LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

NA LCS THE DIVE:統率の旗はOPか?など8.4メタ

毎週NA LCS解説陣が集まって(今回Kobeは病欠で、代理でPhreak)最新ニュースについてダベるトークショー、THE DIVEにて、今日のEU LCSから導入されるPatch8.4とメタについての考察がありました。

もし実際にそうなったら面白そうだったので、翻訳してみます。

それではどうぞ。

元動画:

youtu.be

 

Phreak

  • はい、大胆予想します
  • 8.4になったら、ミッドが全員フロストファング(サポートアイテム)積むようになると思う
  • トラッカーズナイフ削除だけじゃなくて、コスパがとても良いことゴールドも稼げる上にサイトストーンも手に入るわけだから
  • 8.6でゴールド増加系アイテムに変更が入るまで、みんな積むんじゃないか

Aezel

  • 実際にワードが置けるようになるまで(サポートでも10分前後)の時間にもよるよね
  • そりゃ後半視界確保できるのは強いけれど
  • ただ今、セラフ・エンブレイスがぶっ壊れた性能だし、他のアイテムもメチャクチャ強いので...
  • 自分がミッドで、フロストの瞳と涙持った状態で相手がセラフ持ったライズやカシオだったらとても戦えない
  • だから、サポートアイテムを積むシーンもあると思うけど毎回じゃないと思う
  • セラフだけじゃなく、ルーデンズエコーもポーク系チャンプでは強いし
  • ただまあ一方で、視界を確保することで「戦わずに済ませる」という選択肢も取れるかもしれないけどね
  • そういう選択肢があることは喜ばしいことだと思うけど、必須にはならないと思う。そして必須にはなってほしくない

Jatt

  • 個人的にはバロンバフの強化がサポートアイテムを積むかどうかの判断に影響すると思う
  • 20分時点でAP40のボーナスが付く。40分ならボーナスは倍になる。20分で倍
  • そして後衛ミニオンがチャンピオンから受けるダメージは半分になる
  • そして一番大きいのは、砲台ミニオンのバグ修正だ。ボーナスダメージがバフ強化された砲台ミニオンに適用されていなかったバグが修正された。つまり、砲台ミニオンは2倍のダメージを与えるようになるということだ
  • 実際テストしてみたんだけど、バロンバフ付きの砲台ミニオンに統率の旗を使うと、攻撃1回でタワーに500ダメージを与える。攻撃間隔は2秒(旗なしだと240ダメージ)
  • おまけに統率の旗の効果で魔法ダメージは受けない。つまり、砲台ミニオン単体で、タワーを16秒で破壊できるということだ
  • うまくやれば、砲台ミニオン2体でシージを仕掛けるよう調整することもできる。もしその時統率の旗が2つあったらタワーはミニオンだけで8秒で落とせる
  • 要するに、バロンを取ったチームが統率の旗を持っていたら、あとはそいつと一緒に歩いていくだけで、相手チームはハードエンゲージをしかけてミニオンのアグロを取るか、敵を倒すしかなくなる。そうしないと負けるから。それってぶっ壊れていると思う
  • ここで僕が提起したいのは、「もしシージがそんなに簡単になるとしたら、ゲームはどうなるだろう?」ってこと
  • 今自分がアナリストなら、20分時点で得られる最大の有利はなんだろう?(=20分でバロンを取るには何ができるだろう?)と考える
  • だって、バロンバフがあり、統率の旗が完成していて、5kゴールドくらいリードがあれば負けないから
  • ケイトリン&ジャンナボット、ケネントップ、ニダリージャングル...とにかく20分時点で5kリードを取るための方策を練る。それで試合に勝てるから
  • もしこれが有効な戦術だとしたら、ミッドはサポートアイテムを積んでる場合じゃないと思う。そのせいでミッドにプレッシャーを引き寄せすぎて、相手にバロンを取られてしまう

Aezeal

  • 自分自身は統率の旗で検証とかしていないけど、もともとあのアイテムは過小評価されているし、もっと活躍していていいアイテムだと思っている
  • 特にブラッドミアトップとかがよくある現状、なんで誰も統率の旗積まないんだ!ブラッドミアはあれ処理するのにメチャクチャ苦労するのに!って思ってた
  • サイドレーンのプレッシャーを作れるし、数値的性能も申し分ない。発動効果の評価については主観が入ると思うけれど、ソラリのロケットと比較してみよう
  • 値段は同じ。ロケットは物理防御30と魔法防御60。統率の旗は物理防御60、魔法防御30、自然回復+125%、クールダウン短縮10%。さらに条件付き移動速度増加
  • 現状ロケット2つ積むような試合があるんだから、1つを統率の旗にするのは容易だ
  • ただ、Jattがさっき言ったようにバロンまでに有利を作るのをウィンコンディションに据えるのがいいのかは疑問が残る
  • たとえば、「適度に重視する」選択肢もあるはず。DPSの高いチャンピオンとタンクを揃えて攻略しやすくするとか。ヌヌとか
  • こないだFakerのストリーム見てたんだけど、Fakerがアジール、JGがヌヌで、20分で2人でバロンを始めて10秒位で終わらせてた
  • そう考えれば、アジールは元々強いし、ヌヌにも一定の評価があった。こういうピックの重要度が上る可能性もあるんじゃないか?
  • ニダリーとかをピックするのはリスクが高い戦略だと思うんだよね。特に練習時間が限られているから
  • それなら、今まで使っていたチャンピオンを使えばいいんじゃないかと
  • それでバロンを取ったら、統率の旗作戦が有効ならそれも組み込めばいいと
  • 懸念しているのは、「バロンまではなんだって諦める。だってバロン取ったら勝つから」みたいな戦略が幅を利かせること。それって見ててつまらない
  • 諦めるというのは、たとえばドラゴンを諦める、ひたすらウェーブクリアに徹する、みたいな話

Jatt

  • この辺まで来るとかなり推測の色が強いけれどね...
  • 高レート帯のソロキュー見てても誰も統率の旗買ってないし。もしかしたらスクリムとかでは使われてるかもしれないけど、もし有効な作戦なら、それを活かして何勝か取りたいから隠すよね
  • あと、現状はまだマッチアップの有利不利が読み切れていない。たとえば一方が集団戦に強い構成にしないと負ける!と考えていたとしても、相手が「自分たちと同じように考えていなければ」、マッチアップ的にきつくなる可能性がある
  • そもそも今主流のチャンピオンはみんなレーン戦強い。アジールだってヴァルスだって。だから結局、ピック的には変化はないかもしれない
  • ただ、なににフォーカスしてプレイするかが変わるだけで
  • いずれにしてもバロンを取ったチームは素早く試合を決められるようになるのは間違いないと思う

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...このへんで力尽きたので以下話者抜きの箇条書き。

ミッドとビルド

  • ヴェル=コズのルーデンズエコーラッシュは、元々凄いバーストだったところにさらにプラスなのでバフ
  • フィズのルーデンズエコーラッシュもちょいちょい見る
  • ライズはバンまたはファーストピックで確定だよね
  • ただミッドの「様子」はあんまり変わらない印象。ただ直行アイテムが変わっただけ
  • スペルバインダーに興味ある。特に移動速度。CD短いミニゴーストみたいなもの
  • 普通はロストチャプター直行して、そこから分岐するだろうね
  • ヴォイドスタッフの代わりにデスキャップを見ることが増えそう。勝敗の決まるタイミングの問題と、アイテムに直接ナーフが入ったこともあるから
  • タンク対策には仮面とか他の選択肢もできたし

ジャングラーとスマイト選択

  • あとはボリベア、プロでどうなるか見たいなあ。新しいEは本当にいろんな使い方があるから、プロがどう使うか見てみたい。もちろんすごく「浅い」チャンピオンではあるけれど、ソレ言ったらスカーナーだってそうだし。すでに、ザックのエンゲージやULTで突っ込んできたレンガ-を弾き返したり、Qで投げ飛ばした相手をさらに奥に飛ばしたり、色々な使い方があるのは確認できてる。ジャックス、カミール、セジュアニ...いろんなチャンピオンに対して効果的
  • あとトラッカーズナイフの削除はここにも影響するよね。ボリベアは青スマイトと相性いいと思うんだけど、緑エンチャという選択肢がある中で青スマを取るのはどうなんだ(相手が緑エンチャ取ったら視界一方的に取られるぞ!)、という話だったのが、相手も取れないから気兼ねなく青スマを取れる。それって、巡り巡ってそういったチャンピオンへのバフなんだよね
  • レク=サイも。今までレクサイだと、青スマ+サイトストーンというビルドを取る人が多かった。でも今後は敵も味方も置けるワードが限られるわけで、そうするとトレマーセンスの価値が相対的に上がる。元々視界確保して見えていたら無意味だったのが、戦場の霧が増えることで価値を高める側面がある

プロにとっての新パッチ

  • LCSチームは新パッチで練習できる期間が1週間もない、先週のインタビューでいろんなプレイヤーに8.4について聞いても、まだ触っていない人が多かった。だって、8.3の試合を控えた状態で8.4をガッツリ遊んでたら、それは逆に無責任だもんね
  • そこで大事になるのが、チームのアナリストとAcademyチームだ。彼らに「試して」もらって情報交換というのは、LCSチームにとってとても重要なことになるんじゃないだろうか。C9なら、GoldenGlueかだれかがJensenに"このパッチではこうしたほうがいい"って言えるシステム。組織としてはそういうのが望ましいと思う
  • これは今度提案してみようかなと思うんだけど、Academyチームのスケジュールで新パッチの導入を早めるってのはどうかなって。そうしたら、視聴者としても見るモチベーションになる("ほぼ" プロが新パッチでどんなことしてくるんだろう)し。さっき言った、組織的協力という意味でもそのほうが良さそうだ。ただ、Academyリーグの競技性は犠牲になるよね。できるだけLCSと同じように(練習時間を確保して)試合に臨むという点が失われる。ただ、仮に「AcademyチームはLCSチームのために最新パッチでプレイしてね」と言われるようになった世界では、それもあんまり関係ないかもしれないけど
  • Phreak:こないだLCS後にいろんなプレイヤーと話した限りだと、アカデミーチームをそういうふうに活用しているチームと、使いあぐねているチームがあるのが分かった。その差は今週見られるかもしれないね

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以上、LYEがすげーざっくりとお送りしました。

 

 

 

The Dive S2 Ep2 つまみ食い翻訳:試合がスローな理由、8.2で輝くルーン

明けまして(暫く経ちますが)おめでとうございます。LYEです。今年もよろしくお願いします。

 

NA LCSのアナリスト陣 Jatt氏 Kobe氏 Azael氏が毎週1時間おしゃべりする公式番組

『The Dive」にてパッチ8.2について語っていたのでつまみ食い翻訳しました。 

youtu.be

ストップウォッチとゲームのスローさ

まず話題にのぼったのがDoublelift選手のツイート。

私家訳

 「個人的にはストップウォッチは使っても使われても面白いと思ってる。なんで大問題みたいに言われてるのか分からない。ADCが毎回5体のチャンピオンの中から1体選んでオーバーヒールとフリートフットワーク取ってレリックシールド+ポーション3個買ってるのに、使うのにスキルが要るルーンが問題視されてるのは🤔」

(注:これが無くなったとして、代わりにステータスが上がるルーン取ってそっちのが楽しいかって言われたらそうでもないよね、という旨の続きもあり)

 

  • 確かにつまらないシーンもあるけれど、基本的にはアウトプレイの大きな要因になっているのでいいんじゃないかと思う。
  • ただもっとアグレッシブな使われ方が見たいとは思う。
  • 個人的にプロシーンで試合がスローになる理由はストップウォッチじゃなく、ADCのレリックシールドやオーバーヒールだと思ってる。あれがあるから、前半を耐えると確信して後半に全てを懸けたハイパーキャリーがピックされるわけで。それにハイパーキャリーをピックするだけじゃなく、次の購入アイテムもBFソードラッシュじゃなくてレリックのアップグレードとかになってるんだよね。ダメージは上がらず体力が上がる。
  • いや、ストップウォッチも展開を遅くしていると思うよ。ミッドでもトップでも遅くなってるわけだから。だから、たとえば7割がレリックのせいだとしたら残り3割はストップウォッチじゃないかな。
  • ただそれが唯一の選択肢になってるのはつまらないというのは確かだ。
  • パッチ8.2でレリックが修正されるから、動きがあると思うけど。
  • [おまけ]こないだJin Air vs SKT戦が史上最長を記録したのは、別にストップウォッチとかのせいじゃなくて、アジールとシヴィアという試合を長引かせる要素(ウェーブクリア、ディスエンゲージ)が揃っていて、双方にそれなりのディスエンゲージ要因があり、なおかつ強力なエンゲージ手段を欠いていたからだと思う。と言ってました。
  • あと、見てる分には面白いけど実況はマジしたくない、昨日倍速で見直してたんだけど、解説のPapaSmithyが怒ってるみたいに聞こえて不謹慎ながら面白かった(苦笑)。と言ってました。

ミッド

  • それより問題なのはミッドの固定化。アジール、ゾーイ、ライズ、マルザハール。新パッチでナーフが来たのはマルザハールだけ。そしてヌヌのバフを考えるとアジールは間違いなくやばい。
  • ヌヌは完全バンでしょう。

レリックシールド変更

  • サポートアイテムのアップデートによりADCの初期アイテムになることはなくなると思う。

対象指定スキルによるミニオンAggro

  • 大きいのは対象指定スキルがミニオンのAggroを獲るようになることだろう。
  • 一部のチャンピオンには多大な影響が出る。カサディン、カシオペアパンテオンなんかを使う人は気が気じゃないんじゃないかな。
  • ハラスに使えなくなるわけだからダメージ交換で勝つのが難しくなる。特に近距離まで行かなくちゃいけないチャンピオンはかなりデカイと思う。
  • 個人的にはそんなに大きくないと思う。
  • ブラディミアが一番話題になっているけれど、でもQの後AA入れない場合ってそんなに多くないような気がする(QでハラスしてAAでCS取る人もいるでしょ、という突っ込みもあった)。
  • パンテオンは影響強いだろうね。Lv1カシオペアも。カサディンも近接だし。
  • ただプロにおいては、「万全を期さなくてはまずい、いつ絶対勝てるか把握しておかなくては」っていうのはデカイ。
  • 個人的に、こういう変更の後に酷く影響を受けたチャンピオンは個別に対応するというアプローチはいいと思うけど、シーズンの初めに入れるにはデカイと思う。
  • ただミニオンのAggroを茂みに入って落とすという基本をみんなが意識するようになるのはいいことだし、本来の挙動だからいいんじゃないかな。
  • みんな過剰反応していると思う。

アフターショックの変更

  • ダメージは随分落ちた。一方でAR MRの上昇がやばい。前は25ずつだったのが70~120。なので低レベル帯での防御力が強すぎる。
  • 序盤のガンクで圧倒的に硬すぎる。ベースの防御力が20とか30の時に固定値で70アップだもん。
  • これによって、序盤でのタワーダイブも現実味が出てくるんじゃないだろうか。特にセジュアニはパッシブもあるし。
  • ダメージは落ちたけどこれは凄まじく強くなると思う。
  • あとガーディアンにも変更が入って低レベルでのクールダウンが上がったから、今ガーディアン取ってる不滅系サポートで信頼性の高いCCがあるチャンピオンはみんなアフターショック行くんじゃないかな。
  • そして固定値になったことで、小規模戦を好むジャングラーも電撃からアフターショックに乗り換えるかもしれない。
  • 固定値ということは、防御アイテムを積まないチャンピオンにとっても有益だということだから。個人的にはヴァルスとかでも試してみたい。ヴァイとか。ただセジュアニだけは、序盤にパッシブ+30%が強かったから他ほど旨味がないかもしれないね。

ヌヌ

  • 絶対バンだよ。
  • 今高ELOだとアジールが滅茶苦茶強いけど、ヌヌのブラッドボイル(魔力とAS上昇)とのシナジーがやばすぎる。
  • このバフは、もうスキルが0.5個追加されたくらい強い。
  • コグ=マウもやばいだろうね。ケイルも。
  • そもそもヌヌはパッチ前でも勝率凄いし。
  • 元々ガーディアンで結構強かったけど、これで更に強くなるかも。

と、こんな感じでした。

個人的にこの番組と、EU LCS終了後のPOST GAME LOBBYは聴き応えバッチリなので、英語苦手じゃない人はぜひ

視聴してみてください!

 

以上今年もTLとUOLを応援する馬チーム好きのLYEがお伝えしました。 

雑記:個人的今年のLoLここが良かった:「見える化」

各種「見える化」は来年以降に向けたスタートダッシュだと思うんだよね

最近のHUDアップデート(HPバーやステータス異常の表示方式の変更)が最も見えやすいところだと思うけれど、
それ以上にプレイヤーの判断やスキルがゲームに与える影響が可視化されたことが非常に良かったなと思います。

分かりやすいところではソラリのロケット。以前は周囲の味方のMRを上昇させるという「存在するだけで影響する要素」がなくなり、アクティブにシールドを付与するためのアイテムになりました。
今年追加されたアイテムには、「ただ立っているだけで有効だけど、そのぶん貢献感も少ない」装備がなく、既存アイテムでそういった傾向があったものもリワークされています。
また、防具についてもSeason6の時より「戦局にあったものを選べる」ようになったんじゃないでしょうか(騎士の誓いの他、ナイトエッジ、リデンプション、ガーゴイルストーンプレート、アダプティブヘルムなんかもこの約一年で追加になったものです)。
たとえば「騎士の誓い」もそのあたりを意識しているのかなと個人的には思っています。視聴している側からはまだ分かりづらいですが、少なくとも使用者側としては「今こいつを少しでも活かすのが最善策だ」というのを判断した実感は残るので。
このアイテムの活躍、という点ではSSG Ambition選手がRuler選手を救ったのが一番記憶に新しいですかね。

youtu.be


ルーンの刷新もこれを更に後押しするでしょう。ゲーム前に自分がどういう風に有利を築きたいのかを決め、それが周囲に可視化されるわけですから。

あとは(僕がサポートプレイヤーなのもありますが)試合後のStatsにCC量・ワード設置数・軽減ダメージ量などが表示されるようになったことは
そこそこ大きなモチベーションになりました。自分の判断、行動がどれだけゲームに影響を及ぼしたかが数字でわかるのは、素晴らしい反省材料ですから。

この2点はおそらくサポートとタンクが一番影響を受けたのではないかと思いますが、チームに貢献している・試合に影響を及ぼしているという感覚はとても得やすくなったのではないでしょうか。

また、上手い人のプレイが上手いと分かる(それでもまだ分からんけど)ように改良を重ねている点も良かったです。
これはちょうど1年前のカタリナに関する以下動画の発言が一番端的で分かりやすいと思います。

youtu.be


ただ最近はこの動画で言うところの「深いチャンピオン」が多く「広いチャンピオン」は少なくなっていっていますよね(そうだった者もリワークで減ってる)。
もしかしたら「広いチャンプは各ロール1人いればいいよね」という判断なのかもしれませんが、これはNoobには結構辛い!ボリベア、耐えろ、耐えてくれ!


総じて、リーグ・オブ・レジェンドの2017年は整理・可視化と並行しての戦略性向上を目指した年だったのではないかと僕は思っています。そしてこれは、eSportsイベントやりながら新チャンピオン作りながらバランス調整しながら「なんとなくできちゃった」ことではないでしょう。
何らかの信念があってこの方向に舵を切っているのだと思いますし、僕個人としては大変素晴らしい成果を上げていると思います。


個人的にeSportsを観戦という視点から見た場合(そこが一番デカイ部分だと思っている)、LoL(と他のMOBA)の強みは「深い戦略性」と「アイソメトリック(いわゆるクォータービュー)視点で観戦しやすい」という点の2点だと思っています。弱みは「観戦のための前提知識が多量に求められること」です。他方OverwatchやPUBGなどは、あまり深く知らなくても楽しめる一方で、FPSという特性上「ゲームをどう見せるか」でまだ試行錯誤していると思います。


これを踏まえると、やはり今年の各種「見える化」は非常に大きな一手になるのではないかと。

 

というわけで今回は翻訳記事ではありませんでしたが、来年もいいブツを拾って紹介できたらいいなと思っていますので、どうぞ宜しくお願いします。
2017年、一緒に遊んでくれたサモナー&友達のみんな、ありがとうございました。

LYE


---蛇足と分かっていても書いてしまったので載せておく---
「でも肝心のゲーム内容ではバランスどうなのよ」とかそういう話もあると思います。Noobな僕でも一時期そうだよなーと思いましたし。
ただゲーム開発現場に少しだけ身を置いたことがある身としては、これは避けられないよなあとも思いました。
別にRiotを擁護するわけではないですが、1つの会社がテストできる量は、実際のプレイヤー(LoLなら億とか)がプレイする量とは比較にならないからです。
プロなのでバグについては出来る限りのことはしていると思いますが、最終的にメタがどう動くかを予想し切るのは無理だと思いますし、仮に慎重にテストした結果(おまけに「慎重に」テストすると、パッチ間隔は伸びます)それができた場合、(最近は追っていないのですが少し前の)Overwatchのプロシーンのようにパッチ適用とほぼ同時に「最適解」が出てしまうことになるわけで、それは果たして良いことなのか?という問題も出てきます。要するにプロシーンにおける新パッチ直前の「鉄板ピック」状態が、パッチ期間中ずーっとおなじになってしまうわけで。
それならば、ある程度の「遊び範囲」内で試行錯誤ができるほうが絶対に見ている側としても面白い。練習する側は大変だろうと思いますけれど...。

用語解説:プロシーンにおける「シリーズ」の意味(おまけ:「End it!」)

先日久しぶりにブログを投稿して、ちょっとキーボードを叩く意欲が上がってきたので小さな用語解説記事を上げてみます。

これまでの用語解説記事はこちら:

シリーズ

今日最初に取り上げるのは下のTweetで質問した「シリーズ」。

ちょっと疑問に思ったんですけどLoLプロシーン見てて「シリーズ」って言われてすぐ何かわかりますか?

— LYE (療養中) (@lye_) 2017年11月20日

この回答で、だいたい1/3くらいの人がわからないと回答されていたので今日はこいつを。 

こいつに対応する英語は「Series」です。「日本シリーズ」とかの「シリーズ」なんですけど、これの厳密な意味って意外とあんまり解説されていないですよね。


辞書サイトWeblioで検索すると、研究社 新英和中辞典で該当する意味は以下のように記載されています。

(野球などの)連続試合,シリーズ(戦).

 これでも、LoLのプロシーンで使われる意味での「シリーズ」が何かはまだ少しわかりにくい。僕らが一番なじみのある「LoLの大会やリーグ」という文脈で使われる意味をもっと説明的に訳すと、「複数回勝負した結果で最終的勝敗が決まる場合の試合のまとまり」です。おお、そうすると「日本シリーズ」もわかりやすい。

ということは...Bo1は「シリーズ」じゃないけど、Bo3やBo5は「シリーズ」です。

じゃあシリーズ中の各試合はどう呼ばれているのか?「シリーズ」における各試合は「Game」や「Match」と呼ばれます。日本語では「ゲーム 1」、「第 試合」とか言われることが多いですね。これを踏まえて英語解説がよく言うセリフ(の日本語訳)を見てみると、ああなるほどという気持ちになれる!

  • SKT相手に2ゲーム取ったチームはいくつもありますが、シリーズを勝ちきるとなると話は別ですよ!
  • Game 1で大敗しましたが、うまく修正・対応できないとそのままシリーズも落としますよ!
  • シリーズ通してコンスタントに活躍した○○選手がシリーズMVPを獲得しました!

こんな感じっす。

ちなみに次はおまけで、ずっと気になってたけど取り上げてなかった「End It!」を。

End it!

英語でも日本語でも、解説で時折耳にするこのフレーズ。

この場合の「It」はご想像の通り、「試合」です。そして「End」は命令形で、そのまま「終わらせろ、決めろ」です。

これを合体させると、意味としては「試合を終わらせろ!」となります。

解説がこれを叫ぶときというのは、(ヘタに余裕ぶっこいたり、ネクサス割る手を緩めたり、キル獲りにいったりしてるとここで試合決めきれないかもしれない状況だぞ、だからたのむ!いいからはやく!)「試合を終わらせろ!」という嘆願にも似た叫びです。

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また、MicCheck(試合中の選手のボイスチャットを紹介するLoLesports公式のいちコーナー)でも、同じ意味合いでチームメイトに向かって「End it!」を連呼している状況というのは時折見かけられます。

なので、明らかに完勝のときや、既に相手をエース済みでデスタイマーも余裕がある時などには、懇願する必要が無いので使われません。次回、接戦で解説がこう叫んでいたら、ああ解説めっちゃ盛り上がってるな!と思って見てあげると良いんじゃないかと思います。

 

BlitzEsports:CLG Darshan「NAのBo3→Bo1変更はそんなに悪くない」

最近独自コンテンツの質が高いことで個人的に注目しているBlitz Espotsチャンネルから、久々に翻訳記事書いてみます。だいたい全部拾って翻訳しましたが、細かいところはぜひ動画でチェックしてみてください。

CC(クローズドキャプション、いわゆる字幕)設定で英語を選ぶとテキストで読めるので、リーディングはいけるけどリスニングが苦手、という方なら余裕で理解できると思います。

 

個人的には「ゲーミングハウスは最適解ではない、次はオフィスを構えるべき」というのに時代の流れを感じました。

全体的にRiotに多少配慮した発言であるものの、かなり率直に話されているのではないかと思います。「Bo1でも全然変わらない」ではなく、「Bo1もそんなに悪くない」という表現なのがそれを端的に現しているかなと思います。

では以下、どうぞ。

 

youtu.be

NA LCSがBo3からBo1に変更になる点について議論が白熱しているようなので、今日は自分の立場から「そんなに悪い話ではない」という意見を話してみます。

 

Q:ステージでの経験と練習について

主要な話題は「この変更のせいで他の地域に差をつけられてしまうのではないか」だと思いますけど、結局ファンとチームが本当に上を目指していきたいと思うなら一番影響が大きいのは「練習」です。

 

実際、ステージでプレイするのは毎週3~4試合です。一方その裏ではスクリムで30~40試合をプレイしていて、実際にチームが上達するのはこの時です 。TSMがずっと強豪であり続けているのも、ここがとても上手いからだと思っています 。TSMとはスクリムでもステージでも対戦してますけど、彼らは 北アメリカのどのチームよりも練習から多くを学んでいるし、そもそも練習の水準が高いと感じています。それも、その状態を長く続けてきている。だからこそ、ステージ上での試合数よりも練習のほうが重要だと思っています。

 

もちろんLCSのステージ上でも上達しますけど、個人的にはLCSステージは「テストの場所」であって「勉強する場所」ではないと思ってます。

だからBo3からBo1になって強いチームが変わることはないでしょう。結局はどういう練習をしているか?どういうスケジュールで動いているか?毎日どこまで己の限界に挑めるか?そしてチームとしての戦力を高めていけるか?がすべてですから。それが競技におけるチームの強さです。

 

LCKは、だからこそ歴史的に見ても常に北アメリカよりも強いんだと思います。練習体制やコーチングのインフラ、その他全てが北アメリカより高い水準にあるので。韓国がBoi3だから強いみたいなシンプルな話じゃないと思ってます。

北アメリカもチームの練習体制は毎年向上し続けていると思うので、この点でもあまり心配しすぎる必要はないのかなと思います。特に来年からフランチャイズ化もありますし。

 

各チームどんどんレベルアップしていくと思いますよ。CLGもThe Madison Square Garden Companyによる支援が入り、注入されるリソースは圧倒的に増えます(訳者注:今年7月末に同社はCLGの議決権を持つだけの株式を取得した)。だから自分は練習体制の未来も、北アメリカの未来も楽観的に見ています。Bo1になるからといってこの世の終わりというわけじゃない、と。

たぶん来年が終わって振り返れば、Bo1になったけど成績は良くなったね、という結果になるんじゃないかと。

Q:練習体制を向上させるには?

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スクリムについては、北アメリカのチームが改善すべき問題がたくさんあります。 まず、LCKの多くのチームは「オフィス」を持っているんですが、今後は北アメリカのチームもその流れに乗っていくことになると思ってます。要するに、仕事と遊びを分けるということで す。細かいことに見えるかもしれませんが、この差はかなり大きい。

ゲーミングハウスで朝起きて スクリムルームに行くのと、朝起きて身支度をして車でスタジオに向かうっていうのは精神状態を切り替える上で大きな違いになるわけです 。別の環境に身を置き、より真剣に向き合うということ。そのぐらい真剣に向き合う姿勢が非常に重要だと思ってます。

 

それからアカデミーチームが実力向上してきたことも大きな要因になると思っています。チーム内での競争が促進されるだけでなく、僕らにとっては実力のあるスクリム相手ができるということですから。組織体制が安定するほどアカデミーチームの実力も上がってくるはずなので、強いスクリム相手というだけでなく、僕らの誰かが不信続きになれば入れ替えも可能になるわけです。

(訳者注:この点についてはこちらの記事でDeficio氏とYamatoCannon氏が記事中盤でも取り上げており、リンクしている箇所も多いので興味のある方はご覧ください)

Deficio (中略)でもそういうひたむきな姿勢というのは、プロに求められるものじゃないですか? LCKのプレイヤーは、いつだってScrimから余すことなく学んでいる。他のどの地域よりもね。

個人的に、従来のスポーツ、たとえばフットボールとかと比較してなんでeSportsプロはそういうことができないんだろう?って疑問に思うんですが。

YamatoCannon たとえばEcho Foxは姉妹チームを持ってて、そのチーム間でScrimしてたりします。それだと、特定の目的に絞ったトレーニングができる。全く他人のチームとでは、相手のこともありそうはできませんからね。だからこれは僕の夢ですけれど…五年後くらいには10人以上が固定でScrimできたりするといいなと。そうすれば、特定の目的に絞ったトレーニングが行えて有益だと思うんです。ただのScrimだと同じことの繰り返しになりがちですからね。

Deficio 従来のスポーツとの大きな違いのひとつは、「スタメン争い」の有無でしょうね。NFLでもフットボールでも、若い頃から技術を磨いてきて、プロに入ってからも第一戦で戦い続けられるよう努力し続ける。そうしないと、自分の代わりが後ろにわんさかいるわけですから。でもLoLでは…特に現在のEUでは、控えを抱えているチームはとても少ない。だから現実的には、選手には練習で全力を尽くし続けさせるプレッシャーがかかってないんです。だって今YamatoCannonが「お前クビにして、ソロキューから代わり見つけてくるよ?」と言うことはまずないですよね。そして仮に言ったとしても、実際に降板させられるまでには時間がかかる。だから10人ロースターってのはいいですね。「お前真面目にやらないんだったら、次回から3試合こいつミッドのスタメンにするから」って言ってスタメン争いが生じるようになれば、誰もがもっと真剣に練習に取り組むようになる。それがもしかしたら必要なのかも。「スタメン落ち」というプレッシャーが。

今話した2点は来年、数多ある練習体制の問題における2大要因になると思っています。

 

個人的には今後、LCSが真剣さを増していくのが楽しみです。 自分がデビューしたシーズン3の頃も試合はBo1でしたが、当時自分はまだ17歳だったし、チームも組織構造と呼べそうなものは何一つなかった。真剣に取り組む環境というものがなかったんですよ。

Q:「奇策」で勝ててしまう可能性について

僕はデビュー以来全てのスプリットでプレイしてきて bo 1でも bo 3でも戦ってきました。で、昨今よく聞く懸念として「奇策やLv1のプレイで試合が決まってしまって、どこが強いチームかわからなくなるのでは」というものがあります。僕個人の見解としてはLv1というのは試合でも非常に大きな要因なのに、Bo3のときですら誰も突ききってない(Abuseされ尽くしていない)ポイントだったと思ってます。

この間のSplitにおけるCLGの試合を見直してもらっても、Lv1攻勢で大きな有利を築いた試合はありました。そしてその威力はBo3シリーズでも、シリーズを勝ち切るだけの力があるものです。

結局、みんなが今までそこを「徹底的に突ききっていない」というだけで、Bo3からBo1になるからといって変わるものじゃないです。だから影響力は変わらないと思ってます。

Q:Worldsへの準備という視点からBo3を見た場合

Bo1シーズンとBo3シーズンの両方でWorldsに出場した身としては、正直そんなに差はなかったと感じています。シーズン5と6でWorldsに行った時を比較しても、Bo3シーズンのほうが「準備が整っていた」と感じた点はありませんでした。チームの実力に影響したのは韓国での合宿や練習のほうでしたね。だから自分自身の経験からすると、シーズンの試合数は国際大会での成績に大きな影響を及ぼさないと思ってます。

 

Q:率直に短所を挙げると?

Bo1では、Bo3のような「勢いや流れ」、つまりモメンタムがないです。Game 1を落としてもチームのメンタルを強く維持し、ここから盛り返すぞという気持ちの流れを体験することができない。それはBo1では得られない経験。

Bo1になったらプレイオフまで経験する機会がなく、チームによってはプレイオフに出場できない。その点は今後注視する必要があるし、純粋にBo1になることで失われるものだと思います。

それもBo1に移行する副作用ですよね。僕はもう長いことプレイしているベテランなので、精神状態の管理方法も心得ていますが、経験の浅いプレイヤーにとっては顕著に影響が出てくるところなので、彼らがしっかり精神状態を管理できるようにしていきたいし、たとえチーム全体でもそうしたいですね。

Bo5で0-1、0-2になった時、「まだ勝てるよ」と思える精神状態を作っていくのは大変です。Bo3はそんなにきつくない。0-1までしかいかないので、次の試合取り返せばいいだけですから。でもBo5は全然違う。0-2から盛り返していくぞ!という気持ちを築くのは、個人としてもチームとしても相当にしんどいことです。この点はBo1では間違いなく欠ける点ですね。

 

正直、RiotがBo1にしていく最大の理由はマーケティング、視聴数ですよね。その点は落ち込んでいるわけで。コレに対してBo1は大変有効な対策になる。ただ僕がこの動画で言いたかったのは、「Bo1って言うほど悪くないよ」ってことです。パニック起こす必要はないと思ってます。

 

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以上、Season 7は駆け込みで振り分け線を終えてSilver IIIでシーズン終了したプレイ下手くそなLYEの翻訳でお送りしました。

なお最近はShotcallingさんが超読み応えのある最新情報を定期的に上げておられるので、まだチェックされていない方はぜひご覧ください。僕は完全に落穂拾いに回ることにしましたよ...Shotcallingさんすげえ熱量だぜ...。

Deficio氏とYamatoCannon氏が語るEUのスクリム文化と将来 (あとタンクメタ)

 

僕はEU LCSの試合後にアナリストとゲストがダベるコーナーが好きなのですが、今回は僕の好きなDeficio氏とYamatoCannon氏(Vitalityコーチ、元Splyceコーチ)が面白いこと話してたので紹介します。

(動画ではこのあたりから)

てかEUでもこんな風なのか…やっぱマネー is パワーなんだなあ…

では、どうぞ。

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Q:そういえばDeficio、EUのScrim文化にちょっと言いたいことがあるとか?

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Deficio 昨日アナリストデスクにAlphariとMaxloreが来たとき言ってたんですが、2017年にもなって、Scrim始まって10分でff入ったりすると。最後までプレイするのが稀だと。時にはScrimがドタキャンされることもある。YamatoCannon、コーチ的には言いたいこともあるんじゃないですか?

というのもここまでシーンが成熟しているのだから、毎日6時間は集中してプレイするというのは選手に求められて然るべきでしょう。なぜ未だにこんな問題が起きているのか。

YamatoCannon どうなんでしょう。僕のところでは一定の基準を設けて、それに沿って動くようにしています。たとえば自軍エリスとレネクトンがタワーダイブでダブルキル食らって、取り返すためにもう一度突っ込んで再びダブルキル食らったら、事実上勝敗は決まりですよね。そういうときは、こちらからff入れるのではなく、相手に「もう投了でいいですか?それとも最後までやりますか?」と聞くとか。そういうフローをしっかり作ってますね。

Scrimのキャンセルについては相手次第というのが本当のところでしょう。「Scrimヒエラルキー」みたいなのがあるわけです。強いチームほど相手を選べますからね。僕にしても、AティアのScrim相手は下位チームよりも重視します。そのほうが成果が高いのだから仕方ない。たとえばですけどG2が10分遅刻してごめんねーと言われたら、大丈夫ですよーというしかない(笑)。そういうものですよね。

なるほど。Scrim相手に困ったりということはあるんですか? 相手としてレベルが低すぎるとか…もちろん名前を挙げる必要はないですが、そうですね…欠かすことなくScrimを続けられる「強い」対戦相手が、EUに足りているんですか?

YamatoCannon そりゃあ好みというのもありますが、僕らは4位のチームだし、贅沢は言えません。あるもので最善を尽くす。そしてキャンセルの理由も、仕方ない場合だってある。選手が階段から落ちて踵を骨折したとかね。自分のチームでも実際にそういう事態はありましたから、それは仕方ない。そして…やっちゃいけないことだと思うのですが、嘘をつく人たちもいるんですよね。「ごめん、うちの選手がコケて足折ったからキャンセルで」って言われたのに、その怪我した選手がそこらへんをアイスキャンデー食べながら歩いてたりとか(苦笑)。

Deficio 回復速いですねえ。で、EUのScrim文化は十分なレベルだと思いますか? 地域として成長していく上で。それとも、この文化が成長を阻害していると?

YamatoCannon それは自分が何を目指しているかによるんですよ。たとえば僕は、一部のコーチとはオープンに「このScrimでやりたいこと」を話します。今回ウチはこういうことを狙ってやるけれど、いいかな?と。それで先方が困る、ということであればそれを聞く。僕らが当事者中の当事者なんですから、文句を言っていても何も良くならない。結局、自分たちは自分たちのScrimに対して影響力を持っているんだから、そこからやっていかないと。

Deficio 僕がこの件に強くこだわるのは…Season 3の頃、僕やYamatoが現役でプレイしていた頃から、Scrimについてはおんなじ問題があったからなんですよ。遅刻、キャンセル、早期ff、すぐティルトする。あの頃、もっとプロフェッショナルな環境があればなって思ったからなんですよ。当時はコーチすらいなかったです(よくわからん人がひとりいただけ)。だから今ならできると思うんですよ。たとえば、Vitalityなら「今4位だけど、ここから何ができるだろう? 次のScrimで何を試すべきだろう?」って真剣に話すべきだと思うんですよ。別にVitalityに苦言を呈しているわけじゃくて単なる例だけど。

そりゃあずっとモチベーションを保つのは大変ですよ。でもそういうひたむきな姿勢というのは、プロに求められるものじゃないですか? LCKのプレイヤーは、いつだってScrimから余すことなく学んでいる。他のどの地域よりもね。

個人的に、従来のスポーツ、たとえばフットボールとかと比較してなんでeSportsプロはそういうことができないんだろう?って疑問に思うんですが。

YamatoCannon たとえばEcho Foxは姉妹チームを持ってて、そのチーム間でScrimしてたりします。それだと、特定の目的に絞ったトレーニングができる。全く他人のチームとでは、相手のこともありそうはできませんからね。だからこれは僕の夢ですけれど…五年後くらいには10人以上が固定でScrimできたりするといいなと。そうすれば、特定の目的に絞ったトレーニングが行えて有益だと思うんです。ただのScrimだと同じことの繰り返しになりがちですからね。

Deficio 従来のスポーツとの大きな違いのひとつは、「スタメン争い」の有無でしょうね。NFLでもフットボールでも、若い頃から技術を磨いてきて、プロに入ってからも第一戦で戦い続けられるよう努力し続ける。そうしないと、自分の代わりが後ろにわんさかいるわけですから。でもLoLでは…特に現在のEUでは、控えを抱えているチームはとても少ない。だから現実的には、選手には練習で全力を尽くし続けさせるプレッシャーがかかってないんです。だって今YamatoCannonが「お前クビにして、ソロキューから代わり見つけてくるよ?」と言うことはまずないですよね。そして仮に言ったとしても、実際に降板させられるまでには時間がかかる。だから10人ロースターってのはいいですね。「お前真面目にやらないんだったら、次回から3試合こいつミッドのスタメンにするから」って言ってスタメン争いが生じるようになれば、誰もがもっと真剣に練習に取り組むようになる。それがもしかしたら必要なのかも。「スタメン落ち」というプレッシャーが。

YamatoCannon 恐怖というのは動機付けとしてとても強いものです。そして自分の後ろに何人も控えていると感じるのは、自分が与えられたチャンスをしっかり噛みしめる意味でもいいことかもしれません。SKTと同じです。あのチームでは、具体的に何かは想像しかできませんが何かしらの要因でスタメンが入れ替わるわけです。以後3週間、君は補欠だ、現時点では彼のほうが上だからね、と。

Deficio そうそう。だから控えとしてソロキューからプレイヤーを引っ張ってきて揃えておくとかね。あとSKTはトレーニングラインアップがいるでしょう。Huniが「発見」されたのもそこでした。Huniはあそこで、すべての練習に全力で取り組んで実力を示そうとした。いつかSKTがそれを認めてスタメン起用することを願ってね。残念ながらそうはならず、代わりにFnaticが引き抜いたわけだけど。だから、変な言い方になるけど、本気で取り組んで、全力で勝ちと上達を目指し続ければ、それが結実する可能性は高くなり、スタメンに近づくんですよ。だから個人的にはEUはもっとプロ志望人口が増えるべきなんだと思います。NAは今着手してますよね。控えを増やしたり。あれは長期的にはとても有益な結果をもたらすかもしれない。

ではEUの次のステップは何になるんでしょう? チーム構造? 資金?

Deficio 資金でしょうね。そしてロースター増員。

じゃあYamatoCannon、今もしお金が無尽蔵にあったら、ソロキュー・CSからあの5人を引っ張ってくるって人はいますか? そしたら10人で有意義なScrimができる?

YamatoCannon 人の目星はつきます。でも人を入れるのは簡単じゃない。性格の点もあるし、ソロキューだけだと競技シーンでは未経験だったりするし。でもここからヨーロッパを強くしていくのなら、より確固たる強さを目指していくのなら、「競争」は必然でしょう。北米に目を向ければ、大学でいろんな動きがありますよね。大学間での試合を通じて露出が増えて、そこから拾われる選手が出てきたり。確かP1のZigはそうやって出てきたはず。だから競争が必要です。従来のスポーツと同じです。フットボールでもユースリーグとか大学リーグから選手を引っ張ることがありますよね。

Deficio 国別のリーグはLCS登用に耐えうるレベルになってると思いますか?

YamatoCannon もちろん。Giantsなんかはスペインリーグで活躍した選手が何人もいますよね。繰り返しになりますが、競争がしっかり起こっていけば、優れた原石が発掘される確度も高くなっていきます。

Deficio もちろん資金も大事ですけどね。一部のチームは10人と契約することが経営的に無理だったりしますからね。ゲーミングハウスも大きくしなくちゃいけないし人も足りない。でも、もし資金があればスタッフも増やせるし、10人で競争のなかきっちりScrimできるとしたら、やっぱりみんなやると思うんですよ。だからチームの向上につながるとわかっていても、先立つものがないとね。

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以上でっす。

どんどん「プロスポーツ」として成熟していく一方で、資金とのバランスという問題も出てくる。お金はシーンの盛り上がりがないと湧いてこないが、盛り上がるには実力がいる。鶏が先か卵が先かってのが一見華やかに見えるEUでもまだまだ根深いというのが驚きでした。

あと、面白かったのでオマケ。UOLはプレイオフ、そしてその先を見据えてドラフトしているのだ(震え声)

おまけ:タンクメタとEUのチーム構成について

Deficio まだ各チームカウンターピックを見つけてないので難しところもあるけれど、Early game comp (序盤に強いスノーボール型構成)、たとえばエリスとかレネクトンは「対面に来たチョ=ガスを腐らせる」ことができればいい対策だと思う。ただ問題は、この構成だと中盤~終盤をほぼ完ぺきにこなして、タンクに仕事をさせないで勝ち切らなければいけないところ。なんと言っても、タンク相手に終盤の集団戦で勝たなくてはいけないんですからね。

今言えるのは、ほとんどの西洋チーム(ここではEUとNA)はExecution(作戦遂行)精度が足りないだろうということ。だからこそ、皆集団戦特化型に収束して、「どちらが集団戦強いか」の勝負に持ち込んでいる。そのほうがリスクを抑えられますからね。

YamatoCannon それからタンクがパワースパイクを迎えるのはだいたいバロンが出現する時間帯なんですよね。出現より早い場合もありますが、だいたい20~25分時点で一番強い。ADCがアイテム3つ揃えてタンクを溶かし始める前の時間帯。4つ目にラストウィスパー積まれる前。だからこそ、最初のバロンを先に取ったチームが勝つ確率が高いわけで。

今日の試合でもコグ=マウがピックされてましたが(FNC vs UOL 第3試合、UOLがピックして敗北)、あれもいい策だと思います。遠くから火力を出せる。でも味方がレネクトン、タロン、セジュアニじゃ誰も守ってくれないですよね。

Deficio あれは実にLPLって感じでしたね。3人がスノーボール狙い、コグ=マウはひたすらファーム。でもまさにそういうことなんですよ。Executionが非常に難しい。UOLは特に、序盤が苦手なチームですからね。

今後はタンク対策ということでトランドルサポートが戻ってくる可能性もあります。氷柱がビジョンを取れなくなったのはサポートとしては痛いNerfでしたが、それでもULTは強いですから。それからケイン。タンク変身してブラッククリーバー積んで、といけばULTの性能もあってタンク相手に有利にいけると思います。ただいずれにしてもやはりExecutionが難しい。しかも、それをScrimじゃなくステージ上でやらなくちゃいけないんですからね。

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 以上最近UOLストアでTシャツとステッカーを買ったLYEがお届けしました。

送料1000円位なのでおすすめだよ!

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Rekklesのケネンはどうして強いのか?Deficio氏の分析

昨日ちょっとおもしろい動画が上がってたので久しぶりにざっくり翻訳してみました。なるほどなー。

では以下、どうぞ。お楽しみいただければ幸いです。 

 

ケネンピックした試合では何度となく勝利をもぎ取るRekkles。
今週の「Post Game Lobby」コーナーでは、その強さをチャンピオン自体と彼というプレイヤーの両面から見てみたい。

ケネンの長所と短所

長所

  • 1v1の強さ:バーストダメージとCC
  • 王剣との相性が完ぺき
  • 機動力が高くピールも自分でできる

短所

  • 後半戦においては信頼できるダメージ源になれない
  • リードしていないと1v1性能が発揮できない
  • ミニオン処理スキルがない 

※この場合の「ミニオン処理=Wave Clear」は、タワー防衛時に後方からまとめて処理する能力。ケイトリン、ヴァルス、シヴィアなどは非常に高い

「Rekklesの」ケネンが強い理由

3つの要素がある。

1:ドラフト

FnaticはRekklesがケネンの強みを最大限に活かせるようスプリットプッシュ「できる」ドラフトをする。

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  • トップ:ガリオやシェンなど、サイドレーンにいるRekklesをすぐ支援できるスキルを持つチャンピオン
  • ジャングル:集団戦では強みがないものの、ピック性能が高いエリス、カ=ジックス、リー・シンなど
  • ミッド:まずはミニオン処理能力の高さ。TP持ちルブラン、コーキ、オレリオン・ソル
  • サポート:CCとローム性能の高さ。スレッシュやカミールなど。Rekklesがピックを狙いに行く時に支援できる。また、サポートのマップ予測も素晴らしい。必要な時にそこにいる。

これらすべてがRekkles x ケネンを支えている。「後半の集団戦で勝たなくては試合を決められない」という条件を無効にする戦略。

2:スプリットプッシュ

EU LCSのプロ選手に話を聞いたところ、誰もが認めたのが「サイドレーンでRekklesと1v1はやりたくない」ということ。
ミニオンウェーブの操作が巧みで、マップの理解も強い。いつ押すか、いつ引くかがとにかく上手。
それに加えてトップSoazとのシナジーもある。

もちろんスプリットプッシュだけで全試合を勝つことはできないので、最後の要素が重要になる。

3:集団戦スキル

過去には腰が引けていると評されたこともあったものの、今は違う。
また多くのケネンADCプレイヤーがフラッシュULTで突っ込んでダメージも出せずにデッドするのに対し、Rekklesはひたすら距離を取ってハリケーンを当て続け、ここぞというタイミングが来たらULTで飛び込んでいく。


以上が、Rekklesのケネンが強い理由だと考える。

通常ケネンの強い時間帯はバーストとCCが一番活きる中盤にスプリットプッシュしている時。それを支えるドラフトがあり、ミニオンウェーブの操作力とマップ認識力の高さがあり、そして正しいタイミングで飛び込む集団戦のスキルがある。だからこそ強い。

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※「Rekklesのチャンピオンプール」としてTwitterに投稿されたネタ画像

他地域のリーグでも「真似して」ADCとしてピックされることもあるが、「元祖」は彼といって差し支えないだろう。

そして「EUで唯一ADCケネンをプレイすることが許された男」であるのもそのためなのだ。

※Deficio氏はよく実況席でこれを口にして全員に突っ込まれるため、あえて最後にぶっこんできた模様。下の顔で断言。

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以上、翻訳LYEでお送りしました。