LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

Game Developers Conference 2016でLCSトップの講演などを聞いてきました

米国サンフランシスコにて毎年開催される世界最大規模のゲーム開発者向けカンファレンス、Game Developers Conferenceにお仕事で行ってきました(役得!)。

いくつかeSports関連の講演にも出させていただき、そのうちのひとつがファミ通.comさんで記事になっているので紹介します!

 

www.famitsu.com

講演の中身については上記記事を見ていただくとして、ここでは全体的に印象に残ったことをつらつら書いてみたいと思います。

「物語=Story」が重要

eSports関連のセッションはLeague Of Legends以外にもいくつかありましたが、多くのセッションで皆が口をそろえて言っていたのが「物語」をどのように提供するか、ということ。

従来のスポーツでも、ライバル関係にある選手の対戦などファンが感情的な結びつきを持てる情報があり、そこにさらにハイレベルなプレイがあって皆が熱狂するスポーツになるという意味の内容が、各講演者の口から少しずつ違う表現で語られていたのが非常に印象的でした。

従来のスポーツとの違い

これについては、選手が自分たちに近い感じがする、という意味合いの話をしていた人が複数。会いにいけるアイドル的なことなんだろうか。以下、いろんなセッションの記録メモから引用

従来のスポーツファンには怒られてしまいそうだけど、eSportsの選手のほうが人間臭い感じがあるよね。プレスの対応トレーニングを受けていないのも手伝って、身近な存在として感じられる。

eSports選手って10代とか20代前半で、人生のすべてを賭けてゲームに打ち込んでて、そこには人間的な物語がある。それが魅力だと思うんだ。

たとえばDoubleLift選手がCounter Logic Gamingに所属していた時、ひどい負け方をしたことがあったんだけど、その直後にTwitter上でフォローをほぼ全員解除して、チームメイトだけをフォローし直したことがあった。インタビューではそういうことには触れられなかったけど、彼のその時の心情が、その行動からでも伝わってくるじゃない。

 続いて、ファン同士の交流のかたちが違うという話も。

Twitchのコメント欄とか、Twitterとか、受け身で見るだけでなく「自身も参加する観戦」というのが従来のスポーツよりも当たり前に行われているように感じる、とのこと。

これからeSports関連の仕事につきたい人へのアドバイス

複数の講演の質疑応答で、これから業界に入りたい人へのアドバイスを、という話が上がっていました。以下、箇条書きで今プロとして活動している人からのアドバイスを。

  • 誰かの真似をしないで。自分の得意な、自分だけの「ニッチ」を見つけて。

  • コンテンツクリエイターとしては、「現実を伝える」仕事なわけだけど、一方で「フィクションの物語作法」を理解しておくことも大事。逆説的だけど。受け手が飲み込みやすい物語を構成できるようになるわけだから。

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    SNSなどのコメントを真摯に受け入れる一方で、ネガティブな意見に振り回されないようにして、とにかく手を動かすことが大事。

  • 出来る限り、eSportsの活動に参加し、自分が情熱を燃やしている対象に時間を費やすこと。大会運営、ストリーミング、解説、いろんな仕事があるけれど、eSportsはこれからも広がっていくから、また新たな職種も生まれてくる。だから、自分の情熱が結実するよう、できるかぎり色んな活動に頭を突っ込んでいくべき。

 

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とまあこんな感じで盛りだくさんの内容でした。

今の形はまだ進化の過程というのは全員の共通認識だったので、これからもより良いものになり、情熱を持った人がごはんを食べていける業界になったらいいなーと思いましたまる。