LYE の League of Legends メモ

League of Legends プロリーグ LCS の解説を翻訳したり、同作や MOBA ジャンルで使われる英語を説明したりする予定。

メモ: LCS視聴間に合わない人にtheScore eSportsのYoutubeチャンネルおすすめ

最近更新ができていないのですが、翻訳したいものは溜まっていってます…そして寝かせると賞味期限が切れて残念なことに。そのままスルーするのも悲しいので、ここで小ネタだけでも差し込んでおきたいと思います。

 

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EU LCSでSplyceのMid Sencux選手が、先週のUoLとの試合でTaliahがBanされたことについて触れ、LCSにおいてどのような強みを見せられるかという問いに答えました。

まず「まだプレイしていないから詳細は言えないけど、他のチームは自分たちがTaliahをプレイすることを知っている (からこそのBanだった)よね」と述べ、Competitive Scene外でもSolo Queueでかなりの勝率を誇っていることや、UltによるTwisted Fate的なマッププレッシャーとAniviaのような壁の利用方法があることをサラリと述べてました。もしかしたら今週の試合でPickされるかもしれないので、注目したいです! 

PBEでは既にTaliahに少しNerfが入っているみたいなので、有効期間は短いかもしれませんが。

 

 

そんで今日の投稿で紹介したいのは、最近ここでよく取り上げているtheScore eSports。このサイト、EU/NA LCSの各試合 (ゲーム単位でなく、2/3試合通して) の要所だけをまとめた動画を毎週公開しているのです。

Summer Splitから欧州はBest of 2、北米はBest of 3になり、全試合チェックするのは非現実的になった人も多いのではないかと思うのですが、これならば贔屓/注目のチーム以外の試合もある程度流れを追いつつ時短確認できるので、大変便利です。Pick & Ban順も一瞬ですが見えます!

www.youtube.com

結果だけ見るのは味気ないけど、試合を見るのも時間が足りないなあ…なんて人にはうってつけではないかと。凄そうな試合はその後で公式チャンネルで通して見る、なんて使い方もできます。このまとめ動画は、だいたい試合終了後3~5時間でアップされている印象です。

EU LCSのこれまでの結果は、Automatonさんで詳細な記事が上がってますのでそちらを要チェックです。

以上、日本サーバー LYE がお送りしました! ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。

 

NA LCS Team Liquid Dardoch選手インタビュー翻訳

今日はTeam Liquidファンボーイとして連敗脱出した同チームから、ジャングラーのDardoch選手インタビューを翻訳してみようと思います。先日からジャングラー特集みたいになってますが特にそういう意図はありません。ソースは先日と同じくtheScore esports。

調子の悪いチームの内情とか聞ける機会もあんまないし、Dardoch 選手は先日チーム内で謹慎処分を受けたりしてたので、こういった話を聞けるのはおもしろいですね。

彼はなんというか強気で真面目で裏表ない感じの人柄なので、これからも頑張ってほしいなと思います。

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動画はこちら

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Scarra: 2ゲーム連取でEcho Foxに勝利したばかりだけど、率直に今の気持ちは?

Dardoch: 正直、まあまあという感じかな。勝てたのは良かったけど内容がひどかったから腹が立っているというのも本当。

Scarra:どうして内容がひどくなったんだろう? ゲーム1ではRengarをピックして、チームもそれに合わせて構成した感じだったけど、どうして綺麗に試合を決められなかった?

Dardoch: ゲーム1については、こちらにZilianとRengarがいるとはいえ、究極的には相手がこちらに突っ込んでくるのを待たなくちゃいけなかった。こちらからUltで突っ込んでもピンクワード置かれて退却されるってのが4、5回、いやもっとあったかもしれない。で、そこからコミュニケーションが途絶してしまって、チームが何度も孤立したところを相手に捕まって…ただ結局はチーム編成で勝ってて、知力勝負でも勝ったから試合を決められた、って感じだったと思う。

※Dardoch選手はLCS前まで自認する「Rengar専ジャングラー」で、「自分はRengarが得意で、そこをベースに他チャンピオンの使い方を覚えたプレイヤー」と言っています。

Scarra: ゲーム1についてだけど、ジャングルのBanはRek'Sai一体だけだったけど、Echo Fox側はEliseで来るっていうのは読んでいたのかな? (Echo FoxのEliseピックはTLのRengarピックの後だった)

Dardoch: Eliseは確かに予期しているピックだったよ。Hard選手のチャンピオンプール(得意とする"手持ち"チャンピオン)的に、Rek'SaiをBanすればあとはKha'zixとGragas、Eliseだったし、この状況ではKha'zixはあり得ないからどちらかだろう、ならRengarで行けるという判断だった。

Scarra: Matt選手は遠距離攻撃のサポートチャンピオンを得意としているけれど、Bard以外の遠距離サポートだとイニシエートできないよね。それに加えてTopレーンのメタはタンクからダメージ出せるチャンピオンに移行している。そうなるとイニシエートの責任が君に大きくかかることになる。今回の試合でもかなりイニシエート役やってたよね。Rengarでしくじったところもあったけど、それでもかなりの回数仕掛けてた。そういった責任が自分にかかってくることについてプレッシャーになったりはしたのかな?

Dardoch: いや、プレッシャーは問題ないよ。Spring SplitでもGragasやLee Sinみたいなチャンピオンをたくさんプレイしていたし、そういうチャンピオンでFlashからのイニシエートはこれまで数えきれないくらい仕掛けてきてるから。正直言えば、イニシエート役のほうが好きなくらい。ただRengar以外でね (チラっとScarra氏の目を見る)。

Scarra: なるほどね (笑) さて話題は変わるけど、最近君はチームから謹慎受けてたよね。そして代わりにMoon選手が入って数週間プレイしてた。このあたり、どういう経緯で謹慎になったのか、そして結果的にMoon選手じゃなく君がスタメンに戻ってきたのかについて話を聞けるかな?

Dardoch: 謹慎の理由は自分の態度に問題があったから。チーム内で衝突を繰り返してて。主に自分とLocodocoコーチ、Piglet選手の間で「How League of Legends is supposed to be played (LoLはどのようにしてプレイされるべきか)」の考え方が違ったことが原因で。3者ともに異なる考え方を持っているところに、自分が若くて未熟だから語調を荒げたかんじの口論になってしまった。ほんとうに、結論めいたものも出てこない、単純な怒鳴り合いみたいになってしまって。正直、自分は時間を置いて落ち着く必要があったと思う。そういうわけでTeam Liquid Academyに移籍して数週間プレイしたんだ。今はずっといい状態になっているけどね。

Scarra: なるほどね。さて繰り返しになってしまって悪いんだけど、Moon選手はどうだったのかな? 本番でのパフォーマンスだけでなくて、君の不在中に彼がチームにもたらしたものとか、価値とかそういう点では。

Dardoch: 色んな人がMoon選手のことを明確な理由もなくこき下ろすけど… よくある言い方になるけど「模擬戦では」彼の技術はとても素晴らしかったよ。自分と同じか、それ以上だったと思う。でも本番では失敗が多かったね。大きな違いがあるとしたら、自分のほうが彼よりもずっとコミュニケーション能力が高いということかな。

Scarra: なるほど。さて、Team Liquidは他のチームと違って、Spring Splitからスタメンが変わってない珍しいチームだよね。そんな君たちにとって、今の強みと弱みってなんなんだろう? 特定のスタイルが馴染んできたとか、そういうところもあるのかな?

Dardoch: 以前はPiglet選手を中心にしたチームだったよね。僕がファーミングで一歩先を行ったら、その有利をBotレーンに突っ込む、Fenix選手がMidを押しこんだらBotに流れる、Lourlo選手がテレポート有利を取ったらBotにテレポートする、そういう感じだった。

一方でLourlo選手はキャリーチャンピオンで知られる選手だった。IreliaとかRivenとか。で、当時は毎週頭に彼と「どのチャンピオンで行きたい?」って話し合って、試してみたんだけど、結局うまく行かなくて、最終的にタンク系チャンピオンに落ち着くという結果になってた。でも今やメタはキャリー系になってきてるから、これまでみたいにBot頼みというのは通用しなくなった。だからチームとしてスタイルを模索している最中というのは間違いないね。

Scarra: そのスタイル模索中っていうのが、試合運びが綺麗にいかない理由なのかな?

Dardoch: いや、そうじゃないよ。理由は僕らが全員Tilt (主に「心が折れる」という意味で使われる) しやすいプレイヤーだからだよ (笑)。

Scarra: 分かる気はする。CLG との試合もそうだったよね。じゃあこれからどうやってTopにプレッシャーをかけて、スタイルを見つけ出していく予定なのかな? 今後の目標というか予定は?

Dardoch: まず僕らはもっと地に根を張って、Tiltしないようにならなきゃいけないよね。CLG 戦では正直自分は心折れてたし。これからは過去の自分達のパフォーマンスと現在を比較して、その差をしっかりと認識しないとね。心の底から勝ちたいと思ってるし、そうやって行動を見直しつつ練習していけば結果はついてくると思う。

Scarra: もし君が謹慎になってなかったら、事態は変わっていたと思う?

Dardoch:そりゃあ自分がいたら何かできただろうって思うところがあるのは間違いないよ。Moon 選手がいた時もチームとしてまとまっている雰囲気もあったけど、Spring Splitやプレイオフの時と比べたらまだまだだったと思う。

Scarra: ありがとう。最後に、君のファンやアンチに一言あれば。

Dardoch: ファンでもアンチでもTwitchでの視聴者であることには変わりないよね (苦笑)。ファンのみんなには、いつも僕やチームを支持してくれてありがとうって伝えたいな。

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以上、Dardoch選手とインタビューScarra氏でした。

やっぱりプロでも、プレイオフで善戦するチームでも心は折れるんですね。これが日本のシーンにとって何らかの役に立てば幸い…。

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NA LCS Immortals ReignOver選手インタビュー翻訳

久しぶりの更新です。Summer Splitが始まり、欧州はBest of 2形式、北米はBest of 3形式が導入されました。おかげで試合数が多くなり、視聴が追いつかない今日このごろでございます。本日はtheScore esportsというサイトから。(こちらの記事でも取り上げた)元プロのScarra選手がImmortalsのReignover選手をインタビューしている動画があり、その中でImmortalsのショットコール体制などについて語っていたのが興味深かったのでお届けします。

 

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Scarra ずっと興味があったんだけど、Immortalsのショットコールは誰が担当しているの?君とHuni選手がアイデア出し合ってる?それとも君が全部出す?個人的な印象だけど、北米のジャングラーって本能的というか動物的なところが強いと思っていて。でも君のプレイを見ていると計画的、頭脳派って感じがする。それって当たっているかな?やっぱり君が全部指示出ししてる?それとも君も実は内なる獣を飼ってるのかな。

Reignover Immortalsでの試合の流れは…まずみんなで序盤、中盤、終盤での勝ち筋(Win Condition、直訳で勝利条件。自チームの強みとそれをどう活かして勝利するか、という意味合い)について話し合うかな。

序盤は基本的にジャングラーのアクションが一番インパクトが大きいので、それぞれのレーンにどうして欲しいか希望を聞いて、それから最適と思われる案を選んで、実行する。序盤がいちばん自分がコールを出している時間帯だと思う。

中盤になるとテレポートプレイが重要になってくるけれど、必ずテレポートを取ってるHuniがこの時間帯は主導権を取る。時々MidのPobelterもテレポート取るけど、この時点でのMidの仕事はプッシュしまくることなのであまり関係ないかな。

終盤になると、WildTurtleとHuniがサイドレーンを押す役をやって、場合によってはPobelterがスプリットプッシュして、自分とAdrianはビジョンについて話し続ける、という感じになるので、誰かひとりがショットコールしているというよりもチーム全体がするべきことを見定めてそれを実行していくという感じで進むよ。

 

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左:Scarra氏 / 右:Reignover選手

Scarra 君のプレイを見ていると、他の北米上位ジャングラーと比べてもジャングルのルート取りが素晴らしく上手いなと思うんだ。他の選手と話した時は、ルート取りについては試合動画を見直したり、コーチと話し合ったりすると言ってたんだけど、君も同じなのかな?それとも本能的に相手ジャングラーの位置を察する?

Reignover まず敵ジャングルに侵入する前に、自ジャングルのキャンプを全部片付けるための基本ルートみたいなものを複数用意してる。たとえば相手が侵入してきた場合とか、色んな状況が考えられるから。

そのために、カスタムゲーム立てて色んな状況を想像しながら5分間プレイしてはゲームを終了し、またカスタムゲーム立てるってことを繰り返したりする。で、模擬戦とかでは勝利条件に合わせて自分の仕事をこなしながら、敵ジャングラーがミスを犯したらそれを突いていく。その時は相手の位置が見えなければ予測し、姿が見えてればそれを考慮して敵ジャングルを荒らしに行くようにしてる。ステージの上でどういう試合運びになるかは当然わからないから、練習ではどういう可能性があるかを考え続けて、敵がミスしたらそこを徹底的に突くようにしているかな。

Scarra おお…他に話を聞いたジャングラーよりも手順が定まっているみたいだね。
では最後の質問を。Immortalsの強みを挙げるとしたら何になるだろう?ビジョン?集団戦?

ReignOver まずは意思決定力(Decision Making)だと思う。それも、総合的な判断の精度とかではなくて、瞬間的な決断を下せるところが強みかなと。今行けば有利、みたいなシンプルな状況じゃなくて、こちらに不利になる可能性がある状況でも素早く判断する。それで相手を混乱させる…というか、想定外の決断を強制する。
それから集団戦にも自信があるかな。ある時点で5vs5に負けても、それで自信がなくなることはないから。全員、次はやれるって信じてる。ボットレーンも安定してるし、Pobelterもしっかり仕事するし、Huniと自分もうまくやってる……ってことはレーンも強いってことかな(笑)。でもまあ、一番の強みは意思決定力だと思う。

Scarra (笑)なるほど。それにしても他のチームが特定のチーム編成とかスタイルを挙げるのに対して、瞬間的な決断力と答えてくるのは素晴らしいね。チームによってはそういう要素があると認識すらしていないかもしれないのに。あと、その他すべても強みみたいだし(笑)。最後にファンに伝えたいことはある?

ReignOver いつも応援ありがとう。Summer Splitに臨む上で、チームとしてたっぷり準備を重ねてきたつもりだし、もちろんシーズン中もさらに進歩していきます。今回はプレイオフで早々に落ちてしまうことがないように。ワールドに出場できたら、全力を尽くします。

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以上です。個人的にリンク先の試合の解説で出た下のエピソードがツボって、Immortalsのこと好きになったんですけど

僕は IMT TOP の Huni 選手のストリームをよく見てるんですが、Huni 選手と ReignOver 選手が Dynamic Queue でゲームしてる時、ReignOver 選手の発言の 9 割は「落ち着け! 落ち着け!!」ですからね。もちろんプロの試合後だからはっちゃけてるのはあるとは思いますけど。

 デビュ-から快進撃ののちプレイオフであっさり敗退という挫折を味わった彼らが、他と違ってRoster(レギュラー選手陣)を変えずに一心に練習してきた今Splitでどんな活躍を見せてくれるのか今から大変楽しみです。なおImmortals、初週は2勝0敗で終えています。

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2016 MSI グループステージ4日目: RNG vs FW 解説翻訳

Mid Season Invitational (MSI)、グループステージ盛り上がりましたねー!

個人的に観戦中一番叫んだ試合は4日目の RNG vs CLG戦でしたが、この投稿では解説的に一番面白かったRoyals Never Give up (中国LPL) vs Flash Wolves (台湾LMS) 戦の解説を翻訳したいと思います。

(メモ: MSIがなんでそんなに大事なの? オールスターのほうがお祭りっぽくて楽しくない? と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、MSIの成績はその年のワールドチャンピオンシップにおけるシード権やシード枠にも関わってくる、前哨戦ともいえる大会なのです)

それでは、以下翻訳です。

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Pick & Ban

【RNGはEzreal、Braum、EckoをBan、FWはTwitch、Sivir、KindredをBan】

RNGは昨日の対FW戦でAzir・Ezreal・MaokaiをBanしていました。これは相手の後半戦でゲームをキャリーする要因を排除するためで、このBanによりRNGは、相手に序盤で有利を作るチーム構成を強いて、さらに自分たちはRyzeとKindredをピックして後半戦で優位に立とうとしました。今日は違う戦術でくるようです。

対するFWはWUXX選手狙い撃ちのBanですね。最後のKindred Banは、KindredのRによる「時間稼ぎ」を不可能にするためでしょう。RNGを相手に戦うのに、集団戦で「時間を稼がれ」たら負ける可能性が高くなりますからね。

RNG 1巡目 f:id:LYE:20160206004405p:plain

しかしこのBanにより、Mata選手の手にAlistarが渡りました。チャンピオンの長所を理解しているMata選手にこのチャンピオンが渡ると...FWはかなりの覚悟を持って臨まないといけません。

FW 1巡目 f:id:LYE:20160509233759j:plainf:id:LYE:20160206004329p:plain

しかしFWは、Alistarを渡した代償として大会パッチにおけるS級チャンピオン2人を確保。個人的に、大会パッチにおけるGravesはKindredに次いで2番に優れたジャングラーだと思っているので、Alistarを渡したとしても良い交換をしたと思います。

RNG 2巡目f:id:LYE:20160509233930j:plainf:id:LYE:20160206004531p:plain

今大会では多くのチームが2巡目でAzirを取っています。ここでのRNG、カウンターピック?なにそれ美味しいの? 今プレイしてるゲームってなんだっけ? チームファイト? ん、じゃあAzir取るわ、ッて感じです。そしてAzirは強いチャンピオンというだけでなく、Xiaohu選手の得意とするチャンピオンでもあります。それはWuxx選手のLucian、Mata選手のAlistarも同様で、ここまででもRNGのラインアップはかなり強力ですね。

FW 2巡目 f:id:LYE:20160206004332p:plainf:id:LYE:20160509234015j:plain

FWは前戦で試みた1-3-1をすっぱり捨てて、RyzeとCaitlynで集団戦で勝てる構成を選んできました。もちろんMid Ryzeはテレポートを取るでしょうから引き続き1-3-1は可能ですが、おそらくこれは集団戦を意識したものであると言えるでしょう。CaitlynはLucian+近接サポートのタッグに対して攻撃範囲で勝りますから、レーン戦も有利に進められると思います。

RNG 3巡目 f:id:LYE:20160206005023p:plainf:id:LYE:20160206004409p:plain

FW 3巡目 f:id:LYE:20160509234239j:plain

この時点でFWが取りうる選択肢は非常に多いですね。Maokaiはもちろん凄まじくタンキーになりますが、GravesとRyzeもかなりの打たれ強さを持ちます。Bardが得意な選手なら、Bardが刺さりそうな構成ですが... Morganaになりました。これもいいピックです。

チーム構成確定後

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このBotレーンの組み合わせからいくと、RNGはレーンスワップを仕掛けるでしょうね。

Lucian+AlistarでCaitlyn+Morganaを相手にレーン戦するのは相当しんどいので。

Wuxx選手とMata選手の力量ならCSを互角に持っていくことも可能でしょうが、Caitlyn+Morganaではレーンを相当プッシュされてしまいます。これに対抗するにはガンクとAlistarの不意打ちコンボですが、Maple選手はテレポートを持っていますし、そもそもブラックシールドを持つMorgana相手では難しいですからね。

4-1プッシュ構成のRNGに対して1-3-1構成のFW。ただし前戦を見る限りFWはあまり1-3-1を得意としているとは言えません。もしかするとFWは、前回Mid Zedで1-3-1を試みた結果を鑑みて、Ryzeを含む4人とMaokai 1人で4-1構成にしよう、と考えたのかもしれませんね。いずれにせよFW MidのMaple選手のテレポートが非常に重要になってくると思います。

試合開始

おっと、Mata選手がサモナースペルにIgniteを取っていますね...ということはレーンスワップなしで2対2に臨む目算なんでしょうか。いえ...レーンスワップは仕掛けるようです。

一般にFWは前半戦でリードを作れることが多いですよね。しかし前戦においては、RNGが2、3千ゴールド差が付いたところでぐっと踏みとどまり、相手のミスを突けるタイミングが訪れるまで硬直させ、そして喉笛に噛みつくように試合の主導権を奪いました。今回はどうなるか。

FWは非常にレーンスワップが上手ですよね。昨日もテンポ*1で相手の上をいき、結果Midのガンク→ファーストブラッドにつなげました。混戦でも、MMD選手が早めにBot Tier 1タワーに到着して綺麗にレーンスワップを進めています。

おや、RNG側、Top Tier 1タワーを折った後にレーン奥にワードを置きに行っていませんね。このワード、非常に重要なんです。これがあることにより、相手チームがミニオンに近寄ってくるギリギリまでファームして、近づいてきたら速攻でプッシュしてレーンを去れるわけです。FW側はMMD選手が置いていますよね。これができないと、どのタイミングでプッシュすればよいかがわからず、結果的に自チームのCSに悪影響が出てしまう。

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結果的にはRNG Top Looper選手もそれなりに良いタイミングでプッシュして安全にレーンを去れましたが、これはほぼ勘でやったんじゃないでしょうか。いずれにせよ総合的にはFW側がテンポの上でやや有利を取ったと言えるでしょう。レーンスワップの勝敗は、TopのCSにあらわれてきますからね。

なお現在のメタ、特に欧州におけるレーンスワップの基本としては、敵ミニオンの前に立ってダメージをチャンピオン側で吸収し(自軍ミニオンを長生きさせ)、通常攻撃はすべてタワーに集め、スキルはすべて敵ミニオンに使うのが最効率とされています。

そして赤サイドならば、ADCはTop Tier 1タワーを折ったら即効で帰還し、BotレーンのCSを確保しに走り、ジャングラーとサポートはリフトヘラルドを狩って、BotサイドのADCと合流してTier 2攻略に臨みます。

しかしどうやらこの試合で赤サイドを取ったFWはそれに倣わず、即効で帰還することでテンポを早めようとしたみたいですね。

しかし結局RNGがドラゴンを狩るのを止めることはできなかったのでテンポ的には失敗、総合的にはドラゴンを取り、Tier 2も攻められなかったRNGが有利です...が、どうやらFWはこのままBot Tier 2を攻略にいくようです。その間RNGはリフトヘラルドを狩っています。その後RNGもリフトヘラルドのバフを使ってTop Tier 2を攻略、結果的にタワーの交換となりましたが、RNGはドラゴンとリフトヘラルドを取っているのでオブジェクティブ的にはRNGの有利ですね。

ただRNG側はテンポの面で遅れを取っていたので、Looper選手のCSはずいぶん低い数になっています。テンポに乗り遅れると、常に「追いつこうとする」状態になってしまい、誰かの残飯処理しかできず、CSが稼げないんですよね。

おっとFWはさらに、Topのミニオン大群をTopのMMD選手に取らせるようです。これはFW、Topをできるだけ育てたい考えでしょうか。

しかしこれでFWはTopとBotのウェーブを自軍側でフリーズさせている状態になるので、RNGにとってはMid Tier 1を攻略しやすい状態となりました(結果50%ちかく削られ、Mid Maple選手はTier 2からTier 1へ牽制的テレポートを強いられました)。

ドラゴン攻防→ファーストブラッド

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【先にドラゴン周りを確保したRNG、それを周囲から攻めようとするFW、しかしRNGのSup Mata選手、FWに考える暇を与えず即座に打ち上げコンボを決めてファーストブラッド】

これがRNGの怖いところです! 通常ならにらみ合いがあって、その間にどうするかを少し話し合う暇ができるのですが、RNGはそれを許してくれません。少しでも隙があれば即座にキルを取りに来る。ためらいゼロです。ほとんどリーロイ・ジェンキンス的ですらあります。しかもAlistarまだLv 5でUltもなかったんですね...!

RNGの強みは個々の強さにあります。FWはTop MMD選手を育ててスノーボールしようという計画でした。しかしRNGにとっては、Looper選手のPoppyが育っていなければ、彼は支援役に回り、他のメンバーが試合を動かす。そういうことができるチームなんですね。


【その後もテンポの上でRNGが上を行き、FWは振り回され、その結果として奇襲からの集団戦をRNGがたびたび制し、さらにTop & Mid Tier 2 タワー、Mid インヒビタータワーを破壊、ゴールド差は7千に。以後は集団戦をすべてRNGが制し、あっという間に試合を決める。】


試合後の解説デスク

  • 今戦では、仮に今RNGがブラインドドラフトでゲームをプレイしても同じ構成にするんじゃないかと思うくらい、RNGにとって良いチャンピオンが取れたと思います。
  • FW側は前回してやられたTwitch & Kindred構成を止めるために両方をBanしましたが、止めるだけなら片方でよかったと思う。
  • 大会パッチにおけるジャングラーのトップ3チャンピオンはKindred、Nidalee、Gravesだけれど、そのうち1人をBanしても、両チームともトップクラスジャングラーを取れるわけで、FWはBanで有利を作る、ということに失敗してしまった。
  • Nidaleeは今大会で振るっていなかったけれど、その理由は「集団戦フォーカスのメタでNidalee選んでどうするの?」というものだった。でもこの試合のような形で貢献することは可能だし、集団戦が起こるより前に、まずジャングルクリアーが圧倒的に速い。GravesではわかっていてもどうしようもないくらいCS差を付けられてしまった。
  • 序盤の小競り合いでRNGが優位に立てたのは、リバー沿いのビジョンを完全におさえていたことも大きかった。RNGの他のメンバーが最短距離で駆け付けられるのに対し、FW側は遠回りをせざるを得なかった。ああいう状況で数秒到着が遅れるのは非常に大きい。

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以上、解説翻訳でした。

来週は準決勝~決勝まで行われます。進出チームは以下のとおり。

  1. Royal Never Give Up (LPL)
  2. COunter Logic Gaming (NA LCS)
  3. SKTelecom T1 (LCK)
  4. Flash Wolves (LMS)

詳細は公式サイトで!

しかし他地域のチームとの対戦を通じて、各チームのマクロゲームが進化していくのは見ていて猛烈に面白いですね。僕のようなARAM厨でもワクワクしながら見ることができます。

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*1:訳注:プロシーンにおける「Tempo:テンポ」は任意の戦略的行動を仕掛ける・実施するタイミングの妙を指す。たとえばレーンスワップでタワーを折るタイミング、ドラゴン前にレーンを押すタイミングなど

NA LCS プレイオフ決勝後 CLGインタビュー/解説翻訳

Team Solo Midを3-2で下し、二節連続の北米チャンピオンとなったCounter Logic Gaming。
今日は最終戦後のインタビューや解説席トークを翻訳してみたいと思います。

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CLG コーチZikz氏インタビュー

司会: 優勝おめでとうございます。チャンピオン防衛ですね。こうして再び決勝戦まで上がってきて、優勝した今の気持ちはどうですか?特に今季はスタープレーヤーが2人抜けてチームをイチから組み立て直すような大変なスプリットでしたが?

Zikzコーチ:すっごくいい気分だよ... いやマジで... ずっと逆風の中戦ってきたスプリットだったから。孤立無援という感じだった、もちろんCLGファンは応援してくれたけどね(会場から歓声)。自分らの強さを証明できて最高の気分だよ。

司会:もちろんもちろん。それも5戦フルに戦っての堂々の優勝でしたからね。しかし本当に選手の入れ替わりがあって(現ImmortalsのPobelter選手と現TeamSoloMidのDoubleLift選手が抜けた)、プレシーズンの間もドタバタして(Ziks氏はプレシーズン中にアナリストからコーチになった)、「今のCLGはもう、かつてのCLGとは違う」っていうのが前評判になってました。でもこの活躍です。今のチームを築き上げる上でいったい何をアイデンティティとするべく取り組んできたんですか?

Zikzコーチ:うちのチームに自己中心的なメンバーはいない。とにかくチームワークだけに注力した。それが一番大事なことだったから。

司会:たしかにそれは誰もが同意するところでしょう。今季のCLGは実に「チームプレイ」的チームでしたから。マクロプレイ(大局的・戦略的な行動)で他チームの上を行くところが強みでしたから。でもどうやってメンバーをその理想に向けさせられたんですか? スーパースターを作り出すんじゃなく、チームプレイをしようっていう雰囲気をどうやって生み出したので?

Zikzコーチ:全員を家族のように扱い、誰もが居心地良くいられるようにしただけ。

司会:なるほど。では家族の長として、そしてチャンピオンチームのコーチとして、これから乗り込むMSI(シーズン半ばの国際選抜大会)に向けてはどんな目標を掲げる予定ですか? 北米の存在感を取り戻すとか?

Zikzコーチ:数週間...5週間前だったかな。目標を設定したんだ。これから全部勝つって。そうして今回優勝した。だからMSIも勝つよ。

TSM ADC Doublelift選手(元CLG ADC)インタビュー

司会:非常に悔しい負けとなった直後にもかかわらずインタビューを受けてくれて感謝します。かなりの接戦だったわけですが、率直に今の気持ちは?

Doublelift選手:結局最後はどちらが集団戦で勝つか、という点で勝負が決まったわけだけれど、そして勝てるとも思ったんだけど...。何だろ、でもチームのことを誇りに思うよ。6位でプレイオフに出てきた僕らは他のどのチームよりもしんどい戦いを制してここまで来たと思うから。

司会:正直な話、今回決勝戦であと一歩のところまで行くというのは想定の範囲内でしたか?

Doublelift選手:うーん、正直、スプリットが始まる前は勝ちまくるだろうと予想してた。でもスプリットが始まってみると全然振るわなくて、プレイオフが始まった時には底を叩いた感じになってた。だからここ(決勝)に来るには僕らが一番努力を重ねなきゃいけないと思ってた。決勝が決まってからは、際どい勝負になるだろうとは予想してたけどここまでになるとは思ってなかった。正直、びっくりしてる。CLGがここまで強いとは思わなかったから(会場から不満気な声)。

司会:最後のチームファイト、もう一回やれるとしたらどうします?

Doublelift選手:というか前半4-0で押されたり、バロンを先に取られたりとそれ以前のところでけっこうしんどい試合だったよね。そしてあの勝負を決した集団戦の起きた40分時点まで来ると、あとはチームの連携力...そして個人の総合力の戦いになる。そういう意味でCLGは本当に見事なプレイを見せて僕らにエースを食らわせて試合を決めた。だからただ単純に、CLGを賞賛したいね(会場から喝采)。

CLG選手インタビュー

司会:優勝決まりましたが、今どんな気分ですか?

Darshan選手:最高の気分。ここまで来るのに本当にミッチリ練習してきたし。TSMも本当に強かったけど、僕らのほうが一枚上手だったと思う。

司会:前節は3-0での優勝だったのに対し、今回は3-2。しかも相手は6位ギリギリでプレイオフ進出し、そこから這い上がってきたTSMだったわけですが、この1週間どういう準備をしてきましたか?

Xsmithie選手:とにかく周囲から出来る限り吸収しようとしてた。そして、全員が試合に影響力を及ぼすようなかたちを目指してた。誰もがベテラン選手が試合をキャリーするだろうと予想してただろうけど、蓋を開けてみればルーキー2人がキャリーしたよね。

司会:ルーキーといえば...決勝戦最終試合で大活躍し、見事初の優勝を収めたStixxay選手に質問です。この大舞台でキャリーの役割を担うのはどんな気分でした?

Stixxay選手:まずは、グインソー積みトリスターナが上手く行って良かった...もし上手く行かなかったらと考えると...(苦笑)

司会:そこですよ。前回Team Liquid戦で1回だけ出して、しかもいい結果が出せなかったのに、決勝の最終戦で再び引っ張り出してくるのは相当の度胸が要ったと思うのですが。どういう経緯でここでのピックに踏みきれたんでしょう?

Stixxay選手:実はこれレイオフシリーズ中ずっと話してたピックで、この試合ではこのピックが最適だと判断したんです。結果的にグインソーは売っちゃいましたけどね。アレは後半戦になるとあまり効果的ではないので。Midルルとトリスターナの後半のスケールを考えるとこのピックは刺さるだろうと。

司会:そしてそのStixxay選手を後方からバックアップしていたもう一人のルーキー、Huhi選手...優勝したわけですが今どんな気持ちです?

Huhi選手:スプリット開始前の話ですけど、去年優勝してるチームに加入したのに、CLGは活躍しないだろうって思われてて悲しかったんですよね。でも同時にこのチームは活躍できるだろうって確信もあった。今回こうして優勝できて、もうあとはMSIも、全部勝ちまくるだけです!

司会:Aphromoo選手に質問です。Zikzコーチが先ほど言ってたチームプレイに特化したチーム作りという話ですけど、チームのベテラン選手として、またチームキャプテンとして、「スーパースターが活躍して勝つチーム」から「チームの誰もが変幻自在にキャリーできるチーム」へ変わっていく道程はどんなものでしたか?

Aphromoo選手:そうだねえ...(気取った良い声、会場笑)。個人的な意見として、今のチームは、今のチームの心構えはこれまでと比較して無限倍良いと思う。全員が批判を受け入れる姿勢を持ち合わせている。誰もが他者の声に耳を傾ける態度を持ってる。ルーキー2人が入ってきたから、それぞれの持ち味を理解し、活かしていける環境を持てたことは本当に大きかった。自分がルーキーとしてCLGに入った時にはそんな空気なかったからね。自分はとにかくADCを守る仕事をするだけ、だった。最後に、Seraph、Link、Dexter、そしてファンのみんなに感謝を。

司会:ありがとうございました! MSIでの活躍楽しみにしています!

解説デスク

Zirine氏:今のCLGチームは、本当にマクロプレイが素晴らしかった。決勝で落とした2試合も、マクロプレイではCLGが勝っていたけどTSMが集団戦でゴリ押しして勝利した感じだったし。CLGはスプリットプッシュしてタレットを折り、プレッシャーをかけ、時々必要に応じて集団戦をするという感じ。なのでCLGは他のチームと比較して戦略的多様性が実に豊かだと思う。


Zirine氏:CLGは前回もそうだったけど、勝者っていうイメージを持ってもらえないんだよね。今季も、「CLGは本当に強いチームだね」って声をあんまり聞かなかった。というのも、強さの目印みたいなものがないから。実際のところ、彼らの強さはマクロゲームの巧みさにある。チーム力の高さにある。TSMだったら、Bjorgsen選手がすごい!→ファンになるみたいな流れができるけど、CLGはそういうのじゃなく、チーム全体として機能してる。だから逆に、派手さに欠けたり、見ていてもエキサイティングじゃないと感じたりする。だから視聴者のみんなには、そのあたりを意識してこれからCLGを見て欲しいな。

Scarra氏:本当にこのチームは、どこかのレーンが必ず勝ってて、そこからスノーボールするチームではないんだよね。ある試合ではStixxay選手が大活躍し、ある試合ではHuhi選手がキルを重ね、Darshan選手は堅実に活躍するし、Xsmithie選手も時に大爆発する。もちろんAphromoo選手も要所要所でビッグプレイを決める。だからCLGはこの選手がMVP!っていうのがない。なんというか新鮮だよね。チームメンバーがそれぞれの力を高め合っている。

 

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Counter Logic Gaming、改めて優勝おめでとうございます! アフロムーアフロムー!!

 

以上、日本サーバー LYE がお送りしました! ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。あと、ワイワイ楽しむARAM部を立ち上げたいのでそちらに興味ある方もぜひ連絡ください!/既に存在してたら誘ってください!

Netflix:LoL eSportsシーンを主題材としたドキュメンタリー「eスポーツ: プロゲーマーたちの闘い」視聴

eスポーツ: プロゲーマーたちの闘い | Netflix (ネットフリックス)

 

イベント主催者を追ったドキュメンタリーですが、LCSからは主にTSMとC9のメンバーの発言が多数出てきます。

 

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※画像は過去を振り返るDyrus元選手

 

2013~2015年のシーズンを思い出しながら視聴すると色々な変化を感じられて興味深いのではないでしょうか。

Netflixを契約中の方は一見の価値ありかと。

(字幕翻訳者さんがLoLに詳しくないのか、試合実況が全然わけわからないことになっていることだけ残念)

 

個人的に「eSportsは本当に進化の過程にあるんだな」と感じたのは、1年以内にリリースされた映画であるにもかかわらず、既に内容が過去のものになっている点です。

たとえばゲームハウス。TSMもC9も、映画に出てくる取材当時の映像は本当に男所帯という感じで大学の寮でももう少し綺麗だろうという乱雑さでした。なんというか、選手と監督だけで回していてその他の「チームスタッフ」の存在が感じられないのです。

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Fnatic時代のxPeke選手 (現Origen) が住むゲーミングハウスにxPekeのお母さんがご飯を作りに来ていたりとか、TSM選手たちがバーガーの出前を取ってたりとか、そういう手弁当感が本当に強い。

 

それが今や、TSMにはスポーツ心理学者が入ってチームの連帯感を強める取り組みをしていたり、コーチの他にもサポートスタッフが入ったりと実にプロスポーツらしくなってきているのですから、いやはや。

欧州・北米のコーチ事情については本ブログでも、Deficio 氏 & Krepo 氏、コーチの歴史と重要性について語るで取り上げていますが、市場規模が大きくなることの利点としてこういった「選手がアスリートとして扱われるための下地作りが可能になる」という利点があると考えます。だから、運営にはより多くの人が楽しめるようにリーグを開催し続ける必要があるんスねえ...。

そういえば日本でもチームDetonatioN FocusMeのマネージャー梅崎伸幸氏が、経営やその他の啓蒙活動に専念するという理由で退任されたりと、組織としての規模や枠組みが大きな変遷を見せていますね。

 

今後日本が (選手のスキル/コミュニティ醸成/運営の全方面で) 他地域に追いついていく上でも、他地域の過去や運営の裏側を垣間見られる本作は貴重ではないかと思います。

 

Netflixは月額たしか1000円しないので、試しに契約してみるのもいいっすよ! 他にゲーム関係だと、アタリ: ゲームオーバー とかもあります。

 

 

NA LCS プレイオフ分析:Jatt's Stats CLG & IMT 翻訳

今週末のNA LCSプレイオフセミファイナルを前に、Jatt氏がCounter Logic Gaming (CLG) とImmortals (IMT) のチーム分析動画をアップ、これで前回僕が翻訳したTeam Solo Mid & Team Liquidと合わせて、試合の予習材料が揃いました…ので! 翻訳してみたいと思います。

前回のTSMとTLの分析については以下を参照ください。

lolnotes.hatenablog.jp

なお試合予定は

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となってます!ライブ視聴はしんどい時間ですが楽しんでいきましょう!

公式サイトYoutubeチャンネルなら録画を視聴できます。

 

では、以下よりJatt's Stats 翻訳です。


Counter Logic Gaming

スプリット開始前にMIDとADC選手を失ったCLG。しかし蓋を開けてみれば13勝5敗の2位でプレイオフ進出と好成績を残すことができた。Immortalsに唯一黒星をプレゼントしたチームでもある。

www.youtube.com

チームデータ

CLGは今回、非常にユニークなスタイルで試合を進めたため、2位のチームとしては少々変わった戦績を残してる。

  • CKPM (Combined Kills Per Minute、両チーム合計キル数/分) は0.65で6位、つまりキルやデスの少ない試合が多いことを示す。
  • K:D Ratio (Kill:Death Ratio、キルデス比) 1.2は3位タイ、AVG Gold Lead@15 (15分時点でのゴールド差) +806も3位と、ダントツで良いわけではない。
  • 最初のバロン確保率も50%で5位タイとあまり優れた成績ではない。
  • ただし最初のドラゴン確保率は78%で1位タイ、ドラゴン管理も70%で1位。これはマップ管理が非常に有効に機能していることを示している。Tempo*1が非常に的確で、それが相手に先んじて行動を起こせる原動力になっている。

メンバーのデータ

CLGは他のどのチームよりも1-3-1編成を使うことが多い。この時、ソロでプッシュするのはXmithie選手とDarshan選手の役割になることがほとんど。この戦略はメンバーの戦績データにも反映されている。

Stixxay

  • DPM (Damage Per Minute:一分あたりのダメージ量) が低い。Team DMG% (チーム全体における与ダメージ比率) も9位と低い。これは、CLGが (ADCが一番ダメージを叩き出す場面である) 集団戦をあまり行わないため。
  • 一方でAVG Gold Lead@10 (10分時点での平均ゴールド差) は+217で1位。これはもちろんレーン戦で勝利することが主要因であるものの、チームメイトがレーンスワップでタレット破壊時にゴールドをStixxay選手に譲る場合が多いことも要因のひとつ。

XMithie

  • CSPM (CS Per Minute、1分当たりのCS数) が4.5で1位。
  • これにより1-3-1編成でのプッシュが可能になっている。

Darshan

  • チームの核となる存在。
  • キル数 (49)、ダメージ/分 (404) の両方がTopレーン選手中2位。
  • AVG Gold Lead@10 (10分時点での平均ゴールド差) も2位。この数値は、CLGがいかに上手くレーンスワップを実行しているかを示す数字とも言える。

チャンピオン選択

 Darshan

  • キャリーチャンピオンをプレイすることが多かった。ただし現在のパッチ/メタではタンクの優先度が高くなっているため、CLGがどのようなピックをしていくかが非常に興味深い。

XSmithie

  • 多様なチャンピオンをプレイしている。
  • Team Liquid戦では彼がキンドレッドをピックするかどうかに注目。

Huhi

  • CLGが優位に進めた試合では、Huhi選手がアサシンか、他のレーンに対する強いプレッシャーを与えられるチャンピオンを選択していることが多い。これはCLGの戦略の核になっている部分でもある。彼が先述のようなチャンピオンを選択することで、1-3-1でプッシュする際の人数差を作り出しやすいようにしているためだ。

Stixxay

  • 最も多くピックしたチャンピオンはルシアンだが、一番良い成績を出しているのはエズリアル (4戦4勝)。

Aphromoo

  • 一番良い成績を残しているのはバード (5勝1敗)。彼はかなりの時間をバードの練習に費やしているので、その努力が実ったかたちになった。

 

こうして見てみると、CLGがどれだけ得意とするプレイスタイルに特化してきているかが分かる。セミファイナルにおいて、果たして彼らは得意スタイルを現在のメタに合わせて調整してくるのか、あるいは全く違うスタイルを作り上げてくるのか、注目だ。

 

 

 


Immortals

Huni選手とReignover選手をFnaticから、Pobelter選手をCounter Logic Gamingから、WildTurtle選手をTeam Solo Midから、Adrian選手をTeam Impulseから集めてきた、いわば寄せ集めのチームであった。通常こういったケースではチームとして機能させるまでに時間がかかることが多いが、Immortalsは初日から見事な連携を見せ、結果17勝1敗という目覚ましい活躍を見せた。

 

www.youtube.com

チームデータ

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NA LCS、EU LCS、LCK全体で1位の成績を残しているデータが5つある

  • 平均ゲーム時間 30:48
  • CKPM (Combined Kills Per Minute、両チーム合計キル数/分) 0.81
  • キルデス比 2.1
  • GSPD (Gold Spent Percentage Difference、消費ゴールド比率差) 18.7%、2位がTeam Liquidの5.4%なので、いかに圧倒的な試合が多かったかが分かる。
  • 最初のバロン確保率 78%

 

  • 最初のドラゴン確保率は61%でCloud 9とCounter Logic Gamingに続く3位。ただこれはImmortalsがTopレーンを重視していることを考慮するとしかたがないとも言える。また、単純にチームとして、試合序盤で1匹めのドラゴンを確保することを優先していないとも考えられる。

メンバーのデータ

Huni

  • 基本的に主要なデータはすべて1位。
  • 69キル
  • CSD@10 (CS Differential、10分時点での対面とのCS差) +13.1
  • CSPM (CS Per Minute、CS数/分) 7.9
  • DPM (Damage Per Minute:ダメージ量/) 610

Reignover

  • ただHun選手を語る上で外せないのが、リーグMVPに輝いたReignover選手の存在。
  • 相手ジャングラーに強烈なプレッシャーを与えながら、同時にファーミングでも先行する。
  • DPM (ダメージ/分) 371 はジャングラー1位。

WildTurtle

  • そしてReignover選手によるTopレーンへのプレッシャーから大きく恩恵を受けているのがWildTurtle選手。
  • キル数 104とDPM (ダメージ/分) 674 はADCで1位。
  • 一方で、CSD@10 (CS Differential、10分時点での対面とのCS差) は-0.6と、レーン戦ではあまり勝てていない (訳注: これはTSM時代から言われていることで今に限ったことではない)。しかし、彼が集団戦で大活躍する能力を持っていることは誰も否定できないところ。

チャンピオン選択

プレイオフで一番注目なのが、チャンピオン選択をどうするのかという点。レギュラーシーズンは圧倒的優位性から、Huni選手にキャリーチャンピオンを取らせ、Adrian選手に非近接攻撃サポート (ジャンナやソラカ)  を取らせるという自らの得意なスタイルでゴリ押しすることができた。

またReignover選手がキンドレッドをプレイしていないのも注目点。今回のプレイオフではかなり優先度の高いチャンピオンになるため、彼がキンドレッドをピックするかどうかは要注目。

またタンクメタになっている今、通常はキャリーチャンピオンをプレイするHuni選手が何をプレイするのかも気になるところ。

いずれにしても、試合用パッチで3週間の練習をしている彼らが、プレイオフでは何らかの新しいスタイルを出してくるのではないかと予想する。

 

 

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以上、日本サーバー LYE がお送りしました! ご意見などはこちらのコメント欄か twitter: @lye_ までよろしくです。あと、ワイワイ楽しむARAM部を立ち上げたいのでそちらに興味ある方もぜひ連絡ください!

 

 

 

*1:訳注:プロシーンにおける「Tempo:テンポ」は任意の戦略的行動を仕掛ける・実施するタイミングの妙を指す。たとえばレーンスワップでタワーを折るタイミング、ドラゴン前にレーンを押すタイミングなど