LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

2016 NA LCS Spring Split: IMT vs REN Week 3 Day 1 解説翻訳

 

今日は NA LCS Spring Split Week 3 Day 1 より、無敗で首位独走中の Immortals 対  Renegades の試合で英語解説を聞き取りつつ、何が言われていたのかをつまみ食い翻訳してみます。

自分が Support メインなので Soraka がピックされたのが気になったのと、IMT が Poke 編成に対して Hard Engage なしにどう戦うのかすごく興味があったのでこの試合をピックしました。

Pick & Ban

f:id:LYE:20160131224117p:plain

Soraka! Soraka!

 

IMT の Graves ピック

Poppy も優れた Top ピックだと思いますが、Graves も非常に優れた Top チャンピオンです。ミニオン処理能力が非常に高く、相手に押し付けられますからね。そこから圧倒的なプレッシャーをかけられる。対する REN の JGL は、レーンを押した Graves をどれだけ上手に捕まえるかが大事になります。

REN の Alistar ピック

REN Support の REMI 選手は Thresh の上手さで名を轟かせたプレイヤーなのに、今回はあえて Alistar を選びましたね。前回の勝利時に活躍したためでしょうか。

IMT の Soraka ピック

Adrian 選手の Soraka は昨年のチャンピオンシップ 3 位決定戦で出て手がつけられませんでした。通常 Soraka がプロシーンで見られないのは、プロシーンでは Roam & Lane Swap が大事で、Soraka はそれに向かないからです。レベル 2 の Alistar は レベル 2 Soraka の百万倍有用ですからね。ただこの構成であれば、相手の Poke をしのぐ上で非常に有用だと思います。いいピックじゃないでしょうか。

最終チーム編成

f:id:LYE:20160131223206p:plain

試合中

REN は Poke 3 枚 Tank 2 枚の構成ですね。ただこの構成、北米だと基本的に負け続けなんですよね。完璧な Execusion (作戦実行)が求められ、失敗すると全コケしてしまうから。

一方の IMT の構成ですが、Soraka のおかげで Sustain はあっても、Hard Engage 手段がないんですよね。これは結構大胆な構成です。ただマークスマン 2 枚と Victor という構成はミニオン処理能力が非常に高いので、もしかしたら全レーンでミニオンをタワーに押し付けてプレッシャーを掛け、相手の Poke 編成を撹乱するのが狙いかもしれません。

開始直後

(REN の SUP Alistar が相手ジャングルを荒らしに行かなかったことについて)

IMT のサポートは Soraka なので敵ジャングルを荒らしに行くのは難しいわけですが、他方の Alistar が荒らしに行かなかったのは不思議です。対 Soraka における Alistar の前半有利はチームとしての有利に結び付けられるところだと思うのですが。REN はこれを逃し、IMT が Soraka をピックした「デメリット」を放置した感じになりました。


20分経過、IMT 4k ゴールドリード

IMT は相手チャンピオンを捕まえることにそれほど気にかけていないみたいですね。 Soraka も Talisman of Ascension ではなく Eye of the Oasis を選択をしましたし。敵チャンピオンを追い詰めるのではなくタレットを破壊することに集中している感じ。でも IMT に Hard Engage 手段がないのはやっぱり危ないですよね。Graves と Victor のミニオン処理能力がトップクラスでさらに Soraka のヒールがあるとはいえ、REN の Poke が Soraka に刺さる可能性はあるし。

両チームの構成的に、このまま終盤戦に入ってもどちらかが Outscale(戦闘能力の伸びしろで圧倒)するということはなさそうです。

REN は構成上、他のレーンの状況を事前にお膳立てしなければ Siege できないので、そう持っていけるかどうか...(と言っていたら小競り合いから一気に IMT が押し切って勝利)

試合後

しかし IMT ADC の WildTurtle 選手にキル、ゴールドが集まった試合になりましたが、ダメージグラフを見てみると WildTurtle 選手以外の選手もしっかりダメージ出してるんですね。Soraka 以外のメンバーも少なくとも WildTurtle 選手の半分以上のダメージは出している。


(前半を振り返って)複雑な Roam & Lane Swap の結果、IMT JGL ReignOver 選手の Poppy はマッチアップ相手の(ジャングルクリアの早い)Nidaleeよりも先に Lv 6 に到達していたんですよね。そしてそのレベル差優位がある時に相手がインベードしてきてくれて、結果としてキルを上げることができた。アレは非常に運が良かったですね。

試合後インタビュー WildTurtle 選手

Q解説席でも話題になっていましたが、チーム編成上は Hard Engage がなかったわけですが、どうやって勝つプランだったんですか?
WT:OP なチャンピオンを取れたんで。Corki Mid に対してミニオン処理能力の高い Victor を当てられたし、あとは Objective を取っていこうと。

試合後解説デスク

まず Pick & Ban の段階で、Poke 編成の REN はなぜ Janna を Ban したのかが疑問ですね。Janna はもちろん Adrian 選手の得意チャンピオンなわけですが、Poke 編成だったら Janna の Disengage(交戦拒否能力)は無関係ですし、むしろ取らせたら REN 有利だった。あそこで代わりに Graves か Poppy を Ban していたら、Poppy/Graves の JGL/TOP ロール心理戦を仕掛けられることもなかったわけです。結果的に IMT は TOP に Graves を持ってきて対面有利を取りました。

次に最初の Lane Swap 後の IMT の動きについて。ちょうど直前の CLG vs FOX でもありましたが、一方のチームがミニオンを大量に残して Tier 1 タワーを破壊した場合、そのまま Tier 2 タワーまで進行することは多々起こります。しかし今回の試合では、IMT はうまく対応していました。Tier 2 タレットを攻撃し始めた時点で、ADC と SUP は即座にバックしたんですね。おかげで BOT Lane で経験値を丸々損せずに済んだ。
しかしそれに対しては REN もうまく対応していました。なので Lane Swap 合戦は引き分けといった感じだったと思います。ゲームが動いた瞬間があったとすれば、その直後、IMT の Red Buff 周辺での戦闘でしょう。あの瞬間両チームともビジョンは取れていましたが、 ReignOver 選手は他のメンバーが合流するのを待って思いっきりエンゲージし、REN SUP の REMI 選手を何もさせずにキルし、その後も追いかけてキルを重ねました。しかし Poppy があの時点で Nidalee よりも先にレベル 6 になっていたのはすごかった。

 

(試合開始14分、IMT による TOP レーンでのアグレッシブすぎるプレイについて)
今スプリットで IMT が一番気をつけているのが、「慢心」だという話がありますが、このシーンはまさにそれでしたね。ああいうプレイが頻発するようだと、そこから試合をひっくり返されることが今後出てくる可能性がある。

ただあれ、いつものことなんですよね。僕は IMT TOP の Huni 選手のストリームをよく見てるんですが、Huni 選手と ReignOver 選手が Dynamic Queue でゲームしてる時、ReignOver 選手の発言の 9 割は「落ち着け! 落ち着け!!」ですからね。もちろんプロの試合後だからはっちゃけてるのはあるとは思いますけど。

 

 

※なお REN は 2 試合続けてスタメン ADC の Freeze 選手が欠場していましたが、日曜日の Day 2 からついに復帰予定とのこと。Freeze 選手を含めた 5 人で練習を重ねてきたチームなので今後に注目しましょう。

 

 

以上、北米サーバー LYEn00b / twitter: @lye_がお送りしました。