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LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

2016 MSI グループステージ4日目: RNG vs FW 解説翻訳

解説翻訳 MSI

Mid Season Invitational (MSI)、グループステージ盛り上がりましたねー!

個人的に観戦中一番叫んだ試合は4日目の RNG vs CLG戦でしたが、この投稿では解説的に一番面白かったRoyals Never Give up (中国LPL) vs Flash Wolves (台湾LMS) 戦の解説を翻訳したいと思います。

(メモ: MSIがなんでそんなに大事なの? オールスターのほうがお祭りっぽくて楽しくない? と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、MSIの成績はその年のワールドチャンピオンシップにおけるシード権やシード枠にも関わってくる、前哨戦ともいえる大会なのです)

それでは、以下翻訳です。

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youtu.be

Pick & Ban

【RNGはEzreal、Braum、EckoをBan、FWはTwitch、Sivir、KindredをBan】

RNGは昨日の対FW戦でAzir・Ezreal・MaokaiをBanしていました。これは相手の後半戦でゲームをキャリーする要因を排除するためで、このBanによりRNGは、相手に序盤で有利を作るチーム構成を強いて、さらに自分たちはRyzeとKindredをピックして後半戦で優位に立とうとしました。今日は違う戦術でくるようです。

対するFWはWUXX選手狙い撃ちのBanですね。最後のKindred Banは、KindredのRによる「時間稼ぎ」を不可能にするためでしょう。RNGを相手に戦うのに、集団戦で「時間を稼がれ」たら負ける可能性が高くなりますからね。

RNG 1巡目 f:id:LYE:20160206004405p:plain

しかしこのBanにより、Mata選手の手にAlistarが渡りました。チャンピオンの長所を理解しているMata選手にこのチャンピオンが渡ると...FWはかなりの覚悟を持って臨まないといけません。

FW 1巡目 f:id:LYE:20160509233759j:plainf:id:LYE:20160206004329p:plain

しかしFWは、Alistarを渡した代償として大会パッチにおけるS級チャンピオン2人を確保。個人的に、大会パッチにおけるGravesはKindredに次いで2番に優れたジャングラーだと思っているので、Alistarを渡したとしても良い交換をしたと思います。

RNG 2巡目f:id:LYE:20160509233930j:plainf:id:LYE:20160206004531p:plain

今大会では多くのチームが2巡目でAzirを取っています。ここでのRNG、カウンターピック?なにそれ美味しいの? 今プレイしてるゲームってなんだっけ? チームファイト? ん、じゃあAzir取るわ、ッて感じです。そしてAzirは強いチャンピオンというだけでなく、Xiaohu選手の得意とするチャンピオンでもあります。それはWuxx選手のLucian、Mata選手のAlistarも同様で、ここまででもRNGのラインアップはかなり強力ですね。

FW 2巡目 f:id:LYE:20160206004332p:plainf:id:LYE:20160509234015j:plain

FWは前戦で試みた1-3-1をすっぱり捨てて、RyzeとCaitlynで集団戦で勝てる構成を選んできました。もちろんMid Ryzeはテレポートを取るでしょうから引き続き1-3-1は可能ですが、おそらくこれは集団戦を意識したものであると言えるでしょう。CaitlynはLucian+近接サポートのタッグに対して攻撃範囲で勝りますから、レーン戦も有利に進められると思います。

RNG 3巡目 f:id:LYE:20160206005023p:plainf:id:LYE:20160206004409p:plain

FW 3巡目 f:id:LYE:20160509234239j:plain

この時点でFWが取りうる選択肢は非常に多いですね。Maokaiはもちろん凄まじくタンキーになりますが、GravesとRyzeもかなりの打たれ強さを持ちます。Bardが得意な選手なら、Bardが刺さりそうな構成ですが... Morganaになりました。これもいいピックです。

チーム構成確定後

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このBotレーンの組み合わせからいくと、RNGはレーンスワップを仕掛けるでしょうね。

Lucian+AlistarでCaitlyn+Morganaを相手にレーン戦するのは相当しんどいので。

Wuxx選手とMata選手の力量ならCSを互角に持っていくことも可能でしょうが、Caitlyn+Morganaではレーンを相当プッシュされてしまいます。これに対抗するにはガンクとAlistarの不意打ちコンボですが、Maple選手はテレポートを持っていますし、そもそもブラックシールドを持つMorgana相手では難しいですからね。

4-1プッシュ構成のRNGに対して1-3-1構成のFW。ただし前戦を見る限りFWはあまり1-3-1を得意としているとは言えません。もしかするとFWは、前回Mid Zedで1-3-1を試みた結果を鑑みて、Ryzeを含む4人とMaokai 1人で4-1構成にしよう、と考えたのかもしれませんね。いずれにせよFW MidのMaple選手のテレポートが非常に重要になってくると思います。

試合開始

おっと、Mata選手がサモナースペルにIgniteを取っていますね...ということはレーンスワップなしで2対2に臨む目算なんでしょうか。いえ...レーンスワップは仕掛けるようです。

一般にFWは前半戦でリードを作れることが多いですよね。しかし前戦においては、RNGが2、3千ゴールド差が付いたところでぐっと踏みとどまり、相手のミスを突けるタイミングが訪れるまで硬直させ、そして喉笛に噛みつくように試合の主導権を奪いました。今回はどうなるか。

FWは非常にレーンスワップが上手ですよね。昨日もテンポ*1で相手の上をいき、結果Midのガンク→ファーストブラッドにつなげました。混戦でも、MMD選手が早めにBot Tier 1タワーに到着して綺麗にレーンスワップを進めています。

おや、RNG側、Top Tier 1タワーを折った後にレーン奥にワードを置きに行っていませんね。このワード、非常に重要なんです。これがあることにより、相手チームがミニオンに近寄ってくるギリギリまでファームして、近づいてきたら速攻でプッシュしてレーンを去れるわけです。FW側はMMD選手が置いていますよね。これができないと、どのタイミングでプッシュすればよいかがわからず、結果的に自チームのCSに悪影響が出てしまう。

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結果的にはRNG Top Looper選手もそれなりに良いタイミングでプッシュして安全にレーンを去れましたが、これはほぼ勘でやったんじゃないでしょうか。いずれにせよ総合的にはFW側がテンポの上でやや有利を取ったと言えるでしょう。レーンスワップの勝敗は、TopのCSにあらわれてきますからね。

なお現在のメタ、特に欧州におけるレーンスワップの基本としては、敵ミニオンの前に立ってダメージをチャンピオン側で吸収し(自軍ミニオンを長生きさせ)、通常攻撃はすべてタワーに集め、スキルはすべて敵ミニオンに使うのが最効率とされています。

そして赤サイドならば、ADCはTop Tier 1タワーを折ったら即効で帰還し、BotレーンのCSを確保しに走り、ジャングラーとサポートはリフトヘラルドを狩って、BotサイドのADCと合流してTier 2攻略に臨みます。

しかしどうやらこの試合で赤サイドを取ったFWはそれに倣わず、即効で帰還することでテンポを早めようとしたみたいですね。

しかし結局RNGがドラゴンを狩るのを止めることはできなかったのでテンポ的には失敗、総合的にはドラゴンを取り、Tier 2も攻められなかったRNGが有利です...が、どうやらFWはこのままBot Tier 2を攻略にいくようです。その間RNGはリフトヘラルドを狩っています。その後RNGもリフトヘラルドのバフを使ってTop Tier 2を攻略、結果的にタワーの交換となりましたが、RNGはドラゴンとリフトヘラルドを取っているのでオブジェクティブ的にはRNGの有利ですね。

ただRNG側はテンポの面で遅れを取っていたので、Looper選手のCSはずいぶん低い数になっています。テンポに乗り遅れると、常に「追いつこうとする」状態になってしまい、誰かの残飯処理しかできず、CSが稼げないんですよね。

おっとFWはさらに、Topのミニオン大群をTopのMMD選手に取らせるようです。これはFW、Topをできるだけ育てたい考えでしょうか。

しかしこれでFWはTopとBotのウェーブを自軍側でフリーズさせている状態になるので、RNGにとってはMid Tier 1を攻略しやすい状態となりました(結果50%ちかく削られ、Mid Maple選手はTier 2からTier 1へ牽制的テレポートを強いられました)。

ドラゴン攻防→ファーストブラッド

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【先にドラゴン周りを確保したRNG、それを周囲から攻めようとするFW、しかしRNGのSup Mata選手、FWに考える暇を与えず即座に打ち上げコンボを決めてファーストブラッド】

これがRNGの怖いところです! 通常ならにらみ合いがあって、その間にどうするかを少し話し合う暇ができるのですが、RNGはそれを許してくれません。少しでも隙があれば即座にキルを取りに来る。ためらいゼロです。ほとんどリーロイ・ジェンキンス的ですらあります。しかもAlistarまだLv 5でUltもなかったんですね...!

RNGの強みは個々の強さにあります。FWはTop MMD選手を育ててスノーボールしようという計画でした。しかしRNGにとっては、Looper選手のPoppyが育っていなければ、彼は支援役に回り、他のメンバーが試合を動かす。そういうことができるチームなんですね。


【その後もテンポの上でRNGが上を行き、FWは振り回され、その結果として奇襲からの集団戦をRNGがたびたび制し、さらにTop & Mid Tier 2 タワー、Mid インヒビタータワーを破壊、ゴールド差は7千に。以後は集団戦をすべてRNGが制し、あっという間に試合を決める。】


試合後の解説デスク

  • 今戦では、仮に今RNGがブラインドドラフトでゲームをプレイしても同じ構成にするんじゃないかと思うくらい、RNGにとって良いチャンピオンが取れたと思います。
  • FW側は前回してやられたTwitch & Kindred構成を止めるために両方をBanしましたが、止めるだけなら片方でよかったと思う。
  • 大会パッチにおけるジャングラーのトップ3チャンピオンはKindred、Nidalee、Gravesだけれど、そのうち1人をBanしても、両チームともトップクラスジャングラーを取れるわけで、FWはBanで有利を作る、ということに失敗してしまった。
  • Nidaleeは今大会で振るっていなかったけれど、その理由は「集団戦フォーカスのメタでNidalee選んでどうするの?」というものだった。でもこの試合のような形で貢献することは可能だし、集団戦が起こるより前に、まずジャングルクリアーが圧倒的に速い。GravesではわかっていてもどうしようもないくらいCS差を付けられてしまった。
  • 序盤の小競り合いでRNGが優位に立てたのは、リバー沿いのビジョンを完全におさえていたことも大きかった。RNGの他のメンバーが最短距離で駆け付けられるのに対し、FW側は遠回りをせざるを得なかった。ああいう状況で数秒到着が遅れるのは非常に大きい。

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以上、解説翻訳でした。

来週は準決勝~決勝まで行われます。進出チームは以下のとおり。

  1. Royal Never Give Up (LPL)
  2. COunter Logic Gaming (NA LCS)
  3. SKTelecom T1 (LCK)
  4. Flash Wolves (LMS)

詳細は公式サイトで!

しかし他地域のチームとの対戦を通じて、各チームのマクロゲームが進化していくのは見ていて猛烈に面白いですね。僕のようなARAM厨でもワクワクしながら見ることができます。

以上、日本サーバー LYE がお送りしました! ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。

 

*1:訳注:プロシーンにおける「Tempo:テンポ」は任意の戦略的行動を仕掛ける・実施するタイミングの妙を指す。たとえばレーンスワップでタワーを折るタイミング、ドラゴン前にレーンを押すタイミングなど