LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

用語解説:チーム構成 (Team Composition) 用語集

昨日の記事が思ったより好評だったので、調子に乗ってちいさな記事を投下します。

 

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LCS を見ているとよく出てくる単語に Team Composition (あるいは略して Team Comp、さらに略して Comp とも) というのがあります。これはチーム構成という意味です。

 

通常は、"○○ Team Comp" のように、そのチームの主眼点を示す表現が前につくのですが、これがなかなかに多彩で、また全部把握した上で Pick & Ban を見てると楽しさ倍増なので、紹介したいと思います。

なおこれを書いてる LYEn00b は名前の通りの noob であり、単なる英語がちょっとできる人なので、間違いがあったらコメント欄などで指摘いただければ幸いです。

Disengage 交戦拒否 自軍に不利な戦闘を仕掛けられた時に、それを回避することができるチーム。Poke、Kiting と相性が良い。
例: Janna (Ult)
Hard Engage 交戦強制 範囲スタンなど強力なCCを持つチーム。いわゆる「捕まえて戦闘を始める」力のこと。
例: Annie (Ult と Passive による範囲 Stun)、Malphite (Ult)、Sivir (Ult)
Counter Engage 応戦 敵がしかけてきた後に、有利に応戦できるチーム。主戦場となっているエリア全体に CC をかけられるスキルがこれにあたる。
例: Nami (Ult) 、Zyra (Ult)
Kiting 引き撃ち 後退しながらの迎撃、凧のカイトと同じ単語。引き続けて戦闘に勝利するのではなく、相手がスキルを使いきった/体力が削れてきたところで反撃に転じる。Disengage と相性が良い。
例: Kalista、Ahri、Singed、他、遠距離攻撃でBlinkを持つチャンピオンや Disengage できるチャンピオン
Poke 遠距離 削り 相手が攻撃できない距離から強烈な攻撃を浴びせるチャンピオンが複数人いる/Pokeできるチャンピオンを支援するチーム。そのまま交戦するもよし、相手を引かせ てObjective を確保するもよし。
例: Varus、Xerath、Jayce、Nidalee など当たると痛いロングレンジ持ち。
Teamfight Oriented 集団戦特化 3~4人以上規模での戦闘に強いチーム。単一対象へのバーストではなく、AoE や範囲 CC が豊富な場合が多い。
例: アサシンでないキャラクターはおおむね Teamfight Oriented な属性であることが多い。Top Rumble、Mid Orianna など

Objective Oriented / 

Siege

オブジェクティブ特化 / 

タワー攻略特化

タレット破壊や中立モンスターの確保に強いチーム。
例: Nunu (中立モンスター)、Tristana (タワー。余談: NA LCS 2015 Summer Split Week 3 Day 2 で Team Liquid かピックした際、解説席では「うーん 今Tris Pickする理由ないよね」と言われていたが、最終的に見事なSiegeを見せて快勝した)
Late-Game Oriented 後半戦特化 後半戦に戦力が高くなる (前半~中盤はあまり強くない) チーム。
例: Jinx (火力が出た状態でのロケットと Passive の組み合わせ)、Nasus (Q のスタック)
Mid-Game Oriented 中盤戦特化 中盤に戦力が高くなる (後半になると失速する) チーム。
例: Corki (Trinity Force 直後は非常に強いが、以後は優位性が下がっていく)

 

たとえば Mid-Game Oriented Comp ならば、中盤に強引に集団戦を起こして有利を作ってそのまま試合を持っていかないと、後半失速する。そのため、自チームは積極的に交戦しようとするが、相手チームも「中盤が相手の戦力的ピークだ」と把握しているため、その時間を避けて後半になるまで、具体的にはカギとなるチャンピオンが仕上がるまで (たとえば3個目のアイテムが完成するまで) Farm や Objective Control に専念し、相手の有利を生かさせないなどの対策を取る。

Pick & Ban フェーズでは、互いに相手がどういう構成にしていくかを予測しながら自分の狙い通りのチームを構成するべくピックしていく。このため、たとえ Tier 1 チャンピオンが取れる状態でも、そのチャンピオンが構成にハマらない場合は取らないこともある。ので、見てて超おもしろい!

 

とまあ、適当にメモ書きしていたものをまとめました。参考になれば幸いです。以上、NA サーバー LYEn00b がお送りしました。

 

参考:

 

 

2015 EU LCS Summer Split: UOL vs OG Week 6 Day 1 解説翻訳

あんまりおもしろい試合だったので、英語解説を日本語化して他の人にも楽しんでもらいたいとブログを開設する次第。

今季あまり調子がよくない Unicorns of Love (ぼくの応援してるチーム) が10 戦 2 敗の Origen と対戦。

Origen は「ここのところメタから外れた実験的チーム編成が多いのに、それでもきちんと勝つ」と評された。今回はそれほどでもないけど。対する Unicorns of Love は物理ダメージと魔法ダメージ混在型 Mid/ADC による Poke (遠距離から削れる) 編成。

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以下、試合開始前の解説者コメント訳:

Ban フェーズ

Defiecio:  (UOL による Kalista Banについて) 現在 Sivir と並んで ADC のTier 1 チャンピオンを、わざわざBlueサイドであるUOLが (望めばPickもできるのに) どうして Ban したのか?

さいきん UOL が不調な原因の一旦に、UOL の ADC があまりキャリーするタイプの選手ではないことがある。OG の ADC に Kalista を取らせないための Ban だと思う。

Krepo: UOL が最後に Gragas を Ban したので、Tier 1 Jungle は Rek Sai だけになった。これに対し OG は ADC の Tier 1 チャンピオン Sivir を Ban したので、両チームとも Tier 1 ADC は取れない。各ロールそれなりの数の Tier 1 チャンピオンが残っているが、双方どうピックしていくか。

Support の Tier 1 Alistar も取れるが、Janna も残っているので、Alistar が Q で打ち上げてチャンスを作っても Janna の ULT で帳消しにされる可能性がある。

また、それ以外に残っているチャンピオンは遠距離から削れる (Poke Heavy) キャラクターが多いので、それを中心のチーム構成になる可能性が高いだろう。

UOL の Braum ピックについて

Krepo: Braum は EU LCS で今季初ピックだと思うが、良いと思う。Braum は Ranged Support チャンピオンに対して弱いところがあるが、対 Alistar にはいいピック。

 OG の Vayne & Ekko ピックについて

Defiecio: OG は、相手に Corki を取られたので、Poke 編成を早々にやめて完全に別の編成に切り替えてきた。

Krepo: Vayne と Ekko という構成は、小規模戦 (Skirmishes) にフォーカスを絞ったピックだ。さらに Alistar もいるからなおさらに小規模戦に強い。

Defiecio: 1-3-1 でスプリットプッシュもあるだろう。ただ懸念点は、Wave Clear (ミニオン処理能力) が弱い点。ただこれは前半有利を取られなければ問題にならないだろうけれど。

UOL の Ryze & Varus ピックについて

Krepo: TOP にキャリーできる Ryze、MID に Poke 力の高い Varus、Bot に Magic ダメージも混ざる Corki を持ってきたのは良い構成だと思う。通常この構成なら Ryze よりも Rumble のほうが好みだが、OG が小規模戦に特化してきているから、たしかに Ryze のほうが良いだろう。個人的見解だけれど、 UOL の構成は好きだね。

Defiecio: Corki と Varus はともに中盤がとても強いチャンピオンなので、もし Snowball できれば試合を大きく持っていけるだろう。もし Snowball できれば、だけれど。

 

試合動画

試合終了後解説席

Defiecio: 振り返ってみると、結局 Origen は 1-3-1 でスプリットプッシュすることができなかったね。Ekko は 2 個めのアイテムに Lich Bane を積んでいたにもかかわらず。おそらく OG もそういう展開を狙っていたと思う。

ただこの試合では、ドラゴンを確保することに注力し、Mid に集まることが多かった。それが結果的に UOL の Ryze を育たせることにつながり、そしてほんの小さなミスからBaron を取られ、UOL はそれ以降、勝負の有利を実に見事に広げていった。個人的には、 OG は中盤以降、後手に回っていたと思う。

Krepo: たしかに、受動的 (Reactive)な対処が多く、自分から展開を作る (Proactive) 行動ができなかったね。

試合終了後インタビュー

インタビュアー: Braum 大活躍でしたが...?

Hylissang (UOL Support):  そもそも Braum をピックした理由は相手に Jayce がいたから。Q の Poke が来ても盾で防げる。それに相手の Support が Alistar だったから、Q 当てて、ULT 打って有利を作れるというのもあった。

 

感想

免責事項: これ書いてる本人は Unranked のヘタクソ Support メインです。

解説者も勝利後に「相当作戦を練ってきたに違いない」と言っていましたが、終始我慢強いプレイをしていたと感じました。最初の Baron 後の「有利を活かす」進め方が特に惚れましたね...。Origen も何度か試合をひっくり返せそうなチャンスを作っており (Alistar の Initiate から全員が集中砲火する、どっちに転んでもおかしくない場面が何度もあった!)、大変見応えのある試合でした。GG!

英語解説は大変聞いていて面白いのだけれど、やはり言語の壁があるため多くの人にとっては楽しむ機会が得難いと思います。たまにこういう感じで翻訳して、遊んでる人たちの役に立てれば幸い。

以上、NA サーバー LYEn00b がお送りしました!