」ってことです。パニック起こす必要はないと思ってます。
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以上、Season 7は駆け込みで振り分け線を終えてSilver IIIでシーズン終了したプレイ下手くそなLYEの翻訳でお送りしました。
なお最近はShotcallingさんが超読み応えのある最新情報を定期的に上げておられるので、まだチェックされていない方はぜひご覧ください。僕は完全に落穂拾いに回ることにしましたよ...Shotcallingさんすげえ熱量だぜ...。
Deficio氏とYamatoCannon氏が語るEUのスクリム文化と将来 (あとタンクメタ)
僕はEU LCSの試合後にアナリストとゲストがダベるコーナーが好きなのですが、今回は僕の好きなDeficio氏とYamatoCannon氏(Vitalityコーチ、元Splyceコーチ)が面白いこと話してたので紹介します。
てかEUでもこんな風なのか…やっぱマネー is パワーなんだなあ…
では、どうぞ。
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Q:そういえばDeficio、EUのScrim文化にちょっと言いたいことがあるとか?
Deficio 昨日アナリストデスクにAlphariとMaxloreが来たとき言ってたんですが、2017年にもなって、Scrim始まって10分でff入ったりすると。最後までプレイするのが稀だと。時にはScrimがドタキャンされることもある。YamatoCannon、コーチ的には言いたいこともあるんじゃないですか?
というのもここまでシーンが成熟しているのだから、毎日6時間は集中してプレイするというのは選手に求められて然るべきでしょう。なぜ未だにこんな問題が起きているのか。
YamatoCannon どうなんでしょう。僕のところでは一定の基準を設けて、それに沿って動くようにしています。たとえば自軍エリスとレネクトンがタワーダイブでダブルキル食らって、取り返すためにもう一度突っ込んで再びダブルキル食らったら、事実上勝敗は決まりですよね。そういうときは、こちらからff入れるのではなく、相手に「もう投了でいいですか?それとも最後までやりますか?」と聞くとか。そういうフローをしっかり作ってますね。
Scrimのキャンセルについては相手次第というのが本当のところでしょう。「Scrimヒエラルキー」みたいなのがあるわけです。強いチームほど相手を選べますからね。僕にしても、AティアのScrim相手は下位チームよりも重視します。そのほうが成果が高いのだから仕方ない。たとえばですけどG2が10分遅刻してごめんねーと言われたら、大丈夫ですよーというしかない(笑)。そういうものですよね。
なるほど。Scrim相手に困ったりということはあるんですか? 相手としてレベルが低すぎるとか…もちろん名前を挙げる必要はないですが、そうですね…欠かすことなくScrimを続けられる「強い」対戦相手が、EUに足りているんですか?
YamatoCannon そりゃあ好みというのもありますが、僕らは4位のチームだし、贅沢は言えません。あるもので最善を尽くす。そしてキャンセルの理由も、仕方ない場合だってある。選手が階段から落ちて踵を骨折したとかね。自分のチームでも実際にそういう事態はありましたから、それは仕方ない。そして…やっちゃいけないことだと思うのですが、嘘をつく人たちもいるんですよね。「ごめん、うちの選手がコケて足折ったからキャンセルで」って言われたのに、その怪我した選手がそこらへんをアイスキャンデー食べながら歩いてたりとか(苦笑)。
Deficio 回復速いですねえ。で、EUのScrim文化は十分なレベルだと思いますか? 地域として成長していく上で。それとも、この文化が成長を阻害していると?
YamatoCannon それは自分が何を目指しているかによるんですよ。たとえば僕は、一部のコーチとはオープンに「このScrimでやりたいこと」を話します。今回ウチはこういうことを狙ってやるけれど、いいかな?と。それで先方が困る、ということであればそれを聞く。僕らが当事者中の当事者なんですから、文句を言っていても何も良くならない。結局、自分たちは自分たちのScrimに対して影響力を持っているんだから、そこからやっていかないと。
Deficio 僕がこの件に強くこだわるのは…Season 3の頃、僕やYamatoが現役でプレイしていた頃から、Scrimについてはおんなじ問題があったからなんですよ。遅刻、キャンセル、早期ff、すぐティルトする。あの頃、もっとプロフェッショナルな環境があればなって思ったからなんですよ。当時はコーチすらいなかったです(よくわからん人がひとりいただけ)。だから今ならできると思うんですよ。たとえば、Vitalityなら「今4位だけど、ここから何ができるだろう? 次のScrimで何を試すべきだろう?」って真剣に話すべきだと思うんですよ。別にVitalityに苦言を呈しているわけじゃくて単なる例だけど。
そりゃあずっとモチベーションを保つのは大変ですよ。でもそういうひたむきな姿勢というのは、プロに求められるものじゃないですか? LCKのプレイヤーは、いつだってScrimから余すことなく学んでいる。他のどの地域よりもね。
個人的に、従来のスポーツ、たとえばフットボールとかと比較してなんでeSportsプロはそういうことができないんだろう?って疑問に思うんですが。
YamatoCannon たとえばEcho Foxは姉妹チームを持ってて、そのチーム間でScrimしてたりします。それだと、特定の目的に絞ったトレーニングができる。全く他人のチームとでは、相手のこともありそうはできませんからね。だからこれは僕の夢ですけれど…五年後くらいには10人以上が固定でScrimできたりするといいなと。そうすれば、特定の目的に絞ったトレーニングが行えて有益だと思うんです。ただのScrimだと同じことの繰り返しになりがちですからね。
Deficio 従来のスポーツとの大きな違いのひとつは、「スタメン争い」の有無でしょうね。NFLでもフットボールでも、若い頃から技術を磨いてきて、プロに入ってからも第一戦で戦い続けられるよう努力し続ける。そうしないと、自分の代わりが後ろにわんさかいるわけですから。でもLoLでは…特に現在のEUでは、控えを抱えているチームはとても少ない。だから現実的には、選手には練習で全力を尽くし続けさせるプレッシャーがかかってないんです。だって今YamatoCannonが「お前クビにして、ソロキューから代わり見つけてくるよ?」と言うことはまずないですよね。そして仮に言ったとしても、実際に降板させられるまでには時間がかかる。だから10人ロースターってのはいいですね。「お前真面目にやらないんだったら、次回から3試合こいつミッドのスタメンにするから」って言ってスタメン争いが生じるようになれば、誰もがもっと真剣に練習に取り組むようになる。それがもしかしたら必要なのかも。「スタメン落ち」というプレッシャーが。
YamatoCannon 恐怖というのは動機付けとしてとても強いものです。そして自分の後ろに何人も控えていると感じるのは、自分が与えられたチャンスをしっかり噛みしめる意味でもいいことかもしれません。SKTと同じです。あのチームでは、具体的に何かは想像しかできませんが何かしらの要因でスタメンが入れ替わるわけです。以後3週間、君は補欠だ、現時点では彼のほうが上だからね、と。
Deficio そうそう。だから控えとしてソロキューからプレイヤーを引っ張ってきて揃えておくとかね。あとSKTはトレーニングラインアップがいるでしょう。Huniが「発見」されたのもそこでした。Huniはあそこで、すべての練習に全力で取り組んで実力を示そうとした。いつかSKTがそれを認めてスタメン起用することを願ってね。残念ながらそうはならず、代わりにFnaticが引き抜いたわけだけど。だから、変な言い方になるけど、本気で取り組んで、全力で勝ちと上達を目指し続ければ、それが結実する可能性は高くなり、スタメンに近づくんですよ。だから個人的にはEUはもっとプロ志望人口が増えるべきなんだと思います。NAは今着手してますよね。控えを増やしたり。あれは長期的にはとても有益な結果をもたらすかもしれない。
ではEUの次のステップは何になるんでしょう? チーム構造? 資金?
Deficio 資金でしょうね。そしてロースター増員。
じゃあYamatoCannon、今もしお金が無尽蔵にあったら、ソロキュー・CSからあの5人を引っ張ってくるって人はいますか? そしたら10人で有意義なScrimができる?
YamatoCannon 人の目星はつきます。でも人を入れるのは簡単じゃない。性格の点もあるし、ソロキューだけだと競技シーンでは未経験だったりするし。でもここからヨーロッパを強くしていくのなら、より確固たる強さを目指していくのなら、「競争」は必然でしょう。北米に目を向ければ、大学でいろんな動きがありますよね。大学間での試合を通じて露出が増えて、そこから拾われる選手が出てきたり。確かP1のZigはそうやって出てきたはず。だから競争が必要です。従来のスポーツと同じです。フットボールでもユースリーグとか大学リーグから選手を引っ張ることがありますよね。
Deficio 国別のリーグはLCS登用に耐えうるレベルになってると思いますか?
YamatoCannon もちろん。Giantsなんかはスペインリーグで活躍した選手が何人もいますよね。繰り返しになりますが、競争がしっかり起こっていけば、優れた原石が発掘される確度も高くなっていきます。
Deficio もちろん資金も大事ですけどね。一部のチームは10人と契約することが経営的に無理だったりしますからね。ゲーミングハウスも大きくしなくちゃいけないし人も足りない。でも、もし資金があればスタッフも増やせるし、10人で競争のなかきっちりScrimできるとしたら、やっぱりみんなやると思うんですよ。だからチームの向上につながるとわかっていても、先立つものがないとね。
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以上でっす。
どんどん「プロスポーツ」として成熟していく一方で、資金とのバランスという問題も出てくる。お金はシーンの盛り上がりがないと湧いてこないが、盛り上がるには実力がいる。鶏が先か卵が先かってのが一見華やかに見えるEUでもまだまだ根深いというのが驚きでした。
あと、面白かったのでオマケ。UOLはプレイオフ、そしてその先を見据えてドラフトしているのだ(震え声)
おまけ:タンクメタとEUのチーム構成について
Deficio まだ各チームカウンターピックを見つけてないので難しところもあるけれど、Early game comp (序盤に強いスノーボール型構成)、たとえばエリスとかレネクトンは「対面に来たチョ=ガスを腐らせる」ことができればいい対策だと思う。ただ問題は、この構成だと中盤~終盤をほぼ完ぺきにこなして、タンクに仕事をさせないで勝ち切らなければいけないところ。なんと言っても、タンク相手に終盤の集団戦で勝たなくてはいけないんですからね。
今言えるのは、ほとんどの西洋チーム(ここではEUとNA)はExecution(作戦遂行)精度が足りないだろうということ。だからこそ、皆集団戦特化型に収束して、「どちらが集団戦強いか」の勝負に持ち込んでいる。そのほうがリスクを抑えられますからね。
YamatoCannon それからタンクがパワースパイクを迎えるのはだいたいバロンが出現する時間帯なんですよね。出現より早い場合もありますが、だいたい20~25分時点で一番強い。ADCがアイテム3つ揃えてタンクを溶かし始める前の時間帯。4つ目にラストウィスパー積まれる前。だからこそ、最初のバロンを先に取ったチームが勝つ確率が高いわけで。
今日の試合でもコグ=マウがピックされてましたが(FNC vs UOL 第3試合、UOLがピックして敗北)、あれもいい策だと思います。遠くから火力を出せる。でも味方がレネクトン、タロン、セジュアニじゃ誰も守ってくれないですよね。
Deficio あれは実にLPLって感じでしたね。3人がスノーボール狙い、コグ=マウはひたすらファーム。でもまさにそういうことなんですよ。Executionが非常に難しい。UOLは特に、序盤が苦手なチームですからね。
今後はタンク対策ということでトランドルサポートが戻ってくる可能性もあります。氷柱がビジョンを取れなくなったのはサポートとしては痛いNerfでしたが、それでもULTは強いですから。それからケイン。タンク変身してブラッククリーバー積んで、といけばULTの性能もあってタンク相手に有利にいけると思います。ただいずれにしてもやはりExecutionが難しい。しかも、それをScrimじゃなくステージ上でやらなくちゃいけないんですからね。
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以上最近UOLストアでTシャツとステッカーを買ったLYEがお届けしました。
送料1000円位なのでおすすめだよ!
Rekklesのケネンはどうして強いのか?Deficio氏の分析
昨日ちょっとおもしろい動画が上がってたので久しぶりにざっくり翻訳してみました。なるほどなー。
では以下、どうぞ。お楽しみいただければ幸いです。
ケネンピックした試合では何度となく勝利をもぎ取るRekkles。
今週の「Post Game Lobby」コーナーでは、その強さをチャンピオン自体と彼というプレイヤーの両面から見てみたい。
ケネンの長所と短所
長所
- 1v1の強さ:バーストダメージとCC
- 王剣との相性が完ぺき
- 機動力が高くピールも自分でできる
短所
- 後半戦においては信頼できるダメージ源になれない
- リードしていないと1v1性能が発揮できない
- ミニオン処理スキルがない
※この場合の「ミニオン処理=Wave Clear」は、タワー防衛時に後方からまとめて処理する能力。ケイトリン、ヴァルス、シヴィアなどは非常に高い
「Rekklesの」ケネンが強い理由
3つの要素がある。
1:ドラフト
FnaticはRekklesがケネンの強みを最大限に活かせるようスプリットプッシュ「できる」ドラフトをする。
- トップ:ガリオやシェンなど、サイドレーンにいるRekklesをすぐ支援できるスキルを持つチャンピオン
- ジャングル:集団戦では強みがないものの、ピック性能が高いエリス、カ=ジックス、リー・シンなど
- ミッド:まずはミニオン処理能力の高さ。TP持ちルブラン、コーキ、オレリオン・ソル
- サポート:CCとローム性能の高さ。スレッシュやカミールなど。Rekklesがピックを狙いに行く時に支援できる。また、サポートのマップ予測も素晴らしい。必要な時にそこにいる。
これらすべてがRekkles x ケネンを支えている。「後半の集団戦で勝たなくては試合を決められない」という条件を無効にする戦略。
2:スプリットプッシュ
EU LCSのプロ選手に話を聞いたところ、誰もが認めたのが「サイドレーンでRekklesと1v1はやりたくない」ということ。
ミニオンウェーブの操作が巧みで、マップの理解も強い。いつ押すか、いつ引くかがとにかく上手。
それに加えてトップSoazとのシナジーもある。
もちろんスプリットプッシュだけで全試合を勝つことはできないので、最後の要素が重要になる。
3:集団戦スキル
過去には腰が引けていると評されたこともあったものの、今は違う。
また多くのケネンADCプレイヤーがフラッシュULTで突っ込んでダメージも出せずにデッドするのに対し、Rekklesはひたすら距離を取ってハリケーンを当て続け、ここぞというタイミングが来たらULTで飛び込んでいく。
以上が、Rekklesのケネンが強い理由だと考える。
通常ケネンの強い時間帯はバーストとCCが一番活きる中盤にスプリットプッシュしている時。それを支えるドラフトがあり、ミニオンウェーブの操作力とマップ認識力の高さがあり、そして正しいタイミングで飛び込む集団戦のスキルがある。だからこそ強い。
※「Rekklesのチャンピオンプール」としてTwitterに投稿されたネタ画像
他地域のリーグでも「真似して」ADCとしてピックされることもあるが、「元祖」は彼といって差し支えないだろう。
そして「EUで唯一ADCケネンをプレイすることが許された男」であるのもそのためなのだ。
※Deficio氏はよく実況席でこれを口にして全員に突っ込まれるため、あえて最後にぶっこんできた模様。下の顔で断言。
以上、翻訳LYEでお送りしました。
MSI 2017メタ 解説拾い&勝手まとめ翻訳
MSI、めっちゃ盛り上がってますねー。
毎年国際大会となると、「普段対戦しないチームが何度も、同じパッチで」対戦するためにいわゆる大会メタみたいなものが進化していきますが、今回はこれをちょっといくつか解説のセリフを解釈したものを書き散らしてみようと思います。観戦の助けになれば幸いです。
チーム編成
全部の編成がこれらに収まるわけではなく、また複数の属性を混ぜた編成もあるわけですが、だいたいこんな感じになっていると思います。
Protect ADC編成
今回のパッチ7.8において、カルマ・ルル・アイバーン・オリアナなどのシールド/リデンプション重ねができるチャンピオンと後半戦でハイパーキャリーになるADCの組み合わせで「とにかくADC守りきって火力でぶっ殺す」という編成が見られるようになっています。特にルル(あとカルマも)は早めにピックするとFlex Pick(フレックスピック、複数のレーンに行けるピック)できるため重要視されています。
ただココのところの試合を見ていると、Banでルル・カルマを開けて相手の構成を誘導し、それに対策をぶつけるところもあるみたいですが、基本的にはどこもできればルル・カルマ両方は取らせたくない、という感じで進んでいます。
ただしMidレーナーがルルを得意としていないチームではこの作戦が取れないため、逆にしんどいようでもあります。
なお、この編成は自動的にADCが火力を出せるようになる終盤戦でこそ生きるため、序盤で負けるとかなりしんどくなります。ただひっくり返して勝利する試合もあるので(Group Stage Day 5 TSM vs G2はシールドによるProtectではなくブラッドサースターと適切なピール、あとZven選手のナイスプレイによるものですが)、ADCにすべてを賭けるというのは後半への保険という意味でも強そうです。
Deficio氏「G2 put all the eggs in Zven's basket」(G2はZvenにすべてを託した)なんて表現もされていました。G2の勝利におけるZven選手の活躍は観戦された方ならご存知のとおりですね。
Hard Engage編成
とにかく後衛ぶっ殺すメンとしてアサシンやダイバーなどがピックされる構成です。解説いわく(というかお気づきの通り)、序盤でしっかり有利を作れないと突っ込んでも倒しきれないという何もできないチームになりがちなので(GAMなどはこれで負けることも多かった)、ExecuteがDifficultだよね(ルー語訳:作戦としては良いけど、それを正しく遂行するのが難しいよね)という評価が多いです。
Deficio氏(あとDyrus元選手もこないだ自分の配信時に言ってた)が「LoLは完ぺきにプレイすることはできないので、相手の失敗をいかに突くかのゲームである」というふうに言われていました。ハイレベルになるほどExecute(作成遂行)が難しい編成と言えそうです。
Siege編成
アイバーンなどタワー攻略に向いたチャンピオン、ゾーニングが可能なメイジ(サポザイラも含む)、ポークが強い、遠距離通常攻撃でタワーを攻撃できるチャンピオンなどの編成で、集団戦で勝たなくてもタワーがボキボキ折れる構成です。特にアイバーンはマッチアップ次第で序盤のカウンタージャングルも強力になるため、序盤にも生きることなどが効果的なようです。と聞きかじりましたが、この構成にするチームはそう多くないのであまり記憶に残ってないです。サーセン。
1-3-1編成
サイドレーンを任せられるチャンピオン2人をピックして3レーン同時に押す編成ですが、ハイレベルの試合になると一瞬のミスが命取りになるのでExecutionが非常に難しい、と言われていました。劣勢だとそもそも1-3-1が展開できないというのも大きな理由だと思います。
それから特定の編成以外では、今年のMSIでは序盤でがっつりスノーボールすることが非常に重要だ、そのために編成も考える必要がある、という話が何度か出ていた点も紹介しておきます。完ぺきに作戦遂行すればProtect ADCの火力がヤバイ、というのは前提としてありますが、それをシャットダウンする意味でも序盤が大事なのかなと。
チャンピオンピック数(Ban数は考慮しませんでした)
免責事項:話を色々聞いた限りでLYEがまとめたものなので、以下のように明示的に言われていたわけではありません。また、当然チーム編成によって求められる役割が変わるので全部Sにすれば強いというわけではありません。
またBan数を考慮しなかったのは、Flex Pickチャンピオンの数が多くなるのを避けるためです。
データはこちらを参考にしました
Top
S シェン(9) ランブル(8) ガリオ(8) グラガス(7)
A ケネン(5) ノーチラス(5) フィズ(4) クレッド(4)
ガリオとシェン、(それから部分的にはクレッド)はサイドレーンからミッドへの移動が容易である点とタンクとしての安定性が評価されてのもののようです。
ガリオはミッドとのFlex Pickになる点、ミニオン処理能力の高さも評価されています。ドランリングx3で後衛ミニオンをQ一発でクリアできるようになるなど、スムースなローテーションが見せられるのがポイントのようでした。またGAMはHard Engage編成にガリオを組み込んで、後衛に突っ込んだアサシンに合わせてULTを打つなどの使われ方が出ていました。このアグレッシブな使い方はGAMが対G2戦でも使っていましたが「機能させるのは難しいハズの構成なのに、失敗したことなど考えないのがGAM流か」と言われていました。
ランブルはランブルの仕事をすると強いよねという話。
グラガスはレーンで押し込まれないミニオン処理能力とCC、ULTのピックポテンシャルが評価されています。
Jungle
S グレイブス(17) リー・シン(16)
A カジックス(7) エリス(5) アイバーン(5)
基本的にはリー・シンとグレイブスの取り合いになっていましたが、選手によって一方が圧倒的に得意であることが多く、そちらを取らせないためにBanされたり、先に取られたりすることが多いようです。
アイバーンは適切な状況下でのカウンタージャングル能力とタワー攻略時のデイジーの存在感、そして何よりもシールド+リデンプションの回復の厚さが評価されています。また特定の選手が得意としていることが知られており、ターゲットBanの対象になることも多いようです。たとえば対TSM戦ではかなり頻繁にBanされていました。
カジックスは特定の選手(GAM Levi選手など)が得意としていること、1-3-1中やローテーション中に相手を捕まえてのタイマンに強いことが要因か。
エリスは後半で失速するものの序盤のCocoonによるギャンク性能が特に評価されています。ただ後半の失速が手痛いため、編成による、とも。
Mid
S シンドラ(11) オリアナ(9) レブロン(6)
A アーリ(6) タリヤ(6) ライズ(6) フィズ(4)
シンドラはレーンを押せてULTで倒しきれる火力が出てCCもある点が評価されているようです。ただ相手に厚いシールドなどがあり一発で落としきれない状態になるとつらいよねという話もありました。カウンターとしてULTでULTを無効化できるエコーが上がっていました。ゼドも無効化できますがこちらはスキルマッチアップ(性能差ではなく技術勝負)になるという評価。
オリアナは強烈なカウンターがなくブラインドで出せる点が評価されているようです。
A Tierに並べたチャンピオンも基本的にレーンが押せること(フィズはちょっと特殊ですが)、1-3-1になった時にソロレーンに行けることが重視されている様子。この場合ソロレーンに行ける条件は「タイマンで負けない」「他レーンにすぐ合流できる」「逃げスキルがある」などのようです。
フィズはトップとのFlex Pickになる点も重要視される要因の模様。
またタリヤはタワー攻略時に敵タワーの後ろにULTを敷いて敵が近づけないようにするという使い方(FWのMaple選手が何度も見事なプレイを決めていました)が有効と見られているようです。
ADC
S:アッシュ(15) ヴァルス (11) ケイトリン(8)
A:トゥイッチ(8) コグ=マウ(4) ジグス(3)
レーンを押されないチャンピオンが強いという評価のようです。またアッシュ(とケイトリン)はレーンを押し込まれない、終盤のスケールも圧倒的、という点が評価につながっている模様。ケイトリンが空いていてヴァルスピックした時は好み?という意見もありました。A TierのADCはS Tierがピックできない時くらいしか使われないくらいの状態のようです。また、序盤の有利が試合を決めることが多いことから、アッシュはULTによるピックのポテンシャルも評価されている様子。ヴァルスの評価が高いのもこのあたりか。
ジグスはピックした試合を見る限り、序盤ではマナの関係で押し込まれるケースが多いこと、またチーム編成でMidやJglに物理ダメージのキャリーが必要になることなどから運用が難しいよね、という話になっていました。相手がシンドラ→こちらジグス→こちらゼドという流れは数回見ましたが、この場合Midは「シンドラとゼドはスキルマッチアップ(性能的には互角)」という評価が一般的な模様。
またビルドですが、試合によってハリケーンより前にファントムダンサーを積むケースが見られました。これは相手のアサシンに即殺されることを防ぐ狙いと、そもそも戦線が伸びることを想定し、ハリケーンで複数同時攻撃があまり起きないことを前提としている場合に積まれるようです。
Support
S カルマ(11) ルル (11)
A タム・ケンチ(8) ザイラ (6) ナミ(5)
B ブラウム(5) マルザハール(4)
ADCを守るシールドがあり、レーン戦に強く、プッシュもできる2人がS Tier扱いの様子。タム・ケンチはカルマ/ルルが取れない場合によく使われていますが、ソロレーンで一気に人数差を作れるULTと丸呑みによるキャリー保護能力も構成によっては強力となるため、編成によってはカルマ・ルルよりも優先されることも時折見受けられました。
ブラウムは固有スキルからのスタンがキルプレッシャーになることと盾の固さによるところの様子。
マルザハールはピック能力はもちろん、彼がいるだけで相手にQSSを買わせたり、相手のチーム編成を誘導したり(タム・ケンチを相手に取らせる)できる点が買われている様子。
その他言われていたこと
GAMが何度かレーンスワップ(トップとボットが入れ替わること)を繰り出していたことが話題に登っていました。ただ以前と違ってボットタワーが柔らかくなっているので、タワー交換のためではない点がポイントだとのこと。基本的にトップが2v1でも押し込まれないチャンピオンの時に行われ (主にガリオ)、トップで不意をついてキルを取り、そのままトップタワーを削って通常配置に戻ることでボットのタワーを相当削られる代わりにファーストブラッドを取る、という使われ方をしているようです。
実際にキルを挙げたあとでも、「正直効果としては微妙」という評価の人もいました。その後ボットを押し込まれたらタワーを折られてファーストタワーボーナスを取られてしまう上、経験値的にも不利になることが多いためです。
「対面相手が顔を出すまではどのスキルにポイントを振るかは決めない」というのを徹底していないと、やすやすとファーストブラッドを取られてしまうよ、という話も出てました。ただ総合評価を見る限り、たぶん この大会で今後使われることは少ないと思います。
以上、またへーと思ったら適当に書き足したいと思います。以上LYEでした。
それにしてもGroup Stage Day 5 TSM vs G2 の試合はすごかった!(↓画像ネタバレ注意)。
すごくいい試合だったと思います。
ADC初期アイテムにドランシールドを積む理由(Youtuber Phylol氏より)
ミッドシーズンパッチで新しくなったドランシールドがADCの初期アイテムとして使われ始めていることをまとめた動画を紹介したいと思います。
このYoutubeチャンネルはPhyさんという元C9ストリーム部門で配信をされていたイギリスの人で、同じく有名YoutuberのFoxdropさんの実のお兄さんです。兄弟とは知らずに両方をチャンネル登録していたので知った時はびっくりしたなあ。
このへんは公式動画「Live/Play」 エピソード1 「Be There(私家訳:そこにいて)」でも取り上げられてます。
人物紹介をこんなにしているのは、今回取り上げる動画が公式のものでないことが第一の理由です。
ただ他にもここのところYoutuberが収入面で苦境に立たされているという理由があります。実際Phyさんも先日まではスポンサーなしでやっていましたが、最近はスポンサーを付けて運営しているようです。というわけで、少しでも彼らのような質の高いコンテンツを作ってくれるチャンネル主催者に人が集まるといいなと思って紹介しているのが第二の理由です。
エイゴ チョット ワカル な皆さんはぜひチャンネル登録して、視聴したり広告クリックしまくったりしてあげてください。
では以上前置き終わりです。なお、くどいようですがコンテンツはすべてPhy氏が制作されたものであり、僕のブログは抄訳です。また(彼のチャンネルに出来る限り人を送りたいという意図の上、マネタイズしていないブログで紹介しているとはいえ)人のフンドシで相撲を取っていることに変わりはないので、問題があるようであれば本投稿は削除する予定です。
ではコンテンツへ。
現在ADCの初期アイテムとして主流なのは
です。
ロングソードでポーションをたくさん購入する理由は基本的にダメージ交換を積極的に行っていくためです。その過程でガンガン体力を失うことになるため、それを補うためのポーションというわけです。
一方のドランソードスタートはファーム合戦向けまたはキル合戦向けという感じです。ファーム合戦であれば通常攻撃をたくさんすることになるため、ライフスティールが効果的です。そしてキル合戦の場合、増加HPとライフスティールがモノを言うわけです。
そして第三の選択肢として浮上してきたのが:
- ドランシールド + ポーションx2
- 価格400
- +80 HP
- +6/5秒 体力自然回復
- 敵チャンピオンからダメージを受けた場合に10秒かけて体力を20回復(固有パッシブ)
ドランブレードと比較すると…
- +80 HP
- +8 攻撃力
- +3% ライフスティール
というわけで、端的に言えば「攻撃力とライフスティールを失う代わりにサステインが上がる」選択肢となります。
またドランブレードは「ミニオンを攻撃するとライフスティールできる」ということであり、マッチアップが悪くゾーニングされて攻撃できない場合にはスティールがそもそもできません。そういう場合にこそドランシールドのサステインが活きてきます。攻撃を受けると回復する上、ポーションも1つ多いからです。
これが選択肢として上がってくるのは、今ケイトリンがピックされる頻度が多く、レーン戦がしんどい場合が多いためです。またルシアンもこちらの位置取りが悪ければダッシュからのダメージ交換で負けてしまいますし、そうなるとライフスティールでは回復が追いつきません。またスペルシーフのアップデートがかかり、サポートにもザイラ、カルマ、マルザハールが多くなっているためサステインがなおさら重要になってきているわけです。
で、回復量についてですが、ざっくりまとめると
ドランシールドの固有パッシブと張り合うには、ドランブレードでは5秒あたり2回通常攻撃をしないといけません。
ドランシールドのパッシブがずっとかかった場合と比較すると、これは5秒毎に7回通常攻撃しないといけない計算となり、不可能な数字になります。
一方で考慮しなくてはいけないのが、ドランブレードの「ライフスティール+3%」は攻撃力が上がるにつれてスケールしますが、ドランシールドのほうは固定であるためスケールしない点です。
初回リコールでBFソードが買えたらライフスティールの回復量はぐっと上がりますし、その後攻撃速度が上がれば時間あたりの回復量はさらに上がります。
要するに序盤を超えたあたりからドランシールドの価値は相対的にぐっと下がってしまうということです。
なので継続的に通常攻撃できる環境であれば、ドランブレードのほうが総合的な効率は良いでしょう。
一方で相性が悪い相手でまともにファームがさせてもらえそうにない場合、ドランシールドのほうがサステインが上がります。
これはポークの強いサポート(ザイラの植物やカルマ)相手ならなおさらです。
要するに最初の15分を凌ぐという目的ならば最良の選択肢になる、ということです。
Phy氏は個人的に多くのチャンピオンでロングソード+ポーションx3からドランシールド + ポーションx2に切り替えたそうです。
あとはダメージ交換が苦手な人にとっても良い選択であろう、とのこと。
一方でRevolさんが今日こんな感じのことをおっしゃっていました。
AAの射程が長いADC(e.g. ケイトリン/アッシュ)でドランシールドスタートしている選手をちらほらみるようになってきた。序盤のLS3%よりも10秒かけて20HP回復(加えて6Hreg)の方が確実性が高い?
— Revol (@krevol) 2017年5月9日
Phy氏の言っていることとは反対(レーン強者が持っている)ですが、「ドランシールドのパッシブがずっとかかった場合と比較すると、これは5秒毎に7回通常攻撃しないといけない計算」という数字を踏まえると、相手がドランシールドを持っていることを想定するならレーン強者側もそれを持つことでより有利にレーンを進められそうなので、そういう流れなのかもしれません。サポートのハラスでもりもり回復しそうだし。あれ?そうすると誰がドランブレード買うの…?
はい、今日は以上です。いつもとだいぶ毛色が違いますが、最近色んなロールを練習中なので自分が勉強になりました。なるほど。僕はドランシールド一択だな!というわけでサモナーズリフトに戻ります。以上LYEでした。
あ、Phyさんのチャンネル登録、お忘れなく(ダイレクトマーケティング)!あとLive/Playも内容濃いし、海外LoL実況シーンが垣間見えて面白いですよ。
用語解説:ヘイルメリーバロンとかバロン用語
こんちは、MSI盛り上がってますね。日本代表のRPGにとっては難しい大会となったようですが、これを糧にさらに強くなってくれると信じているLYEです。
今日は、先日のアンケートで票数が多かった順に「ヘイルメリーバロン」を説明してみたいと思います。これだけだとまあ短いんで、ちょっと他にバロン関連用語も取り上げてみますね。
そもそも「ヘイルメリー」って何よ?
直訳すると「聖母マリア様に祈る」って意味で、要するに「神頼み」という意味です。以上、説明終わり。…とするとちょっとさびしいので、もう少し続けさせてください。
アメフト経験者・NFL好き(あるいはジャンプ漫画アイシールド21読者)なら、試合終盤によく聞く用語に「ヘイルメリーパス」というのがあります。これは、試合終了間際に「神頼み」で成功率が低い超ロングパスを投げて得点を狙うというプレイです。で、これのLoL版が「ヘイルメリーバロン」というわけです。
アメフトというのは非常に戦略性の高いスポーツで(LoLと同じですね)、得点する…つまり試合で有利を作るには長い時間をかけた下準備やマクロ・ミクロプレイが必要になります(LoLと同じですね)。で、アメフトはLoLと違って試合時間が決まっているので、負けているチームとしては、普通にプレイしていたら残り時間が足りずに得点できず、勝ち筋が消えることがあり、だからこそこういったプレイが生まれるわけでございます。
(ヘイルメリーパス成功例)
ヘイルメリーバロン(Hail Mary Baron)
LoLのケースでは相手にゴールド差やオブジェクト差をつけられすぎた時がこれと似た状態であり、「このまま普通に戦っても勝てないから、成功率は低いけどこれに賭けるしかねえ」と判断してバロン攻略を開始する行為を指して「ヘイルメリーバロン」と呼びます。
いわゆる「バロンスロー」(プロにおいては間違った戦略的判断に基づくバロン攻略、プロ以外だと「勝ってるからって "舐めプ" で始めるバロン」)との最大の違いは、仕掛ける側がミクロ(戦術的)判断としては合理的でないと分かっている点です。そのままだとジリ貧なのでマクロ(戦略的)には正しいのですけどね。
バロンスローについてはThe Breakdown with Jattでも取り上げられていたのでこちらを。
というわけで、相手をキルした直後でもなければレーンを押しているわけでもないのに負けている側がバロンを始めた場合、それは戦況によって「ヘイルメリーバロン」にも、「バロンスロー」にも、あるいはその中間であることもあり得るわけです。
MSIでもおそらくバロンを巡ってこういった作戦が取られることもあると思うので、よかったら注目して見て、これはどっちかなとか判断してもらうとちょっと楽しいかもしれません。僕は楽しいです。
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っと、ヘイルメリーバロンはこれで説明終了なのですが、せっかくなので他にもバロン関連用語を説明してみますね。
バロンパワープレイ(Baron Power Play)
プロシーンでは皆さんご存知の通りいろんな観戦者ツールが用意されていて、普段の試合では見られないたくさんのデータが表示されます。そのなかのひとつが「Baron Power Play」です。
LCKやLCSなどでバロン獲った後に解説がこの用語を使うことがあるのですが、これは「バロンバフを獲得してから失効するまでに築いたゴールド差」を意味します。つまりどれだけバロンバフを活かせたかの指標です。
タワーを複数本折ったりするとすごいパワープレイになりますが、一方でバロンを倒した直後に捕まってエースされたりするとこの数値はマイナスになったりもします。「強いチームは作った有利を活かし切る」という前提のもと使われることが多いですね。
もっとも、タワーをあらかた折った後だったりすると(残りはインヒビタワーだけ、とか)有利を活かしてもそれほど数値は伸びなかったりするのですが。
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スニークバロン(Sneak Baron)
続いてはスニークバロン(Sneak Baron)ですかね。
Sneakは「こっそり」という意味なので直訳すると「こっそりバロン」。
意味は、「相手に見つかることなく(こっそり)バロン攻略する」です。
相手がリフトスカトルを獲っている状態でバロンピット裏から侵入して、視界に映ることなくバロンを開始する。一端3人をレーンに出して相手を安心させたところで2人だけでバロンを削りまくり、最後だけ全員集まって仕留める。そういう感じのプレイです。
バードの精霊の旅路やブラストコーンなどでチームが一斉にバロンピットに忍び込むこともあります。
具体例はUOLのこのシーンでしょうか。ここでUOLは相手に周辺視界を取らせず、レーンに顔を出した直後にバロンへ直行、デイジー付きアイバーンとカシオペア2人で倒しきっています。
(なお動画名が「UOLの Baron Power Play」となっていますが、厳密には間違ってますね)
これは視界管理やタイミングの妙を誤れば「バロンスロー」になってしまう危険もありますが、上手く行った場合には凄まじいアドバンテージになるのも事実です。
うん、これくらい情報量があったらそれなりに読んでもらっても楽しんでもらえるでしょうか。以上、いつものLYEでした(そういえばこないだ聞かれたので:LYEはライと読みます)。
それでは5月、贔屓チームが勝っても負けてもMSIを楽しみ尽くしましょう。