LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

2017 EU LCS Spring Split: OG vs UOL: W2 D1 G1 解説翻訳

今日はEU LCS 2017 Spring Split Week 2 Day 1より、Game of the weekだったOrigen vs Unicorns of Loveの試合について、解説のつまみ食い翻訳をしてみたいと思います。

コレ、何もかも完ぺきな試合ではなかったとは思うのですが、色々と現在のメタとか、勝利条件とかでDeficioさんが面白いことを話していたので共有したら役に立つ人もいるかなーと思いまして。

特にUnicorns Of Loveはドラフトが読めないことでもよく知られているチームですが、読めないだけでなくなかなかの心理戦をしかけてるみたいですよ。

それでは前口上はさっさと切り上げて解説翻訳に進みます。

 

凡例:Deficio氏(解説) / Piratechnics氏(実況)/ LYEの補足

試合前

  • Unicornは第一戦、自らレッドサイドを選択。
  • 先週の試合ではEU LCSでは初となる「あえてレンガーをBanせず」、そこにポッピー、アイバーン、ルルでカウンターをかけるという戦略を取っていましたね。結局レンガーはそのせいでバーストしきることができなかったので、なかなか興味深い戦略だったと思います。最初の20分をしのぎきれば勝ちという感じの構成でしたね。

Pick & Ban

  • 10 Banシステムの導入以来、ブルーサイドは狙いを持ったBanをできる一方で、レッドサイドはいわゆるOPチャンピオンのバンを強いられる状態になっています。でもこの試合ではそんなの見たくないですね。

 

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【OG、カ=ジックスをBan

  • まあそうでしょうね。レンガーが常時Banされている現在、実質最強のジャングラーですから。

【OG、ブルーサイドにもかかわらずOPであるカミールをBan

  • 言った通り、UOLが何を仕掛けてくるかわからない以上、OGはここで念のためカミールをBanしてきましたよ。わざと空けてカミールファーストピックを強いられ、まだ見ぬカウンターを繰り出されるのを避けたのでしょうただOGは先週のH2K戦でもブルーサイドでカミールをBanしていたので、TOP Satorius選手がカミールをプレイしたくないからかもしれません。

【OG、1stピックでジェイスをロックイン】

  • ここのところよくジェイスがピックされていますね。彼が1stピックとして優れているのは、Flex Pick(ドラフトの進行によって複数のレーンを担当できるチャンピオン)だからです。先週の各試合でもそうでしたが、だいたいどのチームも最初の1stピックフェーズではFlex Pick、ADC、Supportをピックしています。(つまりBotを固めてソロレーンをFlex Pickにしておけば、2nd Banフェーズで不利なところを狙い撃ちされにくい)たとえば、もし自チームがアッシュをピックした状態で相手がADCをピックしなければ、2nd BanフェーズでヴァルスとジンをBanできてしまいますからね。

【OG、ジェイス(Flex)/ヴァルス(ADC)/ザイラ(Sup)をピック】

  • 今UOLはSupportのカウンターとしてフォーチュンもピックできますが、ここはJunglerもありですよ。ここでレク=サイやリー・シンなどの強いJunglerを取れば、あとは2nd BanフェーズでJunglerを狙い撃ちできますからね。

【UOL、シェンをロックイン】

  • ああ、UOLはすごく独自の戦略を立ててきますからね…でもJunglerを残したのは良かったのかもしれません。Xerxe選手はチャンピオンプール深いですからね。何か隠し玉を用意しているのかもしれません。

【UOLの1stピックフェーズを見て】

  • ジェイスの1stピックに反応するかたちでソロレーン2つを取ったのはいいですね。ジェイスがどちらのレーンに行くとしても、シェンなら厳しいながらも忍者足袋とJunglerの助けがあればなんとかしのげるでしょうし、ジェイスは放っておいてBotにULTで飛んでキルを生みだすこともできますから。Midに来てもライズならなんとでもできる。
  • さてUOLはSupportどうするのでしょうか。Topにシェンを置く時は、Botが強くないとダメなんですよね。ミニオンを思いっきり押し込んで、ダイブするプレッシャーをかけていかないと。

【OG、最後のピックでJunglerにオラフをロックイン】

  • おっとこれは…確かにオラフは後衛に突っ込むことはできるかもしれませんけど、OG側、他のメンバーは紙装甲ばっかりですよ?

【Pick & Banを終えて】

  • UOL、Supportバードとはとても珍しいですね。何らかの作戦があるようですが。しかしOG側のJunglerはエリスのほうが良かったのではないかと思います。序盤のギャンクプレッシャーが強いですからね。タンクなしの構成の場合、序盤~中盤でスノーボールしていかないとしんどいです。試合が長引いて40分経過したら集団戦でタンクなしというのはね。
  • OGはBotレーン勝てるかが大事そうですね。

試合開始

  • UOLはTopとBotがかなりしんどい上に、ランブルは序盤ギャンクが有効じゃありませんからね。この両レーンで負けるとかなり辛いのでは。Topはミニオン押し込まれたりポークで体力半分になったりしていたら、タワー折られる危険が高いですし、体力少ないとULTでギャンクにもいけない。

【OG Bot、ヴァルスとザイラという強力なコンビながら強い有利を作れないのを見て】

  • この2人ならもっと勝ってないといけません。OGのBotレーンについてはこの点批判が出てるんですよね。2人とも受け身なんです。ポークし放題なのに、アグレッシブに出られていない。
  • このままLv6を迎えると、ULTのせいでランブルの存在感がぐっと高まります。シェンもいるし、バードのULTもキルを生み出せる。Botで5v3を起こしたりできるようになってきます。だから現時点でOGのBotがCSで負けてるのは問題ですよ。
  • このままズルズルいくとライズが育ちきっちゃいますね。
  • ええ、ランブルもまた同様です。序盤のギャンクが弱い代わりに、後半戦の火力は凄まじいですからね。
  • さあLv6を迎えましたが、OGは望むほどのゴールド差をつけられていません。

【OGオラフがTopをギャンクしに行くも、逆に捕まってダブルキルを取られる】

  • Wisdomのオラフは致命的なミスをしましたね。Midのライズ(ULTで距離も詰められる)がMIAになってからしばらく経っていて、自軍のカシオペアは追いつけない場所で、フラッシュのないチャンピオンで、あの場にいるのはダメでしょう。MidがMIAになった時点で即時撤退すべきでした。ただTopを狙いに行ったこと自体は正しいと思います。グローバルULTを持つチャンピオンがいる場合、そのチャンピオンのレーンを攻めるのが定石ですからね。ただやり方がまずかっただけです。
  • OGはこういうコミュニケーションのミスが目立ちますね。もちろん新しく5人集まったばかりのチームですから、最初の数週間はそれで普通だとは思いますが。
  • Lv6を迎えて、OGのBotはますます厳しくなりました。いつシェンのULTが飛んでくるか分からず、ランブルもいますから、もうレーンでプレッシャーをかけるのは諦めるべきです。

【そのほぼ直後、Botをランブルとライズがギャンク、シェンもULTで加わってOGザイラをキル】

  • 当然こうなりますよね。ただ試合の流れはマップを見るとすぐわかります(シェンがULTを発動するため早々に後退しており、ライズもMIAだった)。OGは即座にTopタワーを折る反応を見せていますが、それならBotに2人が残る理由はまったくなかったんです。確実にキルされる状況だったのに、サモナースペルも3つ使ってしまっている。

【OG Satorius選手のジェイスが初手ブラッククリーバーを積む】

  • これは正しい判断ですね。対面タンクならば、アーマーを溶かすアイテムをさっさと積む。2ndアイテムにラストウィスパーもありえます。いい対応です。ここからは、Topに留まる意味はありません。ウェーブを押し込んで次を待つのではなく、他のレーンにロームしていかないと。

Botレーンでザイラが捕まったことから集団戦に発展、OGが3-1交換で勝利】

  • まず、シェンがいるのだから人数差がある状態で戦闘に持ち込まないと意味がありません。自分が飛ぶ、相手が飛ぶ、その時は勝負をかけない、次に自分だけ飛べる有利を活かして人数差を作る。こうしなければ、普通に5v5やれば戦力互角なんですからこうなりえます。

【ザイラ、Midで再びバードのULTに捕まりデッド】

  • そもそも前に出る必要なかったですよね。自分は紙装甲でフラッシュがCD中、相手はバード、ミニオンに固執しなくていい場面。あんまり繰り返し言うのは気分が良くないですが、良くないです。ここはガマンですよ。
  • Hiiva選手は元々チャレンジャーシリーズでタンク系サポート使いとして知られていますからね、まだまだ学習中ということなのでしょう。

【UOL、1-3-1でプッシュを始める】

  • これは効果的ですよね。シェンとライズがそれぞれプッシュする。シェンはいつでも飛べ、ライズもULTがあるので他のチャンピオンよりも早く集合できる。それにタイマンでも負けないですし、いざとなればシェンが護衛にかけつける。そうなるとカシオペアは、プッシュされきった後にファームするしかなくなる。その間にライズは他のレーンにロームできる。

【UOL、ふたたび集団戦で最初に捕まえた相手に固執する&シェンULTが遅れるというミスで敗北(1-2交換)、ゴールド差4kでOG有利に】

  • 方向性としては間違ってなかったのですが、実際のプレイがダメでしたね。UOLは何度も同じ間違いを犯しています。

【UOL ジンが妖夢の霊剣を積んだのを見て】

  • このビルド、一番ポピュラーというわけではないですが、この構成には刺さりますね。「脅威」は今タンクを倒すためのものではなく、紙装甲の相手に確定ダメージに近い威力を出すためのものですから。

【劣勢のUOLを見て】

  • UOLはいつもながらの個性的なチーム編成で狙いは良かったのですが、それに沿ったプレイができていませんね。さっきも1-3-1でライズがレーンを押し込んでいたにもかかわらず、人数差を作り出せていなかったし。

【その後Mid(人数は3v4でOG有利)とTop(人数は1v2でUOL有利)で両方に勝利し、そのままエース、バロン獲得】

  • OGは機動力のないチャンピオンばかりなので、ジンのULTが展開されるだけで相当つらいですね。

【OG、オラフがライチャスグローリーゴーストULTで突入するも、当然ながら後衛が追いつけず集団戦に負け、ゴールド差ひっくり返る】

  • OGは誰もまともなMR積んでないので、ランブルが本当に痛いですね。Xerex選手、17歳と若く、LCSは初めてなのに実にいい動きをしています。ソロキュー的な派手なビッグプレイを狙うのではなく、必要な時に必要な場所にいてチームの勝利に貢献しています。

【UOL、そのまま数回集団戦を制して勝利】

スタイリッシュなフィニッシュだったのでGIFにしときました。ご査収ください。

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【試合後のアナリストデスク】

  • Mid(人数は3v4でOG有利)とTop(人数は1v2でUOL有利)で戦闘が起きた時、OGはきちんとコミュニケーションが取れていませんでしたね。Topで2人を引きつけているのに、ジェイスが「そろそろ死ぬわ」って状態になってからMidタワーを押し始めるような状態になってしまっていた。
  • OGのヴァルスは、途中からMidを押させてもらえませんでしたね。あれは視界確保ができていなかったこと、そしてバードのULTがあったことが原因です。ヴァルスをピックしてウェーブを押し込めないというのは厳しい。あれでOGは前に出るということができなくなってしまった。それでもTopのSatorius選手は実にいい仕事をしていたと思います。彼のプレッシャーは相当に強かった。実質2v1で勝ちかけましたからね。

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以上、ざっくりとした解説翻訳でした。

2試合目もドラフトが大変面白かった(途中まで1戦目と同じドラフトで来ていたものの、途中からUOLがタンク祭開催)ので、ぜひ見てみてください。

また2試合目ではDeficio氏がOGヴァルスのビルドについて苦言を呈していました。「タンクばかりなのに妖夢の霊剣を初手で積む意味がわからない。ここで買うのは王剣だろう」とのことです。

ADCのビルドについては特にチーム編成によって結構違いが出てきているのが面白かったです。なるほどなー(アンランクド感)。

 

以上、LYEでした。あ、サモナーネームもLYEなので、ARAM誘ってよね!