LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

雑記:個人的今年のLoLここが良かった:「見える化」

各種「見える化」は来年以降に向けたスタートダッシュだと思うんだよね

最近のHUDアップデート(HPバーやステータス異常の表示方式の変更)が最も見えやすいところだと思うけれど、
それ以上にプレイヤーの判断やスキルがゲームに与える影響が可視化されたことが非常に良かったなと思います。

分かりやすいところではソラリのロケット。以前は周囲の味方のMRを上昇させるという「存在するだけで影響する要素」がなくなり、アクティブにシールドを付与するためのアイテムになりました。
今年追加されたアイテムには、「ただ立っているだけで有効だけど、そのぶん貢献感も少ない」装備がなく、既存アイテムでそういった傾向があったものもリワークされています。
また、防具についてもSeason6の時より「戦局にあったものを選べる」ようになったんじゃないでしょうか(騎士の誓いの他、ナイトエッジ、リデンプション、ガーゴイルストーンプレート、アダプティブヘルムなんかもこの約一年で追加になったものです)。
たとえば「騎士の誓い」もそのあたりを意識しているのかなと個人的には思っています。視聴している側からはまだ分かりづらいですが、少なくとも使用者側としては「今こいつを少しでも活かすのが最善策だ」というのを判断した実感は残るので。
このアイテムの活躍、という点ではSSG Ambition選手がRuler選手を救ったのが一番記憶に新しいですかね。

youtu.be


ルーンの刷新もこれを更に後押しするでしょう。ゲーム前に自分がどういう風に有利を築きたいのかを決め、それが周囲に可視化されるわけですから。

あとは(僕がサポートプレイヤーなのもありますが)試合後のStatsにCC量・ワード設置数・軽減ダメージ量などが表示されるようになったことは
そこそこ大きなモチベーションになりました。自分の判断、行動がどれだけゲームに影響を及ぼしたかが数字でわかるのは、素晴らしい反省材料ですから。

この2点はおそらくサポートとタンクが一番影響を受けたのではないかと思いますが、チームに貢献している・試合に影響を及ぼしているという感覚はとても得やすくなったのではないでしょうか。

また、上手い人のプレイが上手いと分かる(それでもまだ分からんけど)ように改良を重ねている点も良かったです。
これはちょうど1年前のカタリナに関する以下動画の発言が一番端的で分かりやすいと思います。

youtu.be


ただ最近はこの動画で言うところの「深いチャンピオン」が多く「広いチャンピオン」は少なくなっていっていますよね(そうだった者もリワークで減ってる)。
もしかしたら「広いチャンプは各ロール1人いればいいよね」という判断なのかもしれませんが、これはNoobには結構辛い!ボリベア、耐えろ、耐えてくれ!


総じて、リーグ・オブ・レジェンドの2017年は整理・可視化と並行しての戦略性向上を目指した年だったのではないかと僕は思っています。そしてこれは、eSportsイベントやりながら新チャンピオン作りながらバランス調整しながら「なんとなくできちゃった」ことではないでしょう。
何らかの信念があってこの方向に舵を切っているのだと思いますし、僕個人としては大変素晴らしい成果を上げていると思います。


個人的にeSportsを観戦という視点から見た場合(そこが一番デカイ部分だと思っている)、LoL(と他のMOBA)の強みは「深い戦略性」と「アイソメトリック(いわゆるクォータービュー)視点で観戦しやすい」という点の2点だと思っています。弱みは「観戦のための前提知識が多量に求められること」です。他方OverwatchやPUBGなどは、あまり深く知らなくても楽しめる一方で、FPSという特性上「ゲームをどう見せるか」でまだ試行錯誤していると思います。


これを踏まえると、やはり今年の各種「見える化」は非常に大きな一手になるのではないかと。

 

というわけで今回は翻訳記事ではありませんでしたが、来年もいいブツを拾って紹介できたらいいなと思っていますので、どうぞ宜しくお願いします。
2017年、一緒に遊んでくれたサモナー&友達のみんな、ありがとうございました。

LYE


---蛇足と分かっていても書いてしまったので載せておく---
「でも肝心のゲーム内容ではバランスどうなのよ」とかそういう話もあると思います。Noobな僕でも一時期そうだよなーと思いましたし。
ただゲーム開発現場に少しだけ身を置いたことがある身としては、これは避けられないよなあとも思いました。
別にRiotを擁護するわけではないですが、1つの会社がテストできる量は、実際のプレイヤー(LoLなら億とか)がプレイする量とは比較にならないからです。
プロなのでバグについては出来る限りのことはしていると思いますが、最終的にメタがどう動くかを予想し切るのは無理だと思いますし、仮に慎重にテストした結果(おまけに「慎重に」テストすると、パッチ間隔は伸びます)それができた場合、(最近は追っていないのですが少し前の)Overwatchのプロシーンのようにパッチ適用とほぼ同時に「最適解」が出てしまうことになるわけで、それは果たして良いことなのか?という問題も出てきます。要するにプロシーンにおける新パッチ直前の「鉄板ピック」状態が、パッチ期間中ずーっとおなじになってしまうわけで。
それならば、ある程度の「遊び範囲」内で試行錯誤ができるほうが絶対に見ている側としても面白い。練習する側は大変だろうと思いますけれど...。