LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

MSI 2017メタ 解説拾い&勝手まとめ翻訳

MSI、めっちゃ盛り上がってますねー。

毎年国際大会となると、「普段対戦しないチームが何度も、同じパッチで」対戦するためにいわゆる大会メタみたいなものが進化していきますが、今回はこれをちょっといくつか解説のセリフを解釈したものを書き散らしてみようと思います。観戦の助けになれば幸いです。

チーム編成

全部の編成がこれらに収まるわけではなく、また複数の属性を混ぜた編成もあるわけですが、だいたいこんな感じになっていると思います。

Protect ADC編成

今回のパッチ7.8において、カルマ・ルル・アイバーン・オリアナなどのシールド/リデンプション重ねができるチャンピオンと後半戦でハイパーキャリーになるADCの組み合わせで「とにかくADC守りきって火力でぶっ殺す」という編成が見られるようになっています。特にルル(あとカルマも)は早めにピックするとFlex Pick(フレックスピック、複数のレーンに行けるピック)できるため重要視されています。

ただココのところの試合を見ていると、Banでルル・カルマを開けて相手の構成を誘導し、それに対策をぶつけるところもあるみたいですが、基本的にはどこもできればルル・カルマ両方は取らせたくない、という感じで進んでいます。

ただしMidレーナーがルルを得意としていないチームではこの作戦が取れないため、逆にしんどいようでもあります。

なお、この編成は自動的にADCが火力を出せるようになる終盤戦でこそ生きるため、序盤で負けるとかなりしんどくなります。ただひっくり返して勝利する試合もあるので(Group Stage Day 5 TSM vs G2はシールドによるProtectではなくブラッドサースターと適切なピール、あとZven選手のナイスプレイによるものですが)、ADCにすべてを賭けるというのは後半への保険という意味でも強そうです。

youtu.be

Deficio氏「G2 put all the eggs in Zven's basket」(G2はZvenにすべてを託した)なんて表現もされていました。G2の勝利におけるZven選手の活躍は観戦された方ならご存知のとおりですね。

Hard Engage編成

とにかく後衛ぶっ殺すメンとしてアサシンやダイバーなどがピックされる構成です。解説いわく(というかお気づきの通り)、序盤でしっかり有利を作れないと突っ込んでも倒しきれないという何もできないチームになりがちなので(GAMなどはこれで負けることも多かった)、ExecuteがDifficultだよね(ルー語訳:作戦としては良いけど、それを正しく遂行するのが難しいよね)という評価が多いです。

Deficio氏(あとDyrus元選手もこないだ自分の配信時に言ってた)が「LoLは完ぺきにプレイすることはできないので、相手の失敗をいかに突くかのゲームである」というふうに言われていました。ハイレベルになるほどExecute(作成遂行)が難しい編成と言えそうです。

Siege編成

アイバーンなどタワー攻略に向いたチャンピオン、ゾーニングが可能なメイジ(サポザイラも含む)、ポークが強い、遠距離通常攻撃でタワーを攻撃できるチャンピオンなどの編成で、集団戦で勝たなくてもタワーがボキボキ折れる構成です。特にアイバーンはマッチアップ次第で序盤のカウンタージャングルも強力になるため、序盤にも生きることなどが効果的なようです。と聞きかじりましたが、この構成にするチームはそう多くないのであまり記憶に残ってないです。サーセン

1-3-1編成

サイドレーンを任せられるチャンピオン2人をピックして3レーン同時に押す編成ですが、ハイレベルの試合になると一瞬のミスが命取りになるのでExecutionが非常に難しい、と言われていました。劣勢だとそもそも1-3-1が展開できないというのも大きな理由だと思います。

 

それから特定の編成以外では、今年のMSIでは序盤でがっつりスノーボールすることが非常に重要だ、そのために編成も考える必要がある、という話が何度か出ていた点も紹介しておきます。完ぺきに作戦遂行すればProtect ADCの火力がヤバイ、というのは前提としてありますが、それをシャットダウンする意味でも序盤が大事なのかなと。

チャンピオンピック数(Ban数は考慮しませんでした)

免責事項:話を色々聞いた限りでLYEがまとめたものなので、以下のように明示的に言われていたわけではありません。また、当然チーム編成によって求められる役割が変わるので全部Sにすれば強いというわけではありません。

またBan数を考慮しなかったのは、Flex Pickチャンピオンの数が多くなるのを避けるためです。

データはこちらを参考にしました

Top

S シェン(9) ランブル(8) ガリオ(8) グラガス(7)

A ケネン(5) ノーチラス(5) フィズ(4) クレッド(4)

ガリオとシェン、(それから部分的にはクレッド)はサイドレーンからミッドへの移動が容易である点とタンクとしての安定性が評価されてのもののようです。

ガリオはミッドとのFlex Pickになる点、ミニオン処理能力の高さも評価されています。ドランリングx3で後衛ミニオンをQ一発でクリアできるようになるなど、スムースなローテーションが見せられるのがポイントのようでした。またGAMはHard Engage編成にガリオを組み込んで、後衛に突っ込んだアサシンに合わせてULTを打つなどの使われ方が出ていました。このアグレッシブな使い方はGAMが対G2戦でも使っていましたが「機能させるのは難しいハズの構成なのに、失敗したことなど考えないのがGAM流か」と言われていました。

ランブルはランブルの仕事をすると強いよねという話。

グラガスはレーンで押し込まれないミニオン処理能力とCC、ULTのピックポテンシャルが評価されています。

Jungle

S グレイブス(17) リー・シン(16)

A カジックス(7) エリス(5) アイバーン(5)

基本的にはリー・シンとグレイブスの取り合いになっていましたが、選手によって一方が圧倒的に得意であることが多く、そちらを取らせないためにBanされたり、先に取られたりすることが多いようです。

アイバーンは適切な状況下でのカウンタージャングル能力とタワー攻略時のデイジーの存在感、そして何よりもシールド+リデンプションの回復の厚さが評価されています。また特定の選手が得意としていることが知られており、ターゲットBanの対象になることも多いようです。たとえば対TSM戦ではかなり頻繁にBanされていました。

カジックスは特定の選手(GAM Levi選手など)が得意としていること、1-3-1中やローテーション中に相手を捕まえてのタイマンに強いことが要因か。

エリスは後半で失速するものの序盤のCocoonによるギャンク性能が特に評価されています。ただ後半の失速が手痛いため、編成による、とも。

Mid

S シンドラ(11) オリアナ(9) レブロン(6) 

A アーリ(6) タリヤ(6) ライズ(6) フィズ(4) 

シンドラはレーンを押せてULTで倒しきれる火力が出てCCもある点が評価されているようです。ただ相手に厚いシールドなどがあり一発で落としきれない状態になるとつらいよねという話もありました。カウンターとしてULTでULTを無効化できるエコーが上がっていました。ゼドも無効化できますがこちらはスキルマッチアップ(性能差ではなく技術勝負)になるという評価。
オリアナは強烈なカウンターがなくブラインドで出せる点が評価されているようです。

A Tierに並べたチャンピオンも基本的にレーンが押せること(フィズはちょっと特殊ですが)、1-3-1になった時にソロレーンに行けることが重視されている様子。この場合ソロレーンに行ける条件は「タイマンで負けない」「他レーンにすぐ合流できる」「逃げスキルがある」などのようです。

フィズはトップとのFlex Pickになる点も重要視される要因の模様。

またタリヤはタワー攻略時に敵タワーの後ろにULTを敷いて敵が近づけないようにするという使い方(FWのMaple選手が何度も見事なプレイを決めていました)が有効と見られているようです。

ADC

S:アッシュ(15) ヴァルス (11) ケイトリン(8) 

A:トゥイッチ(8) コグ=マウ(4) ジグス(3)

レーンを押されないチャンピオンが強いという評価のようです。またアッシュ(とケイトリン)はレーンを押し込まれない、終盤のスケールも圧倒的、という点が評価につながっている模様。ケイトリンが空いていてヴァルスピックした時は好み?という意見もありました。A TierのADCはS Tierがピックできない時くらいしか使われないくらいの状態のようです。また、序盤の有利が試合を決めることが多いことから、アッシュはULTによるピックのポテンシャルも評価されている様子。ヴァルスの評価が高いのもこのあたりか。

ジグスはピックした試合を見る限り、序盤ではマナの関係で押し込まれるケースが多いこと、またチーム編成でMidやJglに物理ダメージのキャリーが必要になることなどから運用が難しいよね、という話になっていました。相手がシンドラ→こちらジグス→こちらゼドという流れは数回見ましたが、この場合Midは「シンドラとゼドはスキルマッチアップ(性能的には互角)」という評価が一般的な模様。

またビルドですが、試合によってハリケーンより前にファントムダンサーを積むケースが見られました。これは相手のアサシンに即殺されることを防ぐ狙いと、そもそも戦線が伸びることを想定し、ハリケーンで複数同時攻撃があまり起きないことを前提としている場合に積まれるようです。

Support

S カルマ(11) ルル (11)

A タム・ケンチ(8) ザイラ (6) ナミ(5)

B ブラウム(5) マルザハール(4)

ADCを守るシールドがあり、レーン戦に強く、プッシュもできる2人がS Tier扱いの様子。タム・ケンチはカルマ/ルルが取れない場合によく使われていますが、ソロレーンで一気に人数差を作れるULTと丸呑みによるキャリー保護能力も構成によっては強力となるため、編成によってはカルマ・ルルよりも優先されることも時折見受けられました。

ブラウムは固有スキルからのスタンがキルプレッシャーになることと盾の固さによるところの様子。

マルザハールはピック能力はもちろん、彼がいるだけで相手にQSSを買わせたり、相手のチーム編成を誘導したり(タム・ケンチを相手に取らせる)できる点が買われている様子。

その他言われていたこと

GAMが何度かレーンスワップ(トップとボットが入れ替わること)を繰り出していたことが話題に登っていました。ただ以前と違ってボットタワーが柔らかくなっているので、タワー交換のためではない点がポイントだとのこと。基本的にトップが2v1でも押し込まれないチャンピオンの時に行われ (主にガリオ)、トップで不意をついてキルを取り、そのままトップタワーを削って通常配置に戻ることでボットのタワーを相当削られる代わりにファーストブラッドを取る、という使われ方をしているようです。

実際にキルを挙げたあとでも、「正直効果としては微妙」という評価の人もいました。その後ボットを押し込まれたらタワーを折られてファーストタワーボーナスを取られてしまう上、経験値的にも不利になることが多いためです。

「対面相手が顔を出すまではどのスキルにポイントを振るかは決めない」というのを徹底していないと、やすやすとファーストブラッドを取られてしまうよ、という話も出てました。ただ総合評価を見る限り、たぶん この大会で今後使われることは少ないと思います。

以上、またへーと思ったら適当に書き足したいと思います。以上LYEでした。

 

それにしてもGroup Stage Day 5 TSM vs G2 の試合はすごかった!(↓画像ネタバレ注意)。

見てない人ぜひ

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すごくいい試合だったと思います。