DoubleLift氏、2017 NA LCSパワーランキングをつけるの巻
あけましておめでとうございます。TLファンボーイLYEです。
もうすぐNA LCS開幕だなー、はやく10バンドラフト見たいなーと思っていたら休養中のDoubleLift氏がNA LCSパワーランキングをつけてて、面白かったし観戦の助けにもなりそうだったので紹介します。
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僕のところにパワーランキングつけてよとリクエストがよく来るので今日はいっちょやってみようかと思います。
まずランキングの前に現状を。
最近、北米シーンはベンチャーキャピタリストとかも入ってきてチームにすごい資金が流れ込んでるから、LooperやSsumdayみたいな凄まじい選手が北米に来ることになったよね。そういうロスター変更に加えて、メタも大きく変わってる。ボットレーンジグスとか。
ではランキングに入る前に評価基準をはっきりさせときます。
1:Roster:選手のラインアップ
- 観戦してると分かりにくいけど、各個人が下す小さな決断が勝敗に大きく影響するんで、ロスターは大事。それがバタフライエフェクトになって、流れが変わることもある。ワードを刺す位置とタイミングで、その後のチーム全体の判断が変わるとかね。
- ひとつのチームとして動けるかどうか、という点。
では、ランキングいきます。
10位 Flyquest
- NA LCS最悪のチーム名であることは間違いない。
- 選手はBalls、Moon、Hai、Altec、LemonNation。
- Moonは去年LCSでパッとしなかった。それ以外はみんな知ってるビッグネーム。
- じゃあなんで10位? 個人的にチャレンジャーチームにある種の偏見があるから。
- 鳴り物入りでLCSに上がってきてズタボロだったチームは多い。Renegedes、Team Coast。
- チャレンジャーチームで一番成功しているのはAPEX。それでも、去年8勝10敗で7位だったチームが一番。
- しかも今シーズンは他のチームがメンバーを強化しているから、やっぱりFlyquestは厳しいと思う。
- チャレンジャー時代とほぼ人変わってないし、ContractzがMoonになったのは弱体化だしね、たぶん。
9位 EchoFox
- 興味深いチームだよね。というのも、去年、降格がかかったTLAとの試合で2-2になって、例のPigletによるラムスミスピックがあって勝ちを拾ったチームこそがEchoFoxだから。
- 正直あの試合でPigletがちゃんとしたサポートをピックしてたら、彼がキャリーして勝ててたと思う。そうなったら、今LCSにいるのはEchoFoxじゃなくTLAだったわけで。
- そこまで接戦だった、ということを考えるとどうしても、順位は低くならざるをえないよね。
- じゃあなんでFlyquestより上かというと、まあ名前がひどくないというのは置いておくとしてロスターが強化されてるから。
- まずLooperがいる。彼とはやったことあるけど、世界チャンピオン経験者だけあってかなりの腕前だ。経験も豊富。
- KFOと比較したら凄まじい大幅強化だと思う。KFOはスプリットプッシュしかしてなかったし。
- それからジャングルのAkaadianも強化だ。そりゃ前任がHardだから誰が入っても強化だけど(笑)。
- Akaadianはチャレンジャーシーンから来たプレイヤーで過去には一時期レンガー専だった時期もある。おそらく最初は緊張するだろうけど、技術的には優れたプレイヤーであるのは間違いない。ソロキューで当たったことあるし。
- FroggenもKeithも悪くない。悪くない。
8位 Envy
- なんか凄いことになってる。ボットレーン2人が英語話者で、ソロレーンとジャングルが韓国語話者。
- 選手ラインアップとしては凄いかもしれないけど、連携力は望めないだろう。ソロレーンが大キャリーする試合はあるかもしれないけど、ソロレーンとジャングルが韓国語で話しててボットレーンが英語で話してたら連携は無理。
- Seraphの英語はかなり上手だけど、それでもたぶんボットレーンの2人は孤立するんじゃないかな。
- さっきも言ったけど、他のチームが凄い強化をしてきてるから。
7位 Phenix 1
- 選手ラインアップ的には凄まじい。でもチームとしてどうか?と言われたら酷いもんだと思う。
- メンバーは Zig、Inori、Ryu、Arrow、Adrian。
- Zig はまあ安定、凄くいいわけではないけれど、全然悪くない。Inori もかなりうまい。
- そしてRyu(元H2K)とArrow(元KT)。ふたりとも元々の地域であれだけの活躍をしてきたわけだから、当然すごいスキルを持ってる。
- ただ問題はArrowとAdrianのコンビだ。別にAdrianが悪いわけじゃない、そりゃ去年プレイオフでは失速したけど、別に彼の技能に問題があるわけじゃない。
- 問題はArrowの英語はおそらくそれほど上手くないだろうから、ボットレーンコンビが意思疎通できないということだ。
- ボットレーンで連携が取れないと相当しんどい。Ryuが英語流暢で通訳できる可能性もゼロじゃないけど、ミッド選手を挟んでボットがやりとりするのは難しい。
- さらにZigもInoriもまず間違いなく韓国語しゃべれないだろうから、チームとして機能するのに絶対問題が生じる。
- さっきも言ったけど選手ラインアップ的には素晴らしい。ただチームとして機能しないと思うからこの順位。
6位 Immortals
- 選手ラインアップ、話題性はあるよね。Flame(大物だ)、Dardoch(性格とかで話題だ)、Pobelter(誰もが認める安定のミッドレーナーだ)。
- そしてボットレーンのCody SunとOlleh。
- Cody Sunについて説明すると、チャレンジャーシーンから来た選手で、Biofrostと同じチームにいた。
- 大事なのは、LCSに来たばかりのADCは時にサポートに引っ張ってもらいながら成長しなくちゃいけない。
- どのADCも成長しようともがいてる。そしてサポートとの連携が強ければ、成長速度は上がる。こちらの行為に思いがけない反応を返してくれて、それが成長に結びつくこともある。
- 2人が別々に成長していくんじゃないんだ。自分のときも、相方がBiofrostであれAphromooであれ、共に学ぶということがすごく大事だった。そうすることで、強豪相手よりも速く成長できるわけだから。
- Ollehについてはそれほどよく知らない。韓国出身だけど、英語は結構上手だった。ただ異なる地域、異なる文化圏から来たことは間違いないわけで。それがマズいわけではないけれど、果たしてコンビとしてうまく機能するかと言われると難しい点もあると思う。
- そもそもトップ側でHuniとReignOverの代わりになるプレイヤーなんかいないだろうから厳しい戦いになるのは仕方ない。Dardochはまあ大丈夫だろうけど、別に凄くいいわけでもない。
- 総合すると、トップ側は弱体化、ボット側は不安が残る、ミッドはド安定。だから6位。残りのチームが相当に強化されてるから、この順位は公平な評価だと思う。
5位 Team Liquid
- 選手ラインナップ的には、正直言って普通。
- Lourlo:フーン
- ReignOver:ヤベエ
- Goldenglue:フーン
- Piglet:ヤベエ
- Matt:結構いい
- TLには「4位の呪い」と、もう一つ「すげえ選手揃いなのにチームとして機能しない呪い」がある。
- 「Breaking point」を見た人もいるかもしれない(訳注:僕も軽く記事書きましたが左のAutomaton記事のほうが遥かに素晴らしいのでそちらをどうぞ)けど、ずっと選手・コーチの間でいざこざが絶えてなかった様子。
- 去年より良くなったといっても、イコール今年は凄く連携が良い、という意味にはならないからね。
- ReignOverとPigletは間違いなくトップクラスの選手だけど、他の3人がどこまで成長できるかは未知数。
- Goldenglueはちょっと精神的に弱いところがある気がするし。
- そもそも去年戦った時もあまり強い印象なかったからなあ。TLがトップ3に食い込んできたら、驚くと思う。
- 5位にした理由は、ReignOverとPigletだけですでに5位はいけると思うから。あとはチームの連携力にかかってる。
4位 Dignitas
- とんでもなく話題になったよね。多くの人がトップ2~3位に入ると評価してる。僕もかなりいいチームだとは思う。
- ちなみに、新生DignitasはAPEXが買収されて名前変わって復活したチームだよ。
- Ssumday Chaserは文句なしのスターだ。世界最高峰のトップレーナーと、LCK有数の名ジャングラー。このトップサイドコンビは、新たなHuni+ReignOverになるかも。
- LODとXspecialは過小評価されてると思う。前シーズン、XspecialはApolloと組んでた。彼は態度に問題があるとか言われることもあるけど、経験は豊富だし堅実ないい選手だ。でもXspecialはアグレッシブでプレイをガンガン作っていくタイプのサポートなんだよね。
- その相手がApolloというのは相性最悪だった。だから今回LODと組んだら、かなり大きな影響力を発揮できる可能性はあると思う。
- Keaneは…メタチャンピオンを使えないのが好くない。正直、チームの弱点になると思う。メタのチャンピオンに対して、「自分がカウンターだと思うチャンピオン」を当てるのが彼のやり方だけど、メタのチャンピオン自体は自分で使わない。
- 正直言ってKeaneとは一緒にプレイしたくない。メタのチャンピオンというのは一番有効なチャンピオンだから、まずはそれを高いレベルで使いこなすべき。その後、チームがOKを出したら「俺的カウンター」を出すべきだと思う。ずっとそればかりってのはダメだ。
- 「かっこよさげ」で個性的なピックが好きじゃないんだよね。汎用性が乏しく、信頼性も低い。大抵の場合、結果も伴わないし。
- ボットコンビは間違いなくトップ5には入るし、トップ&ジャングルコンビも相当強いから、総合的に見て彼らを4位とした。
- このチームの場合は、ボットは放っといても負けずにちゃんとやれる自立力がある。そこに神がかったトップとジャングルのコンビがいる。この場合、ボットコンビはそれほど韓国コンビとコミュニケーションを密に取らなくても大丈夫だと思う。ただ韓国勢のリードに合わせていく感じでいけばいい。
- それでも他の人が言うみたいに、首位独走のスーパーチームにはならないと思うけれど。
3位 Counter Logic Gaming
- これは議論を呼びそうな順位付けかな。好きな人も嫌いな人も多いチームだからね。
- でも忘れちゃいけないのは、このラインアップはもう3スプリットも変更なくプレイし続けてきてるってこと。
- 変更がなかったチームは唯一彼らだけだ。
- 3位という上位に評価したのは、彼らがチームとして全方位的に隙がないから。そしてコーチのTony(過小評価されてると思う、とのこと)にはちゃんとチームをまとめ上げる力がある。
- StixxayとAphromooはいいボットレーンコンビだと思う。Huhiはパフォーマンスがパッとしない、弱点みたいな扱いをされることもあるけど、実のところDarshanもちょいちょい酷いプレイをしてる。Xmithieは堅実に良いプレイをしてるけど。
- だから彼らが躍進できるかどうかは、HuhiとDarshanがしっかり活躍できるかどうかにかかってると思う。繰り返しになるけど、チームとしてのまとまりは素晴らしいから。
- チームとしてあるべき姿を体現してる。アグレッシブにもなれるし、不利な状態からでも盛り返せる。いいチームだよ。
2位 Cloud9
- いろいろな理由があるけど、2位はC9。正直上位3チームは混戦になると思う。
- だから勝つ確率が高そうなチーム順に並べてる。前回も2位だったし、あの時点で北米で2番めに強いチームだったことは間違いない。
- TSMは3-1で勝ったけど、いいチームだったと思う。Impactはモンスターだしね。All-Starで一緒にプレイしたけど、ほんとに凄いプレイヤーだ。
- All-Starに出たメンバーなら賛同してくれると思うけど、選手として、コミュニケーションも態度も素晴らしかった。
- そしてモンスターと呼べるトップレーナーがいるっていうのは、今のメタでは凄く大きな要素だ。
- どうやらS7はトップ、ジャングル、ミッドが重要になりそうだから。しかもFlame Looper Ssumdayが北米に来てるわけだしね。
- トップがド安定してるというのはC9の躍進を絶対的に支える要素になる。
- 他のメンバーも、Jensenは安定した選手だし、SneakyとSmoothieも結構いい。Meteosの代わりにContractzというのはまだクエスチョンマークだけどね。
- 総合的に見れば、C9は前シーズンとほぼ同じチームと言っていい。これまでずっとまとまったチームとして機能してきたし、後衛のJensenとSneakyも安定感ある。だから、2位。
1位 Team Solo Mid
- 驚きの第1位はTSM(笑)。所属チームだし、なんだそりゃって思う人もいるだろうけど。
- 客観的に見てTSMは相当いいチームだと思うから。トップ、ジャングル、ミッドは相変わらずの安定具合でS7の対応はバッチリだと思う。
- 元々序盤に有利を作れる3人だったけど、北米はこれまでもずっと序盤に有利を作ったチームがそのまま勝ち切る試合が多い地域だから。
- Bjergsenは間違いなく北米トップのミッドレーナーだし、たぶん欧米トップと言ってもいいかな。今シーズンも対面圧倒すると思う。
- Svenskerenは過去数スプリットで成長を続けてるし、それは今年も止まらないと思う。あと、韓国ジャングラーに強いという特性があるんだよね。ReignOverにも強かったり。
- それからマイ・ボーイHauntzer。時には下手も打つけど、そういうときはめっちゃキャンプされたりしてる。でもそれでも、きちんとレーンは守って、1v1では負けないでいる。北米トップレーンで1v1やらせたら上位だと思う。韓国勢が来た今でも。
- そしてボットレーン。WildTurtleとBiofrostの2人は、それぞれ高いレベルでプレイできることを実証済み。あとはTSMという優れた環境で、コンビとして成長するだけ。問題は無いと思う。チームメイトもコーチも素晴らしいから。
- ってこれじゃ自分のところを褒めちぎってるばっかりみたいだけど、もちろん楽園ってわけじゃない。ただ北米の水準で言えば、かなり優れた環境・文化を持っているのは事実だ。
- 自分が対戦するとしたら突いていくのはボットレーンだろうけれど、現状、ボットレーンを潰して試合を作るのは簡単じゃない。ボットは今あまり試合への影響力が強いレーンじゃないからね。
- 万が一ボットにキャンプされても、HauntzerとBjergsenが他のレーンで勝ったら意味ないし。
以上、DoubleLiftのNA LCSパワーランキングでした。ご視聴どうも。
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とまあこんな感じの内容でした。
文字にすると彼の冷静な雰囲気が出にくいですけど、僕が見る限りとても冷静に物事を見ていて、いわゆる「煽り」はゼロでした。単に理由を添えて意見を述べているだけ。
正直、プロのストリーム見てても話している内容が人間的になんか合わねえなって思って見続けられない人が結構いるんだけど、DoubleLift氏はいつでも悲観的にならず、勝つには、自分の仕事を十全にこなすにはどうしたらいいかを考えるタイプで見ていて楽しいです。Summer Split、うまく復帰できることを期待したい。
元相方AphromooがThescore Esportsのインタビューの流れで「DLはストリーマーやってたほうがいいんじゃなーい?」とか言ったと報道されてアレな感じになってますが、まああれも文脈ありきで「プロってしんどいからね、ストリーマーのほうが稼げるし、それでよきゃそりゃそっちのが楽でいいよ」みたいなノリだったので誤解なきよう。
さて、NA LCSどうなりますかねー。個人的にはTeam Liquidがきちんといいポジションでプレイオフまで進み、ちゃんと勝ち残ってMSIとか出て欲しいなーって思いますけど、やっぱり上位4チームには勝てないかなあ…。